夢か現か

黒梟

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廻る時

神族サイド

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 時間軸は欲望の神フレイヤが、復活する所です。





 欲望を司る神フレイヤと別れ神殿内を歩く。私が進む先々には誰もいない。邪魔をする者はおろか意見を言う者も限られている。
 つまり今この神殿内に私に意見してくるものなど居ないと言う事だ。

 普段は近付かない広間に足を踏み入れる。そこには透き通るように透明の球体が一つ浮いている。
 子供の頭くらいの大きさのそれは今は何も写してはいない。

 部屋の灯りを点し、球体から少し離れたところで歩みを止める。

 球体に対して真っ直ぐ手を翳し神力を注いでいく。
 この球体は本来世界を作る為に用いるもの。使用できるものは限られているので悪用されることは無い。
 そしてこの世界もこの球体によって生み出されたもの。他の世界で溢れた魂や傷付いた魂を安らげる場所として提供している。
 そして新たに生み出された神々の成長の場でもあった。だがそれを踏み躙る輩が出てくるとは思いもしなかった。よりにもよってそれが神族の中から。

 一人だけならまだ良かった。いや良くはないが対処出来る範囲であった。だが、その考えに同調したもの達が増え始め抑えが効かなくなってきた。

 その事に危機感を覚え他の世界の創世神に話を聞きに行っている間に問題が起きた。
 神が人間を示唆して同じ神を襲わせたのだ。本体は天界と呼ばれる場所にあったから良かったものの、事態は深刻であった。

 結果として示唆した神々を人間に降格させ力を封じ知識を封じた。これで安定するかと思いきやそうはならなかった。
 軍神アレスが全体を纏め上げてくれていたが、反発する者が後を絶たなかった。
 慈愛の女神のメティスも、女神達を纏めてくれていたが、豊穣の女神を嫌っている者達からの反発が大きかった。
 所謂嫉妬である。欲望の神フレイヤは豊穣の女神イシュタルには甘かった。と言うより溺愛していて、彼女が生まれ落ちた時より彼者が面倒を見ていた。そして様々な事を教え込み、最終情事の事も教えていた様だ。
 アレスが惚気がすごいとぼやいていたのを思い出す。それを快く思わない者達が手を組んだ結果がこれである。

 水晶を神力で満たすと息を吹きかける。それだけ、ただそれだけでいい。
 物の数分で天界の浄化が完了する。

 いま、私の背後で得物を構えている奴の様も然り。

 愚か者が増えたな

 そんな事を思っていれば、フレイヤが入って来た。私の背後にいたものを殺して。

アレスが頑張ってくれましたよ?人間の欲ほど厄介な物はありませんね。もう少し与え方を考えた方がいいのかもしれません」

「イシュタルは無事なのか?」

「ええ、もうすぐ子供も産まれます」

「何かいるか?」

「・・・そうやってあなたがイシュタルを甘やかすから碌な事にならないのですよ?
 もう少し考えて行動してください」

「ああ、すまんな。だが、もうこの世界もそろそろ消さねばならんと思ってな。最後に願いを聞いておこうと思ったのだが・・・」

「ほとんどの神々は影響を受けて神力を失っていますからね。どうしようもありませんよ」

「其方は創世神になろうと思わんのか?」

「お断りです。アレの魂を他の者に渡すなどあり得ない」

「やれやれ、それでこそ、だな。
アレンは何か言っておったか?」

「いえ、この世界に居る必要が無くなるのは僥倖だとしか」

「まったくどいつもこいつも・・・・まあ仕方が無いか、あれらの神々に資格は無かったと言う事だな」

「ええ、まだまともだと思っていたメティスですらアレでしたから。
 さて、そろそろ此方の浄化も完了ですかね」

「うん?やけに落ち着かんがどうかしたのか?」
 
「イシュタルの処に戻りたいだけです」

「・・・・はぁ、相変わらずだな。ほとぼりが冷めればあちらに戻ってくるのだぞ?」

「ええ、問題なく。一足早くアレスが行くと思いますのでよろしくお願いします」 

「(アレスか・・・・まあ、お前達二人が戻らん限り面白見学とか抜かして中々戻って来んだろうな)わかった。ゲートはお前達だけ通れる様にしておく」

「ありがとうございます」

 これで少しは肩の荷が降りた。後は・・・

 球体に向かい指を弾く。

 パリン

 球体が粉々に砕け散り、床に落ちる前に消えていく。

「後始末はこれで終わりだ。後は任せるぞ


 その時点で天界から神が消えた。
残った神はとある人間の最後を確認するとこの世界を去った。






 

 
 
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