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②〈フリーナ編〉
4『雷だって食べ物です……味の分かる者にはね』
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「――それではみなさん、
金曜日までに、読書感想文の提出を忘れないでくださいね」
「「「さようなら~!!」」」
帰りのホームルームが終わり、クラス一斉に担任の先生にあいさつ。
ランドセルを乱雑に背負って駆けだす男子に、仲よし同士で群がる女子。
ユカもランドセルを背負いました。
けれど、すぐに帰ろうとはせず、窓の外のどんよりとした空を見上げて、
最近胸に抱いていることを振り返りました。
ジュンとタクから、レンと二人で動物を飼っていると言われたユカ。
ですが、それ以来ユカは、本当に飼ってみたい気持ちになったのです。
それも、ただの動物ではなくて……ドラギィを。
思いは日に日に増してゆく一方。今やユカは、
フラップといっしょに暮らしたくて、たまらなくなっていたのです――。
「レーン! 一緒に帰らない?」
タクの呼びかける声がして、
おなじみのジュンとタクが、レンの元に寄ってくるのが見えました。
「あ! ……いや、えっと、悪いんだけどさ、今日も一人がいいんだよね」
「はぁー、またかよ? お前、最近多いよ、それ」
ジュンの不満げな表情を見るのは、これで何度目でしょうか?
ユカはもう数えてもいません。
「しょうがないよ、ジュン。レンはぼくたちにも言えない、
だーいじな秘密を抱えてるんだしさ。あ、べつにイヤミじゃないよ?」
「いーや、今日こそはいっしょに帰ってもらうかんな~。
お前の秘密、洗いざらいはいてもらうまで帰さないし」
「お、おどしてもダメだって! ホントに秘密なんてないんだから!
じゃ、じゃあ、そういうわけだからさ、ごめんね!」
レンは、逃げるように早足で教室を出ていきました。
ジュンとタクは、その後ろ姿を見て、少しあきれたような笑みを浮かべます。
「なかなか攻めきれないねぇ、ぼくら。
にしても、レンはハクジョーだなあ。
親友のぼくらにすら、かたくなに口を閉ざす秘密を抱えこむなんて」
「レンは、ハクジョーなやつらとは違うだろ。
もしホントにハクジョーなら、ゴメンネ、なんて言わないじゃんさ」
そんな二人を見ていたユカは、急にいたずらっ子の感情が湧いてきて、
二人のそばに近づくと、こんなことを言いました。
「ねえ。わたしたちの秘密を知りたいなら、まず二人だけの秘密を教えて。
たとえば、二人ともにが~いコーヒーや野菜汁をゴクゴク飲める、とかね。
それができなきゃ、おあいにく様ってことで、ね」
*
うさみ町の空は、レンの内面を映し出すような、重苦しい曇天です。
降るか降らざるか、天はそれすらも決めあぐねる心を持っているのです。
どこかしら、今のフラップを連想させませんか?
あの後、レンなりにどう振舞えばいいのか、ずっと悩んでいました。
ついには、お父さんとお母さんにも相談するほどでした。
ひとりじゃないのに、ひとりぼっちを感じている友達がいると。
『――母さんたちには、くわしいこと分かんないけどさ、
その子たぶん、だれかを待ってるんじゃないかな。知らないだれかを、ね』
『そうだね。似たような感じのことは、父さんにも覚えがあるよ。
孤独の理由は、友達じゃなくて、仲間がいないことじゃないかな?
なんというか……好みや趣向が合う人とか、同じ特徴を持つ人とか』
「……仲間、かあ」
そう言えば、フラップはたった一匹で人間界に落ちてきたのでした。
スカイランドで、同じ卒業試験を受けたドラギィが大勢いるなら、
他にも人間界に落ちてきたドラギィがいるはずです。
フラップも、前にそう言っていました。
(探してあげたほうがいいのかもしれないな――)
そう決心したその時、後ろからだれかが走ってくる足音がしました。
「レンくーん! 待って! いっしょに帰ろう」
ユカです。
レンは、男の決意にユカを巻きこむわけにいくまいと、
ここは一つ、心を鉄にしてかかるべきだと思いました。
「あ……ユカちゃん、その……ゴメン!
