夢か現か

黒梟

文字の大きさ
10 / 58
結婚からの

しおりを挟む


 おはようございます。
皆さまお馴染みリーズラントでございます。

 気がついたら何処かの森の中に横たわっておりました。
 身体に何の異変も無いので何事もなかったのでしょう。

 ですがおかしいですね。いつ着いたのかも分からない状況。
 何度も言いますが、未だ離縁していない私は侯爵夫人。こんな事をして何の沙汰もくだらないと思っているのでしょうか?

 ふふ、ですがまあいいでしょう。このままいけば確実に離縁出来るのだから。

 さてと、ではとっとと私の食堂に戻るとしましょうか。

 日の高さからするともう夕暮れ。
馬車に押し込まれてから何日経ったのかはわかりませんが、強力な睡眠薬を嗅がされた可能性が否定できません。
 家に帰ればすぐに医者にかかる必要がありそうですね。

 そう考えながら清らかな森の空気を吸い込み気持ちを落ち着けながら人里があろう方へと歩いていく。

 森から人里近い場所に出るとじい様の部下の方たちが待ち構えていた。
 迂闊に森に入れば要らぬ疑いをかけられる可能性もあるからだ。
 何はともあれ私は無事、向こうが気がついた時には全てが終わっている状況などなんて美味しいのか。
 私はウハウハで彼らの用意した馬車に乗り込んだ。


 そして、森に入った一人が戻ってくるとすぐさまその地を離れたのだ。










「ご無事で何よりです」

「待たせてしまってごめんなさい。一応何処も悪いとこは無いみたいだけど・・・何かされてたら分からないわね」

 苦笑まじりにもう一度身体を確認してみる。服の上からではやはり何も分からない。
 肌が出ているところは腫れたり傷が入っている様子は無いのだけれど。

「お戻りになられたら直ぐに医師の診察を受けるようにとのことです。
 一応目覚められるまで見守らせていただきましたが、何者にも襲われてはおられませんよ。
 勿論貴女をあそこまで運んだ従者も然りです」

「へぇ、てっきり従者の者にでも襲わせる気でいたと思ったんだけど、そうじゃなかったんだね」

 幾ら何でも手を出すのは良く無いと思ったのかな?

「いいえ、あの者は貴女の衣類に手をかけようとしたので、此方があの者を襲いました」

「え・・・あ、そう、うん、ありがとう?」

「いいえ。御身が無事で何よりです」

「その後誰か確認には訪れたの?」

「はい。近くの里の者が何度か来ていましたが、直ぐに誰も近寄らなくなりました。
 元々森に入る習慣がなかった様で、態々命を危険に晒したく無い様でした」

「ま、そうだよね。お金もらってるわけじゃ無いし。あんまり深く詮索されないで済んで此方としても有り難いね」

「はい、揉み消す労力を使わず有難いです」

 うん、そうね。
君達ならやりそうね。
あれかな、ここで私が私の姿を見た里の者を消しといてほしいといえばその人たちはどうなるのかなぁ?

 存在事態を消される
 恐怖を植え付けられて記憶をすり替えられる

・・・・・何だろう、物理的に消す選択肢しか選択余地が無いんだけど。
 うん、何も言わないのが一番だよね。

 心の中で呟いて今の状況に安堵してまた眠りについた。

 気がつくとじい様の邸のベッドで、服も着替えさせられて寝ていた。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

旦那様、彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです

ましゅぺちーの
恋愛
伯爵夫人フルールは、夫である伯爵と愛人の秘書に長年頭を悩ませていた。 何度夫に苦言を呈しても「彼女は仕事において必要不可欠なパートナーだから」と一切聞く耳を持たない。 困り果てていたそのとき、彼女は突然前世の記憶を取り戻した。 このままだと夫と愛人の真実の愛の犠牲になってしまう。 それだけは御免だ。 結婚五年目にして、彼女はようやく夫を見限り、新たな事業を立ち上げた。 そして事業を成功させたフルールの隣には、いつも同じ男が立っていた。 その男は誰なのかと問い詰める夫に、フルールはニッコリ笑って言った。 「彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです」と。

側近女性は迷わない

中田カナ
恋愛
第二王子殿下の側近の中でただ1人の女性である私は、思いがけず自分の陰口を耳にしてしまった。 ※ 小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

処理中です...