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第二章・アイゼンリウト騒乱編
第61話 冒険者、王と決着をつける
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「もう終わりだ、王よ」
俺は剣を片手で持ち、ダンディスさんとリードルシュさんの肩に手を置いてから前へ出た。二人の御蔭で王も大分弱っているのだから、必ず決着を着ける!
「何が終わりだ小僧!」
少し弱気な表情をしていた王は、自分を奮い立たせるように吠え突撃して来る。だが俺は敢えて避けずにそれを受けとめた。衝撃波は後ろへ流される。
「なっ!?」
「魔力も体力も気力も十分だ。痴人の夢の終わりを知れ!」
俺は全力で王を弾き飛ばして斬りかかる。俺自身呼吸が楽になって体力は回復したがダメージを完璧に回復した訳では無い。
ここが勝負どころと見て自分も奮い立たせるべく吠えた。王は必死に防戦するも、先程とは違い弾きや避けが甘く切り傷が出来始める。
「な、何故だ!? 貴様程度に我を傷付けられる訳が!」
「言っただろう? 俺には仲間がいる。背中を預けられる仲間が」
今こうして王を押していられるのも、門で骸骨兵や魔族を押し留めていてくれるリムンやビッド、レッサーデーモンを倒し更には俺が回復するまで時間を稼いでくれたダンディスさんとリードルシュさん、竜を倒す役目を担ってくれたファニーと姫、そして万が一に備えて見守り耐えてくれたイーリスとアリス、皆の御蔭だ。
自分一人ではもう死んでいたのは間違いない。この繋がりを無駄にしない為にも俺は負けられない!
「それが力の元か!?」
「そうだ。人の力だ、王よ。お前は一人だ。人の力を信じず、魔に身を落としたお前が見限った力だ。思い知れ!」
俺はみなぎる力で王を玉座まで押し込んで行く。剣から伝わる悲しみや憎しみ、そして後悔と無念。王は魔族に身を落としてもまだ人の心の部分があるようだ。
――自分も妻が生きていれば――
――自分も父に認められていれば――
――自分も支えてくれる人達が居れば――
――自分も優れた力を持てていたら――
剣を交えて伝わってくる。だがそれらは言い訳でしか無い。俺もそう思って、何度世界を憎んだか知れない。だから解る。そして俺は元の世界から追い出された。
こちらに来てからも決して恵まれていたとは言えない。でも、変わりたいと思い始めてから世界は色を変える。元々そういう色をしていたのかもしれないが、悲しみや辛さで曇っていた。
それに気付いて視線を変えれば違っていたかもしれない。だがそれももう取り返しのつかない方法を取ってしまったから帰れない。
「ぐおああああっ!」
王は負のオーラを解き放つ。恐らくこれが最後の切り札だろう。しかしもう遅い。もっと余裕があるうちに出すべきだった。俺に拘るあまり二人を見誤ったのが失策だ。
王は錯乱したように斬りかかってくるが、俺は冷静にそれらを斬り払い返して行く。そして次第に体だけでなく王の剣まで傷付いて行った。
今ならもうその太刀筋の全てが見える。
「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な!」
「馬鹿はお前だ!」
王の剣を砕き俺は王の腹を蹴り飛ばす。壁に激突した後でズルズルと下がって行き、玉座にだらしなく座り唖然とした表情でこちらをみている王。
「さぁ、これでこのくだらない騒乱も終わりだ」