ぼくたった今、用事を思い出しちゃってさ、走って帰らなくちゃ」
「待って、お願い。わたしの話を聞いて。
今度、一日だけでいいの。フラップをわたしの家に呼ばせてほしいな。
今日じゃなくていいから、明日か、明後日か」
「それも、ゴメン。できないんだ」
「どうして? わたしもフラップといっしょに、自分の部屋で過ごしてみたい」
ユカはまだ、フラップが元気喪失の状態にあるのを知らないのです。
解決するまで心配はかけまいと、レンが決めていましたから。
「いいでしょ? ね、ね、お願い。
フラップの好きそうな、抱っこできるお人形、いっぱい作ったんだよ」
「ユカちゃん!」レンはつい、強めの口調になってしまいました。
「あのね、フラップはペットじゃないんだ。それに、世を忍ぶ身なんだよ。
ぼくたちの都合で下手に連れ回したら、フラップに迷惑かかっちゃう」
ユカは、あっけにとられた表情をしていました。……が、
そのうちだんだんと曇った顔になり、最後には、レンをにらむような目をしました。
「……そっか、分かった! レン君の魂胆、読めちゃったから。
そうやって、フラップを独り占めする気でしょ!」
「ひ、独り占めなんかしてないったら!」
「もう、レン君の嘘つき! ハクジョー者!」
ユカはプンプン怒り出して、さっさとレンの後を走って追いこしていきました。
「あああぁ~、やっちゃった……!」
がっくりと肩を落とすレンの頭上で、
重くのしかかるような黒雲が、ゴロゴロと雷鳴を響かせはじめていました。
*
ユカは息を弾ませながら、脇目もふらずに家へと走ります。
自分とレンの間に、埋められない差を感じてしまったから――。
(分かってるもん、そんなこと……!
だからわたしだって、フラップのこと、もっとよく知りたいんだもん!)
ところが、ユカは、急にぱったりと止めました。
……それから、空を見上げました。
深い雲の中でうなり、とどろく雷鳴。
その音がまるで、意志を持ち、激しくうなる竜のごとく、
暗雲の中を泳いでいるかのように感じられたのです。
ユカが自分の肌で感じたことは、それだけではありません。
大きな雷が、呼ばれている。
何かに引き寄せられている――近い。すぐそこだ!
ユカは、雷鳴が泳いだ方角をあおぎ見ました。
するとその時……!
ピカァッ! ドォォォォォ―――ン!!
すさまじい光と地響きをともなって、すぐそこに雷が落ちました。
「きゃああぁぁーー!!」
ユカは、思わず尻もちをついて倒れ、両手で頭を抱えます。
町のあちこちからも、帰宅中の小学生や大人の悲鳴が聞こえました。
だれか雷に撃たれちゃったかしら……ユカはおそるおそる、空を見上げました。
そして、ユカは見ました。百メートル以上もの上空に、
翼を生やした生物が、まばゆい電気を放出しながら浮かんでいるのを。
(ウソ、あれ……テレビで流れてた……!)
今、メディアを騒がせている、放電する謎の飛行生物。
それが今、ユカの住む町の上空に出現したのです。
さっきの雷は、あの生き物が呼びだし、食べてしまったに違いありません。
――あ~ん! 雷オイシ~~イ!
生物が口を利きました。ここからでも聞き取れるほどの大きな声。
恍惚状態におぼれているような、幸せな叫び声でした。
しかも、その生き物は、ふいに降下しはじめて、
ユカのほうへと近づいてきたではありませんか!
(来る! こっち降りてくる!)
飛行生物は、降りてくるにしたがって、徐々に体を小さくしました。
しかも、放電の光が徐々に弱くなっていき、
だんだんとその姿があらわになったのです。
飛行生物が、ユカのすぐ真上を飛び去ります。
その一瞬、ユカはその生物の姿に、見覚えがあることに気がつきました。
(ウソでしょ。あれって……あれって!)
ええ、そうです。ユカは知っているのです。あれはまさしく……。
(ドラギィだあ!!)
赤ではなく、黄色いドラギィ。
フラップとは姿が少し違いますが、あれは間違いありません。
放電する飛行生物の正体は――なんと、フラップの仲間だったのです!
