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しおりを挟むアーバインに戻ってから、王都ではなく貿易中心都市などで諜報として鍛えることにした。
バーナードさんに帝国でのことを話すと、
「確かに早過ぎたのかもしれませんね。幾つか候補を挙げますので其方で訓練致しましょう。ちゃんともう1人つける様にもしますね」
笑顔でそう言われ、活動場所が決まるまでは大人しく家で居なかった分の自国と他国の情勢とについて学んだ。
メッセージカードの事を聞いたけど、わかりませんと返って来た。何処にでも有る紙の様で特段珍しい物でもないらしい。
それから暫くして、私より10は上の男の人が訪ねてきた。
見惚れてしまうほど綺麗な顔をしていた。白味の強い金色の長髪を後ろで一纏めにし、吸い込まれそうな白金の瞳。
綺麗な顔の人は今までも見た来たけど、ここ迄心を奪われたのは初めて。
だけどなんだろう?違和感が半端ない。何処か作り物めいている。
「失礼ですが、髪色等変えられていませんか?」
失礼を承知で尋ねてみた。被り物をしているような見た目なんだよね。
直感?が働くみたいな。信用出来ない何かを感じる。
「ぷっ、くくく。あー失礼。お嬢様、この者は私の息子でレイと言います。
おわかりかと思いますが、姿を変えております。向こうの国では要職に着いておりますので、国を出る時は変装しているのです」
バーナードが笑ったのは初めて見た。そんな彼からレイの事は呼び捨てで良いと言われた。
この後レイと行動することになった。お茶でもして話を聞きたかったのだけれど、自分の事は話さない人らしく、仲介者のバーナードが居ないと会話が成り立たない事態に陥ってる。
無言のまま主要な交通の要所の街にたどり着いた。
ここに来てやっとレイは口を開いてくれた。曰く、
「貴女のことを護るように仰せつかっています。ですので問題があると判断した場合は即切り上げさせてもらいます」
・・・・・え?
それって意味が無いのでは?バーナードさん?これは一体どういうことなのでしょうか?
考えるまもなく連れて行かれる私。
連れて行かれたそこは、この地域では有名なレストランだった。
簡単な面接を受け、採用。
え?いいの?
衣装はレイが用意してくれていた。
「変な物を着せると怒られますから」
・・・・・・誰に?
早速今晩から仕事に入れた。何でも帝国での事を話したらしく、「では今晩から!」と先方が乗り気だったのだ。
かなりの有名人になっていたらしい。こっちの国の人間だとバレずにすんで良かったよ。
ん?勿論髪色と瞳の色は変えてますよ。初めて見る人でも、公爵家の人間とわかる色合いだから。
舞を披露して接客しながら情報集めて。
初日は問題なく過ごせた。
その思いは借りた部屋に戻って打ち砕かれた。
レイと家に戻ると、知らない人(美丈夫)が居た。
思わず扉を閉めた。ら、レイが扉を開けた。
押されるように部屋に入る。
黒髪黒目、バーナードさんを若くした様な感じの人。
でも、この人にも違和感を感じる。そう思ってレイを見ると、頷かれた。
とりあえずテーブルにつき、一息つく。が、落ち着かない。
目の前の美丈夫、はっきり言って私より遥かに強い(物理的に)。なんでこんな人がここにいるのか分からない。レイはレイで寛いでるし。うーーーーーーん。
でもこの2人、色合いと顔かたちを交換したらしっくりきそう。そんな感じがする。
なんとも思わず目の前の美丈夫を観察していると、ニッコリ微笑まれ、「合ってますよ。その考えで」とあっさり暴露。そんでもって、「今日から一緒に寝てもらうから」と爆弾発言されてしまった。
ま、いっか。と思い汗を流して一緒にベッドに入った。
初めて人の温もりを感じながら寝た。とても気持ち良くて縋り付いてしまった。
・・・・・あれ?そう言えばこの人の名前知らない。
眠いから明日でも大丈夫かな。おやすみなさい。
※※※※※
美丈夫視点
クスクスクスクス、可愛いなー。洞察力は見事な物だけど、まだまだ未熟だね。こんな初心な子を1人で放り込めば食べられて当然だね。
今回はレイを見張りに付けたけど、僕が信頼できる者以外は傍に置いといたら危ないね。ぱっくり食べられそうだ。
何の疑問も持たずに隣で寝てくれるのは良いけど、男として見られていないのか、それとも男女の色事がわからないのか・・・・まあ良い。
それを先に身体に教え込む為に僕が此処に居るんだから。
誰にもこの子はあげない。身体に触れて良いのも僕だけ。僕の与える快楽に慣れてもらわないと。
レイには外に出てもらおうかな。すんなり言う事聞くとは思えないけど、さてさて。
じゃあ今日は胸で気持ちよくなろうね、可愛い僕のリリム。
※※※※※
レイ視点
私の名前はレイモンド。普段はレイと呼ばれている。
職業は影武者。表向きは帝国の次代皇帝としてとして執務に取り掛かる。本来は影として皇太子を支える位置にいる。
帝国は、お飾りの者(傍流の血筋)が表に立ち、裏からそれに指示を出し国を動かしている(本流の血筋)で成り立っている。
同じように教育されるが、争いにおいてその差がはっきりする。
圧倒的潜在能力にてその場を支配出来るのは、本流の血筋ならではであろう。
その皇太子であり、今は影として動いている彼から連絡があったのは、影武者として仕事が慣れた時だった。
「可愛い子を見つけたから、その子を僕のお嫁さんにするよ」
一瞬の間。
何処の誰かを調べる為に、別の影を放とうとすると牽制が入った。
「変な気を持ったり、手を出そうとしたら消すよ」
強烈な執着を感じ彼から情報を貰う事にした。
何でも向こうは冒険者としての依頼中に彼と会ったそうだ。仕事を終えた後彼は別件の用事が出来たのでその場を離れることになったのだが、その時の彼女の笑顔に心を奪われたのだとか。(これ、初恋を拗らせるとヤバいやつ。)
別れ際、得意の話術で国名と名前を聞き出し、彼が最も信頼する護衛の1人を彼女に付けたらしい。
その護衛も先ほど帰ってきた。
報告によるとアーバイン国、公爵令嬢リリム・モーリス、当時10歳。公爵家の5番目の子供で、両親や兄弟からはいないものとして扱われている。
その話を聞いて父の事を思い出した。10の時に帝国に来て以来会ってはいないが、父も皇族の血を引いている。その父が執事としてアーバイン国で働いているのがモーリス公爵家であったはず。
早速父に手紙を送る。時間は掛かるだろうが返事は来るだろう。その間に出来ることをしておかなければ。1度執着してしまえば離すことは有り得ない。
私も早くそう言う人物に会ってみたいものだ。
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