「ま、待て! 今俺を殺せば、お前達は酷い目に遭うぞ!?」
「父上!どこまで見苦しいのですか!」
背後から久し振りに聞く声が飛び込んで来た。王座の間の扉を開けてファニーと姫が立っていた。その姿を見て俺のは更に力が上がるのを感じる。
「姫……、貴様に何が解る!? 俺の妻を奪い、父を奪い、民も兵も奪った貴様に何が解ると言うのだ!」
「父上、お解りにならないのですか!? 父上は決して暴君では無かった。確かに生贄をささげ続けた所為で国民は疑心暗鬼になっていました。それでもこのアイルの人達は活発に日々を生きていたはずです! そして兵は、兄上が率いる資格が無いと知っていても任せた父上を蔑ろにはしていなかったはずです!」
「だが我よりも姫に皆は期待を寄せていた」
「ええ、それも父上が統治していたからこそ、後を継ぐ者として期待されていました。でなければ、私が王になっていたとお思いになりませんか?」
「……」
姫の懸命に諭す様な言葉と声を聴いて王はうなだれた。もっと早く姫と言葉を交わしていれば、思いとどまれたのかもしれない、と。姫も同じ思いだろう。とても辛そうな顔をしている。
「コウ殿、後は私が」
「いやダメだ」
「いえ、父の不始末は私の手で」
「ダメだ姫。姫に父殺しなんて似合わない。そしてそれをすれば姫はずっと自分を憎み続ける。そんな王に誰が憧れるないし、統治されたいと願う国民もいないだろう。同じ歴史を繰り返すのはもうここで御終いにしようよ」
「……コウ殿」
「良いんだよ姫。これは俺が望んだ俺の仕事だ。この国で最後の仕事。姫、憎むなら俺を憎め。父の命を奪った者として。そして自分を責めないでくれ」
俺はゆっくりと王座へと歩く。王はうなだれたまま、抵抗は無い。
「王よ、懺悔は地獄で。俺もそう遠くない未来に行くさ」
俺は黒隕剣を振り上げる。
「さらばだ、王よ」
祈りの言葉を捧げ、その首を落とすべく振りおろそうとした。
「待てコウ!」
その言葉を聞いて直ぐ何かが俺の腰に当たり横に倒れる。見ると姫が俺に飛び付いていた。そして王を見ると、鳩尾に黄金色の剣が突き刺さっている。何だこれは……神々しさと禍々しさ、相反するものが合わさり同居した剣。
「もう終わりだ、王よ」
俺は剣を片手で持ち、ダンディスさんとリードルシュさんの肩に手を置いてから前へ出た。二人の御蔭で王も大分弱っているのだから、必ず決着を着ける!
「何が終わりだ小僧!」
少し弱気な表情をしていた王は、自分を奮い立たせるように吠え突撃して来る。だが俺は敢えて避けずにそれを受けとめた。衝撃波は後ろへ流される。
「なっ!?」
「魔力も体力も気力も十分だ。痴人の夢の終わりを知れ!」
俺は全力で王を弾き飛ばして斬りかかる。俺自身呼吸が楽になって体力は回復したがダメージを完璧に回復した訳では無い。
ここが勝負どころと見て自分も奮い立たせるべく吠えた。王は必死に防戦するも、先程とは違い弾きや避けが甘く切り傷が出来始める。
「な、何故だ!? 貴様程度に我を傷付けられる訳が!」
「言っただろう? 俺には仲間がいる。背中を預けられる仲間が」
今こうして王を押していられるのも、門で骸骨兵や魔族を押し留めていてくれるリムンやビッド、レッサーデーモンを倒し更には俺が回復するまで時間を稼いでくれたダンディスさんとリードルシュさん、竜を倒す役目を担ってくれたファニーと姫、そして万が一に備えて見守り耐えてくれたイーリスとアリス、皆の御蔭だ。
自分一人ではもう死んでいたのは間違いない。この繋がりを無駄にしない為にも俺は負けられない!