「待って! 行かないで!!」
ユカは、大砲に撃ち出される勢いで立ちあがると、
小さくなったドラギィの後を、大急ぎで追いかけていきました。
金曜日までに、読書感想文の提出を忘れないでくださいね」
「「「さようなら~!!」」」
帰りのホームルームが終わり、クラス一斉に担任の先生にあいさつ。
ランドセルを乱雑に背負って駆けだす男子に、仲よし同士で群がる女子。
ユカもランドセルを背負いました。
けれど、すぐに帰ろうとはせず、窓の外のどんよりとした空を見上げて、
最近胸に抱いていることを振り返りました。
ジュンとタクから、レンと二人で動物を飼っていると言われたユカ。
ですが、それ以来ユカは、本当に飼ってみたい気持ちになったのです。
それも、ただの動物ではなくて……ドラギィを。
思いは日に日に増してゆく一方。今やユカは、
フラップといっしょに暮らしたくて、たまらなくなっていたのです――。
「レーン! 一緒に帰らない?」
タクの呼びかける声がして、
おなじみのジュンとタクが、レンの元に寄ってくるのが見えました。
「あ! ……いや、えっと、悪いんだけどさ、今日も一人がいいんだよね」
「はぁー、またかよ? お前、最近多いよ、それ」
ジュンの不満げな表情を見るのは、これで何度目でしょうか?
ユカはもう数えてもいません。
「しょうがないよ、ジュン。レンはぼくたちにも言えない、
だーいじな秘密を抱えてるんだしさ。あ、べつにイヤミじゃないよ?」
「いーや、今日こそはいっしょに帰ってもらうかんな~。
お前の秘密、洗いざらいはいてもらうまで帰さないし」
「お、おどしてもダメだって! ホントに秘密なんてないんだから!
じゃ、じゃあ、そういうわけだからさ、ごめんね!」
レンは、逃げるように早足で教室を出ていきました。
ジュンとタクは、その後ろ姿を見て、少しあきれたような笑みを浮かべます。
「なかなか攻めきれないねぇ、ぼくら。
にしても、レンはハクジョーだなあ。
親友のぼくらにすら、かたくなに口を閉ざす秘密を抱えこむなんて」
「レンは、ハクジョーなやつらとは違うだろ。
もしホントにハクジョーなら、ゴメンネ、なんて言わないじゃんさ」
そんな二人を見ていたユカは、急にいたずらっ子の感情が湧いてきて、
二人のそばに近づくと、こんなことを言いました。
「ねえ。わたしたちの秘密を知りたいなら、まず二人だけの秘密を教えて。
たとえば、二人ともにが~いコーヒーや野菜汁をゴクゴク飲める、とかね。
それができなきゃ、おあいにく様ってことで、ね」
*
うさみ町の空は、レンの内面を映し出すような、重苦しい曇天です。
降るか降らざるか、天はそれすらも決めあぐねる心を持っているのです。
どこかしら、今のフラップを連想させませんか?
あの後、レンなりにどう振舞えばいいのか、ずっと悩んでいました。
ついには、お父さんとお母さんにも相談するほどでした。
ひとりじゃないのに、ひとりぼっちを感じている友達がいると。
『――母さんたちには、くわしいこと分かんないけどさ、
その子たぶん、だれかを待ってるんじゃないかな。知らないだれかを、ね』
『そうだね。似たような感じのことは、父さんにも覚えがあるよ。
孤独の理由は、友達じゃなくて、仲間がいないことじゃないかな?
なんというか……好みや趣向が合う人とか、同じ特徴を持つ人とか』
「……仲間、かあ」
そう言えば、フラップはたった一匹で人間界に落ちてきたのでした。
スカイランドで、同じ卒業試験を受けたドラギィが大勢いるなら、
他にも人間界に落ちてきたドラギィがいるはずです。
フラップも、前にそう言っていました。
(探してあげたほうがいいのかもしれないな――)
そう決心したその時、後ろからだれかが走ってくる足音がしました。
「レンくーん! 待って! いっしょに帰ろう」
ユカです。
レンは、男の決意にユカを巻きこむわけにいくまいと、
ここは一つ、心を鉄にしてかかるべきだと思いました。
「あ……ユカちゃん、その……ゴメン!
