2 / 9
1話
しおりを挟む
突如、足元に展開された陣に目を見開き、思わず飛びのけば、相手もまた同様に飛びのいていた。
「ちょっと! ちょっと待ちなさい! これはどういう事よ!」
響いた少女の声に、俺に言われても、と対峙する男は返す。
「俺にもさっぱりだ。召喚の陣なんか、使える訳ねぇだろう!」
「確かにそうですね。召喚の陣を操るのは神だけですから」
少女の仲間が頷き、もう一人があ、と陣の中心を指差す。
陣の光に目を細め見れば、横たわっているのは人の形をしていた。
「あの、一つよろしいかしら?」
男側の声に何よ、と少女が怒鳴る。
「アリッサさんのチームは、アリッサさん、パルフェイヤさん、ノノリーさん、の三名に対し、こちらは私、ウェスタさん、の二人。召喚の陣は神の奇跡であり、参加者が二名以下のチームに訪れる、となっていましたよね?」
となると、とウェスタを見れば、苦虫を噛み殺した様な表情を返した。
「でもでも、最大登録人数で挑むのはこの大会の基本ですよぉ? ウェスタさん達はその、本当にお二人でこの大会に参加されているんですか?」
ノノリーが慌てた様に問えば、悪いのか、とウェスタは腕を組み見返した。
「大会のルールは守っている。一名からでも参加出来る」
ふわ、と光が消えさると、フルフルと体を震わせ、アリッサがウェスタを睨み上げ、先ほどまで陣が展開されていた地を踏む。
「何よ、どんだけアンタ舐めてんよ! 一人でも参加出来るわ。えぇ、そうよ参加は出来るわよ! でも、勝つなら最大人数で挑むわよ! 八人登録すれば、試合の度にメンバーを変えれる。相手チームに合わせて作戦の幅だって広がる。それが勝つ為に必要な事だわ! それを、一人でも、ですって?」
ドス、ドス、とアリッサがウェスタの前に立つ。怒りに震える体を押さえ、睨み上げる。
「皆、決意を持って戦っている! 民の命を背負い、神に願いを叶えて頂く為、自身の全てで挑む! お遊びならそっこく辞退しなさい。この戦いは、神へ、神が願いを叶えるに相応しい者かを見定めて頂く儀式試合。それを、それを貴方は!」
「そこまで、ですわ」
一夏がウェスタとアリッサを隔てる様に腕を出し、静かにアリッサを見据えた。
穏やかな声と整った容姿を持つ美女が僅かに声を低くし、冷たく見据え、アリッサは思わず怯んだ。
「アリッサ・ベルモさん。貴方が国の為、一国の姫として民の命を背負いこの儀へ挑んでいる事を、私は素晴らしいと思いますわ」
にこり、と笑い、一夏は一旦言葉を切った。
「しかし、私はウェスタさんの望みを知っています。国の為ではありません。仲間の為でもありません。しかし、自分の為でもありません。まして、遊びではなく、命をかけている」
一夏、とウェスタが名を呼ぶと、一夏は一旦口を閉じた。
「アリッサ・ベルモ。私はウェスタさんの願いを聞き、それを叶えたいと思った。それが、私がこの儀に挑む理由。私に取ってそれは、遊びではありません。ですので、遊びなどと愚弄される理由はありません」
キッパリと言い切った一夏に、もう良い、とウェスタはその肩を引いた。
「ウェスタ殿、姫の言に非があった事、お詫び申し上げる」
「ちょ、パルファ!」
アリッサの横に歩み、パルフェイヤは頭を下げた。
「姫の教育を任されている私の至らなさ故の事」
パチ、と目を瞬き、ウェスタは顔を上げてくれ、と両手を上げた。
「俺達は対戦者同士なんだ。お互いに事情を知らないのは当然だ。気にしないので、そちらもそれでいい」
それより、と二人の背後、ノノリーが抱き起こした者へと視線を投げた。
「あ、大丈夫だよぉ。気絶してるだけみたい」
大会ルールに乗っ取り、二四時間休戦だね、と笑ったノノリーの腕の中、召喚された少女へとウェスタは足を向けた。
