双子じゃないけど双子国生まれですっ!

荒行 美緒

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妖精って結構身近でした

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「フィム様、おはようございます」
ガナッシュはそっと入室して来たが、既に起きていたので起き上がると珍しい、と微笑まれた。
フィムは暇さえあれば眠り、朝もめっぽう弱い。夕香の時もあまり朝は強くなかったが、ここまでだったろうかと疑問に思うほどだった。
明日で4歳を迎えるフィムは、そろそろ学校ね、と母に良く言われる様になっており、小学校は6歳からだったからこちらは早いのか、と思いながら徐々に増えて行くカタログの量に余程裕福な家なんだな、と呑気に構えている。
「今日はお客様がいらっしゃいます。ティア様がこちらを、と」
差し出された衣服は白を基調とした、リボンが飾られたものだった。
「リボンって女の子っぽくない?」
フィムが問うと、苦笑いを浮かべ、では胸元以外は外しましょうか、と提案する。
「うーん。兄様達もタイリボンだし、それなら着る」
フィムの弁に、ならば靴も似た物になさいますか、との言葉にうん、と元気に答え着替えを開始した。



すっかり着替え終え、ガナッシュと並び歩きダイニングに向かえば、下の兄、ルーフス以外は揃い朝食を取っていた。
「おはよーございます」
挨拶をし、椅子へ寄れば、ガナッシュが椅子の上にフィムを座らせる。
まだ背が低く椅子に座るのも危ないから、との言葉を不満に思うも、また怪我でもすればさらに過保護になるのだろうと諦める。
「おはよう、フィム」
上の姉、リースが優しく微笑み、既に身仕度も終えているらしくお茶を楽しんでいた。
リースと双子の弟、カルロスはアーガスと書類を片手に何やら話し込み、下の姉、ライラはティアと喋っている。
「フィム様、朝食ですよ」
ミレーナに礼を言いフォークを取る。子供様のフォークはなかなか刺さらず苦戦していると、そうだった、とアーガスがフィムを呼んだ。
「お昼を食べたら沐浴を済ませておきなさい。向かえを寄越すから、トウチャ以外は口に入れないように」
「トウチャ?」
初めて聞く名に首を傾げると、ティアが飲んだ事なかったかしら? とミレーナに問う。
「大変希少な花ですし、人神の歳の子へ贈られる物ですから、そうそうは。何度か冬に焼き菓子にしてお出ししたと思いますが、お茶ではお出ししていなっかと思います」
「そうだったかしらね? フィム、トウチャは冬にしか咲かない花を合わせたお茶の事よ。聖域へ行くのだもの、体内も清らかでなければ」
ティアの説明に、こて、とフィム首を傾げた。
「お母様、もしや洗礼の説明をされていないのでは?」
「洗礼?」
さらに首を傾げたフィムに、もう、とリースが説明する。
「人神から人に生まれ変わる、3歳から4歳に上がる時は1番魔物が入り込みやすい時なのです。ですから、聖域で洗礼を受け、一晩守護者に護って頂くのですよ」
リースの説明にふーん、とだけ返すと、フィムには難しかったかな、とカルロスが笑った。
そういう事にしておこう、ととりあえず笑い、朝食に戻り、もぐもぐと食べ進めた。
最初はちょっとこれはない、と思っていたが慣れればどうという事もなかった。
「ガナッシュ、食べ終わりました」
降ろして、と両手をあげると直ぐに、ガナッシュが床に降ろす。
「お昼までは遊んでてもいいのですか?」
とと、とアーガスの方へ小走りに寄れ問うと、構わないよ、と抱き上げられる。
「お昼が出来たら誰かを呼びに行かせるよ。今日はどこで遊ぶんだい?」
「裏の池です!」
元気に答えたフィムに、そうか、と頭を撫でる。
「ガナッシュ、フィムをお願いするよ」
では行っておいで、とアーガスの膝から降ろされもう一度撫でられる。
ティアもいってらっしゃい、と1つ頭を撫でてくる。姉と兄は撫ではしないが手を振り見送る。優しいなぁと思い、行ってきます、と大きくフィムは手を振った。



ガナッシュと共に屋敷裏を歩きながら、そっと妖精に呼びかける。
気に入った者にしかその姿は見せないと言う彼女らであるが、フィムは気に入られているらしい。
ふわふわと飛んで来た緑色をした妖精がガナッシュの顔の前ですーと円を描くように飛んだ。
とろ、と眠そうにゆるゆるとまぶたが落ちる様に、幾度も見たがやはりそわそわとした面持ちでフィムは見ていた。
『寝たよ!』
元気に精霊術を使いガナッシュを眠らせた妖精がフィムの元まで飛んで来る。
「いつも思うけど、不思議」
『不思議じゃないわ。当然なのよ?』
ふわふわと妖精達が集まる中心で、ここで出来た友達の手を取り、フィムは導かれる様に妖精達の言葉を操る。
『フィム』
「ダンディ!」
真下からの低い声に応えると、フィムの影からのっそりと黒虎が表れる。ぬいぐるみの様に柔らかなその毛並みに抱きつき顔をグリグリと押し付ける。
『妖精、洗礼だ』
ダンディがフィムに尾を巻きながら言えば、妖精達がまぁ、と騒いだ。
『フィム、先に護りを』
妖精達のまとめ役を務める女性がフィムの鼻先まで飛んだ。
『我が眷族と眷属の加護をフィム・ラプティアに与える事をこのウンディルが誓約申し上げる』
ちゅ、と鼻先にキスを落とす。
『あなたはいいの?』
ウンディルがダンディに問えば、ふん、と鼻を鳴らした。それだけでわかったらしく、それ以上をウンディルは言わなかった。
『フィム、洗礼が始まったら全員呼ぶのよ』
ウンディルの弁に、なぜ、と首を傾げるとダンディがいいから呼べ、と唸る。
強い口調に思わずうん、と大きく頭を振れば、ふん、と鼻を鳴らした。
『さぁ、今日は少しでも多くの者達と制約を結びましょう。誰か、森への道を開いてちょうだい』
ウンディルが声をかけると妖精達がひらひらと踊り、水辺がその輝きを増した。
水面に出来た光の輪は大きく広がりフィムをすっぽりとググれる大きさにまで開いた。
「でも、お昼には迎えを寄こすって言ってたよ?」
ここで遊ぶのは駄目なの? とフィムが問うと、なら急がなければ、とウンディルが扉を指差した。
『直ぐに戻ればばれんだろう。行くぞ』
フィムの首根っこを口で掴み、子猫を運ぶ親猫よろしくダンディが池へと飛び込めば、いってらっしゃい、と妖精達は手を振った。
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