ぼくたった今、用事を思い出しちゃってさ、走って帰らなくちゃ」
「待って、お願い。わたしの話を聞いて。
今度、一日だけでいいの。フラップをわたしの家に呼ばせてほしいな。
今日じゃなくていいから、明日か、明後日か」
「それも、ゴメン。できないんだ」
「どうして? わたしもフラップといっしょに、自分の部屋で過ごしてみたい」
ユカはまだ、フラップが元気喪失の状態にあるのを知らないのです。
解決するまで心配はかけまいと、レンが決めていましたから。
「いいでしょ? ね、ね、お願い。
フラップの好きそうな、抱っこできるお人形、いっぱい作ったんだよ」
「ユカちゃん!」レンはつい、強めの口調になってしまいました。
「あのね、フラップはペットじゃないんだ。それに、世を忍ぶ身なんだよ。
ぼくたちの都合で下手に連れ回したら、フラップに迷惑かかっちゃう」
ユカは、あっけにとられた表情をしていました。……が、
そのうちだんだんと曇った顔になり、最後には、レンをにらむような目をしました。
「……そっか、分かった! レン君の魂胆、読めちゃったから。
そうやって、フラップを独り占めする気でしょ!」
「ひ、独り占めなんかしてないったら!」
「もう、レン君の嘘つき! ハクジョー者!」
ユカはプンプン怒り出して、さっさとレンの後を走って追いこしていきました。
「あああぁ~、やっちゃった……!」
がっくりと肩を落とすレンの頭上で、
重くのしかかるような黒雲が、ゴロゴロと雷鳴を響かせはじめていました。
*
ユカは息を弾ませながら、脇目もふらずに家へと走ります。
自分とレンの間に、埋められない差を感じてしまったから――。
(分かってるもん、そんなこと……!
だからわたしだって、フラップのこと、もっとよく知りたいんだもん!)
ところが、ユカは、急にぱったりと止めました。
……それから、空を見上げました。
深い雲の中でうなり、とどろく雷鳴。
その音がまるで、意志を持ち、激しくうなる竜のごとく、
暗雲の中を泳いでいるかのように感じられたのです。
ユカが自分の肌で感じたことは、それだけではありません。
大きな雷が、呼ばれている。
何かに引き寄せられている――近い。すぐそこだ!
ユカは、雷鳴が泳いだ方角をあおぎ見ました。
するとその時……!
ピカァッ! ドォォォォォ―――ン!!
すさまじい光と地響きをともなって、すぐそこに雷が落ちました。
「きゃああぁぁーー!!」
ユカは、思わず尻もちをついて倒れ、両手で頭を抱えます。
町のあちこちからも、帰宅中の小学生や大人の悲鳴が聞こえました。
だれか雷に撃たれちゃったかしら……ユカはおそるおそる、空を見上げました。
そして、ユカは見ました。百メートル以上もの上空に、
翼を生やした生物が、まばゆい電気を放出しながら浮かんでいるのを。
(ウソ、あれ……テレビで流れてた……!)
今、メディアを騒がせている、放電する謎の飛行生物。
それが今、ユカの住む町の上空に出現したのです。
さっきの雷は、あの生き物が呼びだし、食べてしまったに違いありません。
――あ~ん! 雷オイシ~~イ!
生物が口を利きました。ここからでも聞き取れるほどの大きな声。
恍惚状態におぼれているような、幸せな叫び声でした。
しかも、その生き物は、ふいに降下しはじめて、
ユカのほうへと近づいてきたではありませんか!
(来る! こっち降りてくる!)
飛行生物は、降りてくるにしたがって、徐々に体を小さくしました。
しかも、放電の光が徐々に弱くなっていき、
だんだんとその姿があらわになったのです。
飛行生物が、ユカのすぐ真上を飛び去ります。
その一瞬、ユカはその生物の姿に、見覚えがあることに気がつきました。
(ウソでしょ。あれって……あれって!)
ええ、そうです。ユカは知っているのです。あれはまさしく……。
(ドラギィだあ!!)
赤ではなく、黄色いドラギィ。
フラップとは姿が少し違いますが、あれは間違いありません。
放電する飛行生物の正体は――なんと、フラップの仲間だったのです!
「待って! 行かないで!!」
ユカは、大砲に撃ち出される勢いで立ちあがると、
小さくなったドラギィの後を、大急ぎで追いかけていきました。
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