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廻る時
三十八
しおりを挟む私が家に駆けつけた時リーは既に息を引き取っており、血の気はなかった。
何故と疑問に思えば、元凶の執事が叫んでいた。
「これで、これでやっとあの方達が解放される。この小娘の命一つで私も神になれる」
そうふざけたことを言い続けていた。そして私を見つけた途端歪んだ笑みを向けてきた。
「お前に目をつけられたために可哀想にな。
まあ、お前のせいで亡くなった神々は健在だ。あの方々が復活すればお前など直ぐに消し去られるだろう。楽しみに待っているんだな」
そう言って笑い続けていたソイツを八つ裂きにしていた。周りにいた誰もが何も言わず納得したような顔をしていた。
「茶会など開かせなければよかった」
その呟きはリーの養父に聞こえたらしく、彼は肩を落としてこう言ってきた。
「本当は貴方の元に嫁に行かすのが嫌だったんですよ。兄は侯爵家の生け贄として殺された。そして今度はその子まで・・・・・
女神には再三お願いしてきたのにやはりこうなってしまいましたね」
「どう言う意味です?」
「そのままですよ。兄はね、義姉に惚れて裏の仕事に手を出しました。その時王家に掛けられた呪いの余波を受けたんですよ。
それが元であの二人は亡くなった。リーズラントが助かったのは兄の中に自我がまだ残っていたからでしょう。
呪いの力はいまだに健在です。その力を使い切るまでリーは死に続けなければいけない。貴方に体液を注がれたせいで」
「そんな話は・・・」
「聞いた事がない?そうでしょうね。私も女神に聞くまでは信じませんでしたよ。聞いても信じませんでしたがね。
でもね、何回も同じ事を繰り返していれば嫌でもわかりますよ。ああ、またか、と
貴方は後何回これを繰り返すつもりですか?
これ以上この子の心を傷つけないでいただきたい。それが兄夫婦へのせめてもの償いなんです」
その話を聞かされて思い出したのは女神に言われた事。
貴方には強い力が渦巻いている
そして王太子に言われた言葉。
王家には呪いが掛けられている
そう考えれば母は生きている。だが、それには父が傍にいなければいけない。
父が母を離宮から連れ出した時期と、リーの父親が王宮に訪れた時期が一致している?そのせいで呪いが移った?
呪いは血に受け継がれるという。だがあの執事は血を絶やそうとして邪魔されている。
実際王太子は生きているし私も生きている。他の神が復活したからといって本当にそうなのか理解に苦しむ。
人間に落ちたモノが天に還れるなど聞いた事がないし、許されないだろう。
ともなればそれこそ他の神を取り込む以外方法は無いのでは・・・・
不味いと思い直ぐ様リーの身体を抱き抱え女神の神殿に向かおうとする。
なにを、と止められるもリーの魂を消されては堪らないと彼女の養父と祖父に簡単に話をして神殿に向かう。
途中まで養父が一緒に馬車に乗り込んで来る。
「役に立たないかもしれませんが、兄が常に身につけていたものを渡しておきます。
リーに渡そうと思っていた物ですが、なにぶん隠密最強の祖父に鍛えられているので必要ないかと思い私が預かっていました。
母親の方のは森に入る前に粉々に砕け散りました。
何故赤子であるリーを一緒に森に連れて行ったのかはいまだにわかりませんが、リーが護られたのは確かです」
養父はそう言って私に指輪を渡してきた。何の変哲も無い、宝石さえ付いていないただの輪っか。これにどのような効果があるのか分からないが、今はこれに縋りたい。
養父は森の入り口で私達を見送る時、今度こそ幸せな人生を。と祈る様に森の中の神殿に頭を下げた。
後で聞いた話(時間が再度巻き戻った時)養母は夫がリーの事を気にかけていたので、様子を見るつもりでお茶会に参加したのだそうだ。娘は私を出汁にすれば良いと言っていたのだとか。
結局の所あそこの家族はリーに対し負い目を感じていたそうだ。
それでもリーがあまりにも普通に過ごしているものだから、ちょっかいを掛けていたのだがうまく行かなかったというオチらしい。
関わりが強ければリーも祖父にではなく育った家に助けを求めたのかもしれない、今更ながらにそう思った。
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