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プールウって名前じゃなかったの!?
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天井から入る光が部屋全体を照らし、磨き抜かれた床に反射していた。
窓らしい窓は天井のそれで、それ以外には何もない。
「で、明日まで居ればいいだけっていっても暇だよね」
「暇というが、マスターも感じているのではないのか?」
小鳥の姿から青年の姿に変わったビアがフィムと同じ視線までかがみ問いかける。
ふわ、と人の姿へと変わった際にひらりと舞った衣服にこれだからイケメンは! と叫びかけた声をぐい、と呑みこみ少々渋い顔をしたフィムをどう取ったのか、数度瞬きをし問うビアに、うーんとフィムはぐるりと室内を見渡す。
『開いた際に身震いしておったな』
影が伸び、その中からダンディが顔を出す。
「いや、聖域みたいな所を想像してたけど、ここ綺麗なだけの牢獄じゃん?」
無論、マンガや映画などの知識からのイメージなため、そのままとは思ってはいなかった。
ピカピカと磨き上げられた白い石でぐるりと囲まれ外は見えない。唯一の窓も天井のみで空が見えるかと問われれば微妙、と答える。
「せめて椅子くらい欲しかったよね」
直接座ってもいいのだろうが、お尻が痛くなるだろうな、と足が疲れるまで立っていた方がトータル的にマシだろうか、と考える。
「そうか」
ひょい、とビアがフィムを抱き上げた。
「へ!?」
急に変わった視線に思わずビアへと抱きつくも、ビアは気にした様子はなく、光が一番当たる、と場所を移動する。
「え、なに? どしたの?」
おろおろとフィムが問いかけると、きょとりとした表情でビアが見返して来る。
「? 寒かったのではないのか」
心底わからないという顏で見返すばかりのビアに、フィムもまた首を傾げた。
『あーたぶん、ダンディの身震いが寒いって事で、椅子がないから抱っこってなったんだと思うぞ』
プールウが影からのっそりと出、床の上でまるまる。
影がシーツの様に動き、プールウ3匹も一緒に出て来た。
「なにそれ可愛い!」
出て来た子犬サイズのプールウにぬいぐるみみたい、とフィムが嬉しそうな声を上げる。
『一回で命令聞けなかったからお仕置き中』
答えたプールウは大きく欠伸をし、上ってくる子犬プールウの好きにさせている。
『やれやれ』
キャイキャイと騒ぎ遊ぶその様にどこが仕置きか、とダンディが息を零した。
「ウィーブラ、私はおかしな事をしてしまったのか?」
子犬サイズのプールウへと手を伸ばしたフィムを下ろし、ポツン、と立ったままのビアが問いかける。その名に覚えがなく首をかしげると、プールウが尻尾を大きく振るい、人の姿へと変わった。
ビアより幾分か大人びた印象を受ける青年はモデルの様に整った容姿で美形だと思っていた家族よりも美形だ。美形が多いこちらでも一番美形だ、と興奮しうわー、うわーと子犬サイズのプールウを抱きしめるフィムの様子に、ダンディはいつもの事、と呆れる。
「まぁ、人間の反応と比べるとまぁ、ズレてるな。比較的お前らは人里に行くだろう? 人間の反応見てればわかってくると思うんだがなぁ」
首を傾げた際に腰を越すだろう艶やかな髪がサラサラと揺れた。
深い海の様な青が人ではない、と告げているが仕草や物言いはビアよりも気さくだ。
「人里には……。私はまだ未熟者だ。フィーリの共でしか、ない」
なにやら深刻そうな雰囲気に、子犬達とダンディと共に少し離れた場所で静かに息を潜めるフィムに、プールウは悪いな、と言うようにアイコンタクトを送る。
「嬢ちゃんの共でって、あいつどんだけ過保護だよ」
「長は悪くない。私がこんな容姿だからだ」
淡々と語るビアの言葉にも首を傾げ、何やら深刻な二人へ子供らしく空気を読まずにねぇ、とプールウを抱きかかえたままフィムは二人の間に入った。
「容姿って? あと、ウィーブラとか、フィーリとか、オサって誰? 何より、プールウも人間になれるの!」
知らなかったんだけど! と声を荒げるフィムに、そういえば言ってなかったか、とプールウは笑った。魔術師を彷彿とさせるローブ姿の男――青年か、男性か、年齢を感じさせないその容姿はフィムに言葉を喉に詰まらせた。
「ビア、いいか?」
くる、とフィムからビアへと視線を送れば、かまわない、と返す。
「まず、こいつは長……一族をまとめてる家長みたいな奴な? その息子でな」
「ナントイウコトデショウ」
フィムの返しに、やはり歳相応に幼いのか、プールウは知識の低さにフィムの頭をなでる。同じくらいだろう歳の人間より大人びた様子に知識も態度と同等と考えていたがそうではないのか、とプールウは認識を改める。
「フィーリってのはこいつの姉で、次期長だ。後はこいつの容姿だが、ルスフェリは光の一族だからか、皆肌が白く、髪は金、瞳は青か緑だ。それ以外は産まれない」
ビアを見れば、肌は黄金色に焼け、髪は白銀。伏せられてはいるが灰色に近い色の瞳だったはずだ。一つも特徴と一致しない事は、こちらの世界でも迫害の対象になるのだろうか、と心配そうに、立ち入ってもいいのかと問うような目に、プールウはやはりこいつはおもしろい、と口元を釣り上げた。
