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悪役を演じて見せよ!

閑散期の海坊主さん

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 ミッション、妖怪海坊主と仲良くなろう。

「あっ、おじさん、ちょっとインタビューしてもいいですか?」
「ええでええで。なんじゃい?」
 にっこり、やっぱりフレンドリーである。ソラは地図の脇に書いてある、妖怪さんと仲良くなるための会話例海坊主さん編から聞いてみることにした。アイランはメモを取る姿勢だ。ルージュは微笑んでる。

「…今まで何隻の船を海に沈めましたか?」
「いつの時代の話じゃ。今時そんなんしとったら、こっちが駆逐されちまう、冗談でもそったらこというでねえぞ」
 よく見ると、米印で注意書きがされている。【注意、昔の海坊主さんは何隻の船を沈めたか自慢しあっていたそうです、ですが、今の時代、そんな質問しようものなら軽蔑されます。】注意書きもっと目立つようにしてほしかった。
「…」
 後輩の目が痛い。

 気を取り直して、質問を続ける。
「すみません、侮辱するつもりはなかったんです、質問票に書かれておりまして。続けて質問してもよろしいでしょうか」
 腕を組んで、無言でうなずかれた。あれっ、フレンドリーじゃなくなった…。
「ええと、ええっと、好きな魔法はなんですか?」
 ガンっと、近くに合ったダストボックスを蹴って、おじさんは違う場所に移ってしまった。
 よく見ると、米印で注意書きがされている。【注意、海坊主さんは魔法に憧れています。ですが、魔力を持たない方が多いので、中にはしゃくに触ってしまう人もいます。この質問は仲良くなってから聞いてみましょう。海坊主さんの好きな魔法を披露するときっと喜んでくれるでしょう】

 ミッションはインポッシブルな方向性で舵をきった。そんなわけで、妖怪へのインタビュアーは変わって、ルージュに頼むことになった。
「…先輩、気にしないでください」
 あんまりにもしょんぼりしていたら、後輩2人に慰められた。

 その時だった。湖に白くて大きなイカが突如出現したくコ:彡
「クラーケンでたぞー! 海坊主出番だぞー!」
「まかせろい!」
 海坊主はモリをもって、クラーケンを一突きした。どうやら、閑散期の海坊主は木彫りを売ったり、クラーケンの討伐をするために遊覧船に搭乗していたようだ。
 まだうにょうにょしていたので、先ほどのお詫びも兼ねて、ソラは能力を使ってクラーケンに湖の水を高圧力をかけてぶつけた。

「はん、やるじゃねえか、坊主、見直したぜ」
 結果、クラーケンのおかげで海坊主のおじさんと仲良くなれた。おじさんは拳でわかりあえるタイプだったようだ。

 アイランのメモ、[海坊主は脳筋気味]
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