「それが力の元か!?」
「そうだ。人の力だ、王よ。お前は一人だ。人の力を信じず、魔に身を落としたお前が見限った力だ。思い知れ!」
俺はみなぎる力で王を玉座まで押し込んで行く。剣から伝わる悲しみや憎しみ、そして後悔と無念。王は魔族に身を落としてもまだ人の心の部分があるようだ。
――自分も妻が生きていれば――
――自分も父に認められていれば――
――自分も支えてくれる人達が居れば――
――自分も優れた力を持てていたら――
剣を交えて伝わってくる。だがそれらは言い訳でしか無い。俺もそう思って、何度世界を憎んだか知れない。だから解る。そして俺は元の世界から追い出された。
こちらに来てからも決して恵まれていたとは言えない。でも、変わりたいと思い始めてから世界は色を変える。元々そういう色をしていたのかもしれないが、悲しみや辛さで曇っていた。
それに気付いて視線を変えれば違っていたかもしれない。だがそれももう取り返しのつかない方法を取ってしまったから帰れない。
「ぐおああああっ!」
王は負のオーラを解き放つ。恐らくこれが最後の切り札だろう。しかしもう遅い。もっと余裕があるうちに出すべきだった。俺に拘るあまり二人を見誤ったのが失策だ。
王は錯乱したように斬りかかってくるが、俺は冷静にそれらを斬り払い返して行く。そして次第に体だけでなく王の剣まで傷付いて行った。
今ならもうその太刀筋の全てが見える。
「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な!」
「馬鹿はお前だ!」
王の剣を砕き俺は王の腹を蹴り飛ばす。壁に激突した後でズルズルと下がって行き、玉座にだらしなく座り唖然とした表情でこちらをみている王。
「さぁ、これでこのくだらない騒乱も終わりだ」
「ま、待て! 今俺を殺せば、お前達は酷い目に遭うぞ!?」
「父上!どこまで見苦しいのですか!」
背後から久し振りに聞く声が飛び込んで来た。王座の間の扉を開けてファニーと姫が立っていた。その姿を見て俺のは更に力が上がるのを感じる。
「姫……、貴様に何が解る!? 俺の妻を奪い、父を奪い、民も兵も奪った貴様に何が解ると言うのだ!」
「父上、お解りにならないのですか!? 父上は決して暴君では無かった。確かに生贄をささげ続けた所為で国民は疑心暗鬼になっていました。それでもこのアイルの人達は活発に日々を生きていたはずです! そして兵は、兄上が率いる資格が無いと知っていても任せた父上を蔑ろにはしていなかったはずです!」
「だが我よりも姫に皆は期待を寄せていた」
「ええ、それも父上が統治していたからこそ、後を継ぐ者として期待されていました。でなければ、私が王になっていたとお思いになりませんか?」
「……」
姫の懸命に諭す様な言葉と声を聴いて王はうなだれた。もっと早く姫と言葉を交わしていれば、思いとどまれたのかもしれない、と。姫も同じ思いだろう。とても辛そうな顔をしている。
「コウ殿、後は私が」
「いやダメだ」
「いえ、父の不始末は私の手で」
「ダメだ姫。姫に父殺しなんて似合わない。そしてそれをすれば姫はずっと自分を憎み続ける。そんな王に誰が憧れるないし、統治されたいと願う国民もいないだろう。同じ歴史を繰り返すのはもうここで御終いにしようよ」
「……コウ殿」
「良いんだよ姫。これは俺が望んだ俺の仕事だ。この国で最後の仕事。姫、憎むなら俺を憎め。父の命を奪った者として。そして自分を責めないでくれ」
俺はゆっくりと王座へと歩く。王はうなだれたまま、抵抗は無い。
「王よ、懺悔は地獄で。俺もそう遠くない未来に行くさ」
俺は黒隕剣を振り上げる。
「さらばだ、王よ」
祈りの言葉を捧げ、その首を落とすべく振りおろそうとした。
「待てコウ!」
その言葉を聞いて直ぐ何かが俺の腰に当たり横に倒れる。見ると姫が俺に飛び付いていた。そして王を見ると、鳩尾に黄金色の剣が突き刺さっている。何だこれは……神々しさと禍々しさ、相反するものが合わさり同居した剣。
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