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悪役を演じて見せよ!

すごろくゲーム[サイ]

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 初めてソラが世界をまたぐすごろくゲーム通称[サイ]に参加したのはまだ年端もいかないころだ。
 このゲームの参加者はランダムに色々な世界から選ばれて、強制参加を余儀なくされる。ソラも自分の部屋で漫画を読んでいるときにいきなり謎の真っ暗な闇空間に呼び出されて、混乱したものだ。真っ暗で漫画が読めやしない。

 [サイ]は通常のすごろくゲームと同様に、サイコロを使って出た目に従い、盤上のマス目に駒を進めて、ゴールを目指すボードゲームだ。マス目の指示に従い課題をこなすことで、次のサイコロをふるえるようになる。
 神様みたいな存在のゲームマスターという主催者のもと、それぞれのリーダーがチームを組んで競い合う。
 通常、いつ参加者がゴールするか不確定で、長期間要することもあるので、1か月ごとと1年ごとにチームのポイントの累計を集計して、結果を競う。
 チームリーダーはメインとサブ2人1組とした12組のグループを編成し、ポイントを稼ぎつつ、ゴールを目指すのだ。一番早くゴールした参加者のいるチームが優勝となるが、ポイントも重要となってくるのが、このゲームの醍醐味といえる。
 このゲームの目的はリーダーを神様のようなすごい存在に昇華することだ。要は、ゲームを通じて、リーダーの素質を伸ばして精神を鍛えて強くすることで、優秀な人材を育んでいるのだ。

 参加者に関しては、強制参加といいつつ、理由が何であれゲームに参加してくれそうな人や動物やらを前もって謎の神様的な手法で選出している。そのため、これまで大きな反発もなかった。今のところ、実情がどうあれ運営でも大きな支障はきたしていない。
 また参加者は彼らの特性を活かした特殊能力をこれまた謎の神様的な手法で付加される。ゴールすれば時間を戻して、元の生活に戻れるようになっていることを保障されているし、何でも1つ願いをかなえてもらえることになっている。
 最も元の生活に戻れるか否か、願いをかなえてもらえるかどうかは証明されるわけでもないので、過去の参加者の中には怒り狂って暴走したものもいるとかいないとかまことしやかに囁かれている。

 参加者もチームポイント同様に、課題を達成した場合、課題の内容に応じてポイントがもらえる。
 1万ポイント貯めると、このゲームからの離脱が可能となるし、ポイントを使って、便利なアイテムを獲得することも可能だ。
 そんなわけで、参加者も何だかんだゲームを楽しんでもらえるような設定がされている。楽しめるかどうかは参加者次第だけど。
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