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廻る時
四十八
しおりを挟むマクロスの恋人の体調が良くなったことで神殿に向かう準備を整え始めた。
何も問題は無いが、王太子の様子が少しおかしい。ソーシアルに確認しても分からないとの事。
何も無いと言われればそれ迄で、用意が出来次第神殿に向かうこととなった。
道中穏やかで、獣や魔獣に会うことは殆どなく、時間は掛かったが快適に神殿に辿り着くことが出来た。
警戒しながら神殿内に踏み入れようとすれば、名も知らぬ彼に止められた。
「私が先に入り様子を見てきましょう」
何があるか分からないのが今の神殿の状態なのでその言葉に甘えることにした。
王太子に小屋でのことを聞こうものなら物凄く良い笑顔で、何にもありませんよと一蹴されてしまう。
件の彼が戻って来ると良い顔でお待たせしましたと言い放った。
「神殿内は特に罠や潜んでいる者もいませんでした。
豊穣の女神も無事のようで私が報告したかった男神と共にいらっしゃいました。
お話しなさいますか?」
皆で顔を見合わせ頷き合う。では・・・と彼を先頭に神殿ないを進んでいく。
神殿内も小屋と同じ位綺麗にされており、明らかに人の手が入ったのだと思わせた。
祭壇の間には豊穣の女神が男の腕に抱かれていた。その男の女神を見る目も優しくこの者が彼の言っていた男神であるとわかった。
我々が口を開くよりも早く男神が話しかけてきた。私たちにではなく彼に。
「何だまだ口説き落としていないのか?いやに慎重だな」
「他の者には渡しませんよ。プロポーズは二人きりで、と思っていただけです。邪魔すると怒りますよ?」
「そこ迄言うならとっとと捕まえておいたらどうだ?この気を逃せば次はないぞ?」
「はぁ、見世物ではないのですがね・・・・仕方ありません、貴女に逃げられるのはどうしても避けたいので雰囲気もへったくれもありませんが受け入れてください。
ホーネス・ランドル殿、一度貴女を見かけた時からずっと欲していました。どうか私の伴侶となっていただきたい」
そう言って彼は王太子の前に跪き求婚し、右手の甲にキスをした。
・・・・・・・・・・・あれ?二人とも男性だよね?それに私たち彼の事何一つ知らなよ?
ん?
短い様で長い沈黙の後王太子が返事をした。答えは否。
動揺も何も見せてはいなかったが、気配が揺らぐのを感じた。
「ああ、そう言えば名乗っていませんでしたね。私の名前はメイヘル、メイヘル・ギルボードです。家柄的にも問題は無いはずです。それに・・・ソーシアル殿にとっても悪い話ではありませんよ?あなた方の子を王家に入れなくても良いのですから」
「それでも断る」
「何故?」
「逆に聞くが何が目的だ」
「貴女です」
「・・・っ、それが信じられないと」
「何のために私が国を出て神の使いまでしてここに来たとお思いで?」
「その様な事私は知らない」
「他の神々にも頼んで貴女が子を成せる様にしてもらっています。その為にわたしは貴女の胎内に私の体液を注いだのですから」
「なっ」
「大丈夫ですこの国には二人の神が居る。貴女を傷つける者からは私が守って差し上げます。ですからどうぞ私に溺れてください。昔の様に素のままの貴女が欲しい」
そう言ってメイへるは王太子を抱きしめた。意味がわからない取り残された私たち四人は本来の目的を実行することにした。
答えてくれるかは分からないが、男神に質問を投げかけた。
「すいません、この国にはまだ豊穣の女神の加護はありますか?」
「ああ、問題は無い。私も一緒にここに居るから大丈夫だ。ただ、人間は何をするか分からない。これから先余程の事があればわからないがな。
まあ、今をしっかり生きるが良い。其方らの子も生まれ落ちる日を楽しみにしているぞ」
「嬉しい言葉ありがとうございます。もう一つは、リーズラントに女神の加護はまだついていますか?」
「薄れてはいないな、無くなってもいない。だからこそ気をつけておけ、加護を授かっていると言うことは良いことばかりではない。精神的苦痛を与えないように気をつけるんだな」
それを聞いたソーシアルは私をギュッと抱きしめた。もう二度と失いたく無いという言葉と共に。
「お答え頂きありがとうございます」
そう言って神殿を後にしようと思っても、王太子とメイヘルの二人は押し問答を繰り返している。
最終的にメイヘルが王太子に激しいキスを喰らわして、免疫のない王太子が気絶したことで幕が下された。
嬉しそうに王太子を横抱きにし、愛おしそうに見つめ男は、男神に向かい子供が生まれたら見せに来ます。という言葉を残して皆で神殿を後にした。勿論転移の陣を使って。侯爵家まで。
無事に事を終えた私たちは各々の部屋で休むことになったのだが、王宮に戻るまでの短い期間で王太子はメイヘルに懐柔される事となった。
そしてしばらくすると、王太子懐妊の知らせが・・・
それと同時に私も懐妊の兆しが・・・
ついでに近衛の二人もところも懐妊したらしい
男神が祝いとしてやってくれたのだとか、何とか。はた迷惑限りないと思ってしまったのは内緒でも何でもない。爺様のところで散々発散しました。
まあ、それをソーシアルに聞かれていて、出来る限りの我儘聞いてもらいましたが。
ほんと、どうしてこうなった?
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