000

荒行 美緒

文字の大きさ
3 / 9

2話

しおりを挟む
この世界には、神に願いを叶えて貰う為の手段がある。
一つの儀式として残るその大会は、どこの国もが参加する。
参加者はチームを組み、大会運営国での登録をすませればそれで終了となる。
伝書蝶が試合場所を提示し、まずはそこへと辿り着く事が一。
互いに辿り着いたならば試合後、勝てば二。
最後の一チームが決まるまで繰り返し、そして三、最後の儀式は、神の住まう地へと辿り着く事であった。
細かなルールはあれど、過去の儀式からこうであろう、という羅列に過ぎず、明確でない。
しかし、神が認めずして勝者となったとして、最後の道が開かぬ故にまとめられた事象であった。
大会参加者はそれぞれの体質から六つにその力を分ける事が出来る。
まず、荒猟師――ハンター。武器を使い戦う者。
次に、魔法師――ウィザー。ハンターと対し、魔術での攻撃を得意とする者。
三、治療師――ヒーラー。治療を専門に行う者であり、試合に参加せず、サポートとして参加している者が多い。
四、祝福を与え、技を強化する者、祝福者――ブレッサー。
五、生き物を自在に操る、魅了者――チャーマー。六、呪いを使う者としか解っていない、呪術師――ソーサラー。
そして、招霊師――コンシュラー。外界の力を招き使う者。
しかし、その力を持つ者は存在せず、チームリーダーを指す言葉となっているのが現状である。
「七に別れると言うのが伝統だが、実際は招霊師が名前だけなのが現実だ。だから、六つに別れる、となっている」
で、とウェスタは召喚された少女を見た。
一夏に肩を抱かれ、共に腰掛ける少女の衣服は女王国、樊籠の民族衣装と良く似た着物姿だった。
召喚の際に乱れた髪を一夏に整えられた姿は、お世辞にも争い事が得意には見えない。
「茶桜、だったか? これは伝書蝶」
ひら、とウェスタの人差し指で羽を休めていた蝶が茶桜に向かい飛ぶ。
ひら、ひら、と舞いながら、その羽が橙から黄色へと変わって行く。
ひら、と茶桜の頭へと止まり羽を休めれば、羽の隅々まで黄色に変わっていた。
「どうやら、茶桜さんは祝福者の様ですね」
伝言蝶の前へ指を出せば、ひら、と舞い青へと色を変える。
さて、と伝言蝶へ籠を向ければ、大人しく入り、静かに制止し、その色は黒に戻っていた。
「すまないが、お前は登録されてしまった。この試合が終わるまでは付き合って貰うしかない」
えっと、と口ごもる茶桜の肩を撫で、大丈夫ですよ、と一夏は笑う。
「召喚されたばかりで、とても混乱されているでしょうが、休戦が終われば試合が再開されます」
まずは、私から離れぬように、と一夏は優しく話す。
「ウェスタ、私が茶桜さんを守ります。一人で大丈夫ですか?」
心配などしていない声で、一夏がウェスタを見た。それに返すウェスタの視線もまた、迷いなく強い。
「無論。元々、一人でもと思っていた事だ」
二人が頷き合う様を見ながら、ぼんやりとただただ反射的に飛び交う質問に茶桜は答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

予言姫は最後に微笑む

あんど もあ
ファンタジー
ラズロ伯爵家の娘リリアは、幼い頃に伯爵家の危機を次々と予言し『ラズロの予言姫』と呼ばれているが、実は一度殺されて死に戻りをしていた。 二度目の人生では無事に家の危機を避けて、リリアも16歳。今宵はデビュタントなのだが、そこには……。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

処理中です...