「後はウィーブラか? それは俺の名だ。ウィーブラ・エル・プールウ」
契約の時に名乗らなかったか? と首を傾げたプールウ――ウィーブラに、えぇ! と叫び声を上げ、正直覚えてないよ、とがっくりと肩を落とした。
窓らしい窓は天井のそれで、それ以外には何もない。
「で、明日まで居ればいいだけっていっても暇だよね」
「暇というが、マスターも感じているのではないのか?」
小鳥の姿から青年の姿に変わったビアがフィムと同じ視線までかがみ問いかける。
ふわ、と人の姿へと変わった際にひらりと舞った衣服にこれだからイケメンは! と叫びかけた声をぐい、と呑みこみ少々渋い顔をしたフィムをどう取ったのか、数度瞬きをし問うビアに、うーんとフィムはぐるりと室内を見渡す。
『開いた際に身震いしておったな』
影が伸び、その中からダンディが顔を出す。
「いや、聖域みたいな所を想像してたけど、ここ綺麗なだけの牢獄じゃん?」
無論、マンガや映画などの知識からのイメージなため、そのままとは思ってはいなかった。
ピカピカと磨き上げられた白い石でぐるりと囲まれ外は見えない。唯一の窓も天井のみで空が見えるかと問われれば微妙、と答える。
「せめて椅子くらい欲しかったよね」
直接座ってもいいのだろうが、お尻が痛くなるだろうな、と足が疲れるまで立っていた方がトータル的にマシだろうか、と考える。
「そうか」
ひょい、とビアがフィムを抱き上げた。
「へ!?」
急に変わった視線に思わずビアへと抱きつくも、ビアは気にした様子はなく、光が一番当たる、と場所を移動する。
「え、なに? どしたの?」
おろおろとフィムが問いかけると、きょとりとした表情でビアが見返して来る。
「? 寒かったのではないのか」
心底わからないという顏で見返すばかりのビアに、フィムもまた首を傾げた。
『あーたぶん、ダンディの身震いが寒いって事で、椅子がないから抱っこってなったんだと思うぞ』
プールウが影からのっそりと出、床の上でまるまる。
影がシーツの様に動き、プールウ3匹も一緒に出て来た。
「なにそれ可愛い!」
出て来た子犬サイズのプールウにぬいぐるみみたい、とフィムが嬉しそうな声を上げる。
『一回で命令聞けなかったからお仕置き中』
答えたプールウは大きく欠伸をし、上ってくる子犬プールウの好きにさせている。
『やれやれ』
キャイキャイと騒ぎ遊ぶその様にどこが仕置きか、とダンディが息を零した。
「ウィーブラ、私はおかしな事をしてしまったのか?」
子犬サイズのプールウへと手を伸ばしたフィムを下ろし、ポツン、と立ったままのビアが問いかける。その名に覚えがなく首をかしげると、プールウが尻尾を大きく振るい、人の姿へと変わった。
ビアより幾分か大人びた印象を受ける青年はモデルの様に整った容姿で美形だと思っていた家族よりも美形だ。美形が多いこちらでも一番美形だ、と興奮しうわー、うわーと子犬サイズのプールウを抱きしめるフィムの様子に、ダンディはいつもの事、と呆れる。
「まぁ、人間の反応と比べるとまぁ、ズレてるな。比較的お前らは人里に行くだろう? 人間の反応見てればわかってくると思うんだがなぁ」
首を傾げた際に腰を越すだろう艶やかな髪がサラサラと揺れた。
深い海の様な青が人ではない、と告げているが仕草や物言いはビアよりも気さくだ。
「人里には……。私はまだ未熟者だ。フィーリの共でしか、ない」
なにやら深刻そうな雰囲気に、子犬達とダンディと共に少し離れた場所で静かに息を潜めるフィムに、プールウは悪いな、と言うようにアイコンタクトを送る。
「嬢ちゃんの共でって、あいつどんだけ過保護だよ」
「長は悪くない。私がこんな容姿だからだ」
淡々と語るビアの言葉にも首を傾げ、何やら深刻な二人へ子供らしく空気を読まずにねぇ、とプールウを抱きかかえたままフィムは二人の間に入った。
「容姿って? あと、ウィーブラとか、フィーリとか、オサって誰? 何より、プールウも人間になれるの!」
知らなかったんだけど! と声を荒げるフィムに、そういえば言ってなかったか、とプールウは笑った。魔術師を彷彿とさせるローブ姿の男――青年か、男性か、年齢を感じさせないその容姿はフィムに言葉を喉に詰まらせた。
「ビア、いいか?」
くる、とフィムからビアへと視線を送れば、かまわない、と返す。
「まず、こいつは長……一族をまとめてる家長みたいな奴な? その息子でな」
「ナントイウコトデショウ」
フィムの返しに、やはり歳相応に幼いのか、プールウは知識の低さにフィムの頭をなでる。同じくらいだろう歳の人間より大人びた様子に知識も態度と同等と考えていたがそうではないのか、とプールウは認識を改める。
「フィーリってのはこいつの姉で、次期長だ。後はこいつの容姿だが、ルスフェリは光の一族だからか、皆肌が白く、髪は金、瞳は青か緑だ。それ以外は産まれない」
ビアを見れば、肌は黄金色に焼け、髪は白銀。伏せられてはいるが灰色に近い色の瞳だったはずだ。一つも特徴と一致しない事は、こちらの世界でも迫害の対象になるのだろうか、と心配そうに、立ち入ってもいいのかと問うような目に、プールウはやはりこいつはおもしろい、と口元を釣り上げた。
「後はウィーブラか? それは俺の名だ。ウィーブラ・エル・プールウ」
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