「ちょっと! ちょっと待ちなさい! これはどういう事よ!」
響いた少女の声に、俺に言われても、と対峙する男は返す。
「俺にもさっぱりだ。召喚の陣なんか、使える訳ねぇだろう!」
「確かにそうですね。召喚の陣を操るのは神だけですから」
少女の仲間が頷き、もう一人があ、と陣の中心を指差す。
陣の光に目を細め見れば、横たわっているのは人の形をしていた。
「あの、一つよろしいかしら?」
男側の声に何よ、と少女が怒鳴る。
「アリッサさんのチームは、アリッサさん、パルフェイヤさん、ノノリーさん、の三名に対し、こちらは私、ウェスタさん、の二人。召喚の陣は神の奇跡であり、参加者が二名以下のチームに訪れる、となっていましたよね?」
となると、とウェスタを見れば、苦虫を噛み殺した様な表情を返した。
「でもでも、最大登録人数で挑むのはこの大会の基本ですよぉ? ウェスタさん達はその、本当にお二人でこの大会に参加されているんですか?」
ノノリーが慌てた様に問えば、悪いのか、とウェスタは腕を組み見返した。
「大会のルールは守っている。一名からでも参加出来る」
ふわ、と光が消えさると、フルフルと体を震わせ、アリッサがウェスタを睨み上げ、先ほどまで陣が展開されていた地を踏む。
「何よ、どんだけアンタ舐めてんよ! 一人でも参加出来るわ。えぇ、そうよ参加は出来るわよ! でも、勝つなら最大人数で挑むわよ! 八人登録すれば、試合の度にメンバーを変えれる。相手チームに合わせて作戦の幅だって広がる。それが勝つ為に必要な事だわ! それを、一人でも、ですって?」
ドス、ドス、とアリッサがウェスタの前に立つ。怒りに震える体を押さえ、睨み上げる。
「皆、決意を持って戦っている! 民の命を背負い、神に願いを叶えて頂く為、自身の全てで挑む! お遊びならそっこく辞退しなさい。この戦いは、神へ、神が願いを叶えるに相応しい者かを見定めて頂く儀式試合。それを、それを貴方は!」
「そこまで、ですわ」
一夏がウェスタとアリッサを隔てる様に腕を出し、静かにアリッサを見据えた。
穏やかな声と整った容姿を持つ美女が僅かに声を低くし、冷たく見据え、アリッサは思わず怯んだ。
「アリッサ・ベルモさん。貴方が国の為、一国の姫として民の命を背負いこの儀へ挑んでいる事を、私は素晴らしいと思いますわ」
にこり、と笑い、一夏は一旦言葉を切った。
「しかし、私はウェスタさんの望みを知っています。国の為ではありません。仲間の為でもありません。しかし、自分の為でもありません。まして、遊びではなく、命をかけている」
一夏、とウェスタが名を呼ぶと、一夏は一旦口を閉じた。
「アリッサ・ベルモ。私はウェスタさんの願いを聞き、それを叶えたいと思った。それが、私がこの儀に挑む理由。私に取ってそれは、遊びではありません。ですので、遊びなどと愚弄される理由はありません」
キッパリと言い切った一夏に、もう良い、とウェスタはその肩を引いた。
「ウェスタ殿、姫の言に非があった事、お詫び申し上げる」
「ちょ、パルファ!」
アリッサの横に歩み、パルフェイヤは頭を下げた。
「姫の教育を任されている私の至らなさ故の事」
パチ、と目を瞬き、ウェスタは顔を上げてくれ、と両手を上げた。
「俺達は対戦者同士なんだ。お互いに事情を知らないのは当然だ。気にしないので、そちらもそれでいい」
それより、と二人の背後、ノノリーが抱き起こした者へと視線を投げた。
「あ、大丈夫だよぉ。気絶してるだけみたい」
大会ルールに乗っ取り、二四時間休戦だね、と笑ったノノリーの腕の中、召喚された少女へとウェスタは足を向けた。
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる