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③〈フレドリクサス編〉
10『幸せに満たされたいなら、カレーが一番』②
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「おー待たせ!」
子どもたち三人は、台所からよそってきたカレーを部屋まで持ってきました。
レンが運んでいるトレーには、小皿に盛ったカレーも三皿あります。
「「待ってましたぁ!」」フラップとフリーナが歓喜しました。
「そ、それが、話に聞いた『カレー』ってやつか?」
フレディは、目の前に置かれたカレーを見て、ゴクリと生つばを呑みます。
(なんてこった。この鼻を刺激するような香り……たまらないな!)
「レンちのカレーさぁ! あの天竺チーズと相性バッツグンなんだよな!」
「しろさん、あれあれ。例のやつ」タクがしろさんに催促しました。
「天竺チーズを使った発明品、出してよ」
「むふっ、むふふふふ……しょーがないのう~!」
しろさんは、照れくさそうに笑うと、
どこからともなく自分の背後から、銀色の円盤のような容器を取り出しました。
その小さな容器の側面には、筒状の小さな穴があって、
容器の上からのぞいて見える内部には、真っ白いチーズが詰めこまれています。
「ゆけ! 『フライング・チーズ・メルター』! そーりゃ!」
しろさんが容器を投げると、まるで手裏剣のように弧を描いて飛んでいき、
そのさなかで、みるみるドーナツくらいの大きさに変わっていきました。
『ピコピコン! テンジクチーズヲ、トカシテ、ソソギマス』
容器は、レンのカレーの上でピタリと回転を止めると、
小さな穴からとろ~り、溶けた天竺チーズを注いでいきました。
トロトロトロ~。
まずはレンのカレーに。続いてジュンのに。それからタクのに。
そして、フラップ、フリーナ、フレディのカレーにと、順番に注ぎ入れます。
辛いのが苦手な人でも自然と食欲をそそられる、サカモト一番の自家製カレー。
今、その上にかかった、光沢のある純白の天竺チーズ!
「「「いただきまあす!!」」」
フレディが呆然とする中、一同は天竺チーズカレーを口に運びました。
どちらも味を打ち消し合うことなく、見事に調和した奇跡的な逸品。
彼らだけが知っている、秘密の食べ方。無敵の裏メニュー。
「ほれ、フレディも早く食べてみよ。たまげるぞ?」
フレディも、他の二匹にならって、スプーンで一口食べてみます――。
「むっ、お、おおお、おおおおお!」
全身の血が逆流するような、辛さと旨さ。極上チーズのなめらかさ。
スカイランドにいた頃には味わいもしなかった、刺激と衝撃。
「うまい! ううう、うますぎるぞ、これは!! むぐむぐ」
まわりのみんなが注目する中、フレディはどんどん食べ進めました。
天竺チーズカレーをかっこむうちに、これまで遭遇してきた人間界での苦難が、
水に洗い流されるように、ドロッと溶けて落ちていきました。
(これはいけない、視界まで溶けてきた)
九死に一生を得たような気分? 天国に召されたような幸福感?
人間界の食べ物で、まさかこれほどの気分になれるとは。
「んもう、オーバーなんだから。ほらほら、涙ふきなヨ」
と、フリーナが言葉をかけました。
「いやいや、ぼくもはじめて食べた時、そんな感じだったから」
と、フラップが言います。
「え、フラップも泣いたの!?」
「いや、ぼくは泣かなかったけど。思わず火、吹いちゃったかな」
――一同がカレーを食べ終わり、すっかりお腹がふくれた頃、
タクがこう切り出してきました。
「そういえばレン、ユカちゃんへのプレゼント、何贈るか決まった?」
「あっ!!」レンは急に声を上げました。
「まずい! すっかり忘れてた! まだ全然思いついてない……」
「マジか!? 今日は金曜日だろー。ユカちゃんの誕生日、日曜じゃん。
ったくもう、グズだなあ」
「ホントだよね。最近、調査隊の準備でいろいろあったけど、
それくらい考えておいたほうが」
「じゃあ聞くけど、ジュンとタクは、プレゼント思いついたわけ?」
「それがね、ぼくも思いついてない」
「じつはさ、おれもだったり」
あきれた……。レンは肩をすくめました。
「そろいもそろって、何をやっとる。おぬしら、ユカに何も贈らない気か?」
しろさんがベッドの上から話しかけてきました。
「イケてる男子はのう、みんな女子にプレゼントを贈るもんなんじゃ。
そうじゃろ、ドラギィたち?」
「まあ、イケてるかはともかく、ぼくもフレディも、
フリーナの誕生日には、毎年プレゼントしてますよ」
「たしかフラップ、キミは、アカモモイの実のエキスを贈るのが定番だったな。
まあ、ぼくもスケア鉱石の首飾りを、毎年あげているけどさ」
「ふたりとも、いつもありがとネッ」と、フリーナは言いました。
「でもまあ」フレディが腕を組みながら言います。
「今年の誕生日は、キミにとって知的生産性のある物を贈った方がよさそうだな。
こっちに落とされたのも、案の定、電力制御できないせいだったんだし。
何をあげようか。仔ドラギィ用の知育おもちゃ、とか?」
「んもう、ジョーダン言わないでよう」
「悪かったな。でも、キミのためを思ってるのは確かだぞ。
せっかくこうして会えたんだ。キミが一日でも早く帰れるように、
ぼくがスカイランドにまつわる学問や、その他、
スクール卒業に必要な科目を、一から教えてやろうじゃないか」
「ぜひとも、そうしてくれい!」しろさんが叫びました。
「わしではまったくの力不足じゃ。現地出身のおぬしなら、
この世界のだれもが教えるよりも、よっぽど適任だと期待しておったんじゃ」
「あたしからも、オネガイ」フリーナも祈るように頼みこみます。
「フレディなら、教えるのすごく上手だし、安心だもん」
「どーんと、まかせてくれよ」フレディは胸を張りました。
「まあ、ぼくも自分の修行について考える必要があるから、
キミにつきっきりってわけにはいかない。そこはカンベンしてくれ。
あ、そうそう。この部屋の主、レンくんと言ったかな」
「え、オレ?」
「ぼくの力が必要なら、遠慮せずに言ってくれ。
ここで養ってもらう身としては、ただの居候ってわけにもいかないからな。
可能な限り、暮らしの手伝いがしたいんだ」
「えーっと」レンは、ジュンとタクの顔を見ながら言いました。
「手伝ってほしいことっていうか、キミたちの修行のためっていうか。
じつは、ぼくたち今、やりたいことがあるんだよね」
「ほう! それはどんな?」
「ゲキシャ、するんだよ」フラップが言いました。
「レンくんたちは、ある生き物をシャシンにとりたいらしいんだ。
たしか、ケージバンに依頼が来た、とか言ってましたよね」
「その通り!」タクが人さし指を立てながら答えました。
「昨日、ついになんでも調査隊のホームページが完成してさ。
そこの掲示板に今日、最初の依頼が来たってわけ。それがね――」
「謎の湖の巨大生物を撮影せよ、てやつ!」ジュンが言います。
「依頼主は、うちの学校の、六年生の先輩男子。
ここからちょっと離れた、はなもり山ってところに、湖があってよ」
「その湖に――」レンが続きました。
「正体不明の巨大生物がいるらしいんだ」
「正体不明?」フレディはポカンとしています。
「目撃者が何人もいるみたいだけど、だれもはっきりと見たわけじゃなくて。
それが動物なのか、魚なのか、潜水艦なのか、分からないんだって」
「まだだれも写真におさめてねぇ、幻の物体っつーワケ。
よっぽど眉唾な話だからか、
まだニュースやワイドショーでも取り上げられてねーみたいでな」
「だから、報道ざたになっちゃう前に、ぼくたちでその正体を突き止めて、
証拠写真に撮ってくれっていう依頼なんだ」
「……節々に、よく分からない単語が聞こえたが」フレディは答えました。
「ようは、その湖の中で、謎めいた『巨大な何か』を探すって話だな。
なら、そういうのはぼくの得意分野だ。ぼくなら水の中だって飛べるし。
なんなら、ブルー種特有の技術を使って、キミたち全員、
湖の中を自由に探索できるようにしてあげられる。まかせてくれよ!」
子どもたち三人は、台所からよそってきたカレーを部屋まで持ってきました。
レンが運んでいるトレーには、小皿に盛ったカレーも三皿あります。
「「待ってましたぁ!」」フラップとフリーナが歓喜しました。
「そ、それが、話に聞いた『カレー』ってやつか?」
フレディは、目の前に置かれたカレーを見て、ゴクリと生つばを呑みます。
(なんてこった。この鼻を刺激するような香り……たまらないな!)
「レンちのカレーさぁ! あの天竺チーズと相性バッツグンなんだよな!」
「しろさん、あれあれ。例のやつ」タクがしろさんに催促しました。
「天竺チーズを使った発明品、出してよ」
「むふっ、むふふふふ……しょーがないのう~!」
しろさんは、照れくさそうに笑うと、
どこからともなく自分の背後から、銀色の円盤のような容器を取り出しました。
その小さな容器の側面には、筒状の小さな穴があって、
容器の上からのぞいて見える内部には、真っ白いチーズが詰めこまれています。
「ゆけ! 『フライング・チーズ・メルター』! そーりゃ!」
しろさんが容器を投げると、まるで手裏剣のように弧を描いて飛んでいき、
そのさなかで、みるみるドーナツくらいの大きさに変わっていきました。
『ピコピコン! テンジクチーズヲ、トカシテ、ソソギマス』
容器は、レンのカレーの上でピタリと回転を止めると、
小さな穴からとろ~り、溶けた天竺チーズを注いでいきました。
トロトロトロ~。
まずはレンのカレーに。続いてジュンのに。それからタクのに。
そして、フラップ、フリーナ、フレディのカレーにと、順番に注ぎ入れます。
辛いのが苦手な人でも自然と食欲をそそられる、サカモト一番の自家製カレー。
今、その上にかかった、光沢のある純白の天竺チーズ!
「「「いただきまあす!!」」」
フレディが呆然とする中、一同は天竺チーズカレーを口に運びました。
どちらも味を打ち消し合うことなく、見事に調和した奇跡的な逸品。
彼らだけが知っている、秘密の食べ方。無敵の裏メニュー。
「ほれ、フレディも早く食べてみよ。たまげるぞ?」
フレディも、他の二匹にならって、スプーンで一口食べてみます――。
「むっ、お、おおお、おおおおお!」
全身の血が逆流するような、辛さと旨さ。極上チーズのなめらかさ。
スカイランドにいた頃には味わいもしなかった、刺激と衝撃。
「うまい! ううう、うますぎるぞ、これは!! むぐむぐ」
まわりのみんなが注目する中、フレディはどんどん食べ進めました。
天竺チーズカレーをかっこむうちに、これまで遭遇してきた人間界での苦難が、
水に洗い流されるように、ドロッと溶けて落ちていきました。
(これはいけない、視界まで溶けてきた)
九死に一生を得たような気分? 天国に召されたような幸福感?
人間界の食べ物で、まさかこれほどの気分になれるとは。
「んもう、オーバーなんだから。ほらほら、涙ふきなヨ」
と、フリーナが言葉をかけました。
「いやいや、ぼくもはじめて食べた時、そんな感じだったから」
と、フラップが言います。
「え、フラップも泣いたの!?」
「いや、ぼくは泣かなかったけど。思わず火、吹いちゃったかな」
――一同がカレーを食べ終わり、すっかりお腹がふくれた頃、
タクがこう切り出してきました。
「そういえばレン、ユカちゃんへのプレゼント、何贈るか決まった?」
「あっ!!」レンは急に声を上げました。
「まずい! すっかり忘れてた! まだ全然思いついてない……」
「マジか!? 今日は金曜日だろー。ユカちゃんの誕生日、日曜じゃん。
ったくもう、グズだなあ」
「ホントだよね。最近、調査隊の準備でいろいろあったけど、
それくらい考えておいたほうが」
「じゃあ聞くけど、ジュンとタクは、プレゼント思いついたわけ?」
「それがね、ぼくも思いついてない」
「じつはさ、おれもだったり」
あきれた……。レンは肩をすくめました。
「そろいもそろって、何をやっとる。おぬしら、ユカに何も贈らない気か?」
しろさんがベッドの上から話しかけてきました。
「イケてる男子はのう、みんな女子にプレゼントを贈るもんなんじゃ。
そうじゃろ、ドラギィたち?」
「まあ、イケてるかはともかく、ぼくもフレディも、
フリーナの誕生日には、毎年プレゼントしてますよ」
「たしかフラップ、キミは、アカモモイの実のエキスを贈るのが定番だったな。
まあ、ぼくもスケア鉱石の首飾りを、毎年あげているけどさ」
「ふたりとも、いつもありがとネッ」と、フリーナは言いました。
「でもまあ」フレディが腕を組みながら言います。
「今年の誕生日は、キミにとって知的生産性のある物を贈った方がよさそうだな。
こっちに落とされたのも、案の定、電力制御できないせいだったんだし。
何をあげようか。仔ドラギィ用の知育おもちゃ、とか?」
「んもう、ジョーダン言わないでよう」
「悪かったな。でも、キミのためを思ってるのは確かだぞ。
せっかくこうして会えたんだ。キミが一日でも早く帰れるように、
ぼくがスカイランドにまつわる学問や、その他、
スクール卒業に必要な科目を、一から教えてやろうじゃないか」
「ぜひとも、そうしてくれい!」しろさんが叫びました。
「わしではまったくの力不足じゃ。現地出身のおぬしなら、
この世界のだれもが教えるよりも、よっぽど適任だと期待しておったんじゃ」
「あたしからも、オネガイ」フリーナも祈るように頼みこみます。
「フレディなら、教えるのすごく上手だし、安心だもん」
「どーんと、まかせてくれよ」フレディは胸を張りました。
「まあ、ぼくも自分の修行について考える必要があるから、
キミにつきっきりってわけにはいかない。そこはカンベンしてくれ。
あ、そうそう。この部屋の主、レンくんと言ったかな」
「え、オレ?」
「ぼくの力が必要なら、遠慮せずに言ってくれ。
ここで養ってもらう身としては、ただの居候ってわけにもいかないからな。
可能な限り、暮らしの手伝いがしたいんだ」
「えーっと」レンは、ジュンとタクの顔を見ながら言いました。
「手伝ってほしいことっていうか、キミたちの修行のためっていうか。
じつは、ぼくたち今、やりたいことがあるんだよね」
「ほう! それはどんな?」
「ゲキシャ、するんだよ」フラップが言いました。
「レンくんたちは、ある生き物をシャシンにとりたいらしいんだ。
たしか、ケージバンに依頼が来た、とか言ってましたよね」
「その通り!」タクが人さし指を立てながら答えました。
「昨日、ついになんでも調査隊のホームページが完成してさ。
そこの掲示板に今日、最初の依頼が来たってわけ。それがね――」
「謎の湖の巨大生物を撮影せよ、てやつ!」ジュンが言います。
「依頼主は、うちの学校の、六年生の先輩男子。
ここからちょっと離れた、はなもり山ってところに、湖があってよ」
「その湖に――」レンが続きました。
「正体不明の巨大生物がいるらしいんだ」
「正体不明?」フレディはポカンとしています。
「目撃者が何人もいるみたいだけど、だれもはっきりと見たわけじゃなくて。
それが動物なのか、魚なのか、潜水艦なのか、分からないんだって」
「まだだれも写真におさめてねぇ、幻の物体っつーワケ。
よっぽど眉唾な話だからか、
まだニュースやワイドショーでも取り上げられてねーみたいでな」
「だから、報道ざたになっちゃう前に、ぼくたちでその正体を突き止めて、
証拠写真に撮ってくれっていう依頼なんだ」
「……節々に、よく分からない単語が聞こえたが」フレディは答えました。
「ようは、その湖の中で、謎めいた『巨大な何か』を探すって話だな。
なら、そういうのはぼくの得意分野だ。ぼくなら水の中だって飛べるし。
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