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荒行 美緒

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1話

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突如、足元に展開された陣に目を見開き、思わず飛びのけば、相手もまた同様に飛びのいていた。
「ちょっと! ちょっと待ちなさい! これはどういう事よ!」
響いた少女の声に、俺に言われても、と対峙する男は返す。
「俺にもさっぱりだ。召喚の陣なんか、使える訳ねぇだろう!」
「確かにそうですね。召喚の陣を操るのは神だけですから」
少女の仲間が頷き、もう一人があ、と陣の中心を指差す。
陣の光に目を細め見れば、横たわっているのは人の形をしていた。
「あの、一つよろしいかしら?」
男側の声に何よ、と少女が怒鳴る。
「アリッサさんのチームは、アリッサさん、パルフェイヤさん、ノノリーさん、の三名に対し、こちらは私、ウェスタさん、の二人。召喚の陣は神の奇跡であり、参加者が二名以下のチームに訪れる、となっていましたよね?」
となると、とウェスタを見れば、苦虫を噛み殺した様な表情を返した。
「でもでも、最大登録人数で挑むのはこの大会の基本ですよぉ? ウェスタさん達はその、本当にお二人でこの大会に参加されているんですか?」
ノノリーが慌てた様に問えば、悪いのか、とウェスタは腕を組み見返した。
「大会のルールは守っている。一名からでも参加出来る」
ふわ、と光が消えさると、フルフルと体を震わせ、アリッサがウェスタを睨み上げ、先ほどまで陣が展開されていた地を踏む。
「何よ、どんだけアンタ舐めてんよ! 一人でも参加出来るわ。えぇ、そうよ参加は出来るわよ! でも、勝つなら最大人数で挑むわよ! 八人登録すれば、試合の度にメンバーを変えれる。相手チームに合わせて作戦の幅だって広がる。それが勝つ為に必要な事だわ! それを、一人でも、ですって?」
ドス、ドス、とアリッサがウェスタの前に立つ。怒りに震える体を押さえ、睨み上げる。
「皆、決意を持って戦っている! 民の命を背負い、神に願いを叶えて頂く為、自身の全てで挑む! お遊びならそっこく辞退しなさい。この戦いは、神へ、神が願いを叶えるに相応しい者かを見定めて頂く儀式試合。それを、それを貴方は!」
「そこまで、ですわ」
一夏がウェスタとアリッサを隔てる様に腕を出し、静かにアリッサを見据えた。
穏やかな声と整った容姿を持つ美女が僅かに声を低くし、冷たく見据え、アリッサは思わず怯んだ。
「アリッサ・ベルモさん。貴方が国の為、一国の姫として民の命を背負いこの儀へ挑んでいる事を、私は素晴らしいと思いますわ」
にこり、と笑い、一夏は一旦言葉を切った。
「しかし、私はウェスタさんの望みを知っています。国の為ではありません。仲間の為でもありません。しかし、自分の為でもありません。まして、遊びではなく、命をかけている」
一夏、とウェスタが名を呼ぶと、一夏は一旦口を閉じた。
「アリッサ・ベルモ。私はウェスタさんの願いを聞き、それを叶えたいと思った。それが、私がこの儀に挑む理由。私に取ってそれは、遊びではありません。ですので、遊びなどと愚弄される理由はありません」
キッパリと言い切った一夏に、もう良い、とウェスタはその肩を引いた。
「ウェスタ殿、姫の言に非があった事、お詫び申し上げる」
「ちょ、パルファ!」
アリッサの横に歩み、パルフェイヤは頭を下げた。
「姫の教育を任されている私の至らなさ故の事」
パチ、と目を瞬き、ウェスタは顔を上げてくれ、と両手を上げた。
「俺達は対戦者同士なんだ。お互いに事情を知らないのは当然だ。気にしないので、そちらもそれでいい」
それより、と二人の背後、ノノリーが抱き起こした者へと視線を投げた。
「あ、大丈夫だよぉ。気絶してるだけみたい」
大会ルールに乗っ取り、二四時間休戦だね、と笑ったノノリーの腕の中、召喚された少女へとウェスタは足を向けた。
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