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〈フロン編〉
11『もし魚に鳴き声があったら、どんな声かしら』②
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「まったく、頼むよフリーナ。フラップもいるのに、誤って川に落水するとは。
こんなことは、キミの電光石火至上、初めての失態なんじゃないか?」
「ごめんなさい……アタシなら心配ないって思ってたんだけどナ」
三匹は、雨をしのぐために近くにかかっていた道路橋の下の、
コンクリートの柱のすき間に身を潜めていました。
フリーナの失敗で川の中に落ちてしまったために、
フラップは全身の毛がびしょ濡れになり、しばらくぐったりと座りこんでいました。
まあ、ひどい脱力感に見舞われただけで、命に別状はありません。
フリーナとフレディが身体をふいてくれたおかげで、
少しだけ元気が戻ってきたところです。
「やっぱりぼく……待ってた方がよかったかなあ……?」
「だとしても、キミは雨の中ここまで来た。
困難に立ち向かうのが好きなんだろう? 胸を張っていればいいさ」
「でも、ぼくはふたりに迷惑を……」
「フラップ。そういうことは言わないようにしておいてくれ。
ぼくは、キミの強い心を少なからず、評価しているんだから。
昔、スカイランドでよく洞窟や暗い森の中に肝試しをしにいっただろう?」
「え? ああ、そうだったね」
「ぼくは暗い場所ってだけですぐにベソをかいていたが、キミは違った。
ぼくとフリーナを先導して、暗闇に眠る自然の秘密ってやつを探りたがった。
キミは、ぼくのなけなしの勇気より、何倍もの大きな勇気を持っているんだ」
その言葉をうけて、フラップは覇気のない顔に小さな笑顔を浮かべます。
「……フレディからそんなふうに言われたの、ぼく初めてだなぁ。
自分に強い勇気があるとか、一度も思ったこともないけど、
キミが、フレディがそういうふうに言うのなら――」
「ふたりとも! 来た! 来た来た、黒金魚だよ!」
柱のすき間のふちから雨の河川敷を見張っていたフリーナが、
大急ぎで呼びかけてきました。
フレディがフラップに肩を貸して、いっしょにのぞき見ると、
ゆらめく尾を引いた不気味な黒金魚が一匹、
雨の中、悠然と宙をたゆたう姿を見つけたのです。
「こんな雨の中、気持ちよさそうに泳ぐなあ」
と、フラップはつぶやきました。
「カエルの仲間なのカナ?」
「さあな。なんにせよ、この場所があの黒金魚と何らかの関係はありそうだ」
黒金魚たちのこともありますが、
じつのところ、フラップとフリーナはこの場所に見覚えがありました。
まだフレディと再会していない頃に来た場所なので、
そのことをわざわざ口に出すことはしませんでしたが。
「あ、別の黒金魚さんもきたよ!」
フラップが指をさすと、土手の上からひょっこりと、
黒い魚の陰が新しく雨の中を滑るように泳いできました。
しかも、今度は二匹同時に!
「この場所を張っておいて、正解だったネ」
フリーナは二ッとして、フラップとフレディの顔を見ました。
三匹の黒金魚は河川敷に集まり、輪を作って回遊をはじめます。
雨に打たれながら、河川敷の上をふうわふうわと上がったり下がったり、
まるで小さなメリーゴーランドのように泳いでいます。
「やっぱり何か、話してたりするのカナ?」
「余計な音のせいで、会話しているのかどうかも分からないな」
どしゃぶりの雨の音と、いつもより激しくなった川の音が、
遠くの小さな声すらかき消すほどでした。
それでも何か、黒金魚たちの声の一片でも聞こえはしないかと、
フラップは柱のすき間からぬっと身を乗り出し、耳をそばだてました。
すると――。
にゃーーぁ!?
フラップは一瞬、自分の耳を疑いました。
黒金魚たちの一匹が、話しこみ中に何かを驚いたように上下に身を揺らした時、
たしかにそう鳴いたように聞こえたのです。
「猫の声が……」
「え、猫の声?」
「近くに野良猫でもいるんじゃないか?」
フラップはさらに他の声を拾うため、
やわらかな自分の垂れ耳に神経を注ぎました。深く深く神経を注ぎました。
あらゆる水の音に紛れて消えてゆく本当の声を、一滴も聞きのがさないように。
にゃ~ご。
また聞こえました。やっぱり黒金魚たちの方からやってきます。
にゃーーお? にゃごにゃご。んにゃあ~~。ゴロゴロゴロ。
フラップは長いしっぽをぴょこぴょこと陽気に動かしました。
「たしかにあの三匹、楽しそうに会話してるよ。にゃあにゃあ、ゴロゴロって」
「へえ。猫の言葉を話せるお魚たちなんだネェ~」
「いやいや、待て待て」フレディがハエを追い払うような仕草をしました。
「そもそもどうして、魚が猫の鳴き声を出すんだ?
水に濡れたせいで、気が変になったんじゃないのか、フラップ」
「それ、ひどくない?」フラップはフレディをにらみつけました。
「ぼくはいたって正気だよ。さっきは胸を張れって励ましてくれたのに、
今度は水が苦手なぼくをバカにするわけ?」
「仕方ないだろ。キミがあんまり的外れなことを言い出すものだから」
「んもう、ちゃんと見てなきゃ駄目だヨ、ふたりとも」フリーナが憤慨しました。
「ほら、黒金魚たちが動き出した! こっちに来るみたい」
三匹はすき間の中に少し下がりました。
三匹の黒金魚たちは、橋の下にやってくると、
薄ぼんやりとした日陰の中で横一列にきれいにならびます。
こうして見ると、集団での行動も得意そうです――
が、次の瞬間、黒金魚の頭の中から、何かがにょきっと生えてきました。
それは……手でした。しかも、白い猫の手!
ドラギィたちの場所から見下ろすと、米粒くらいの大きさにしか見えませんが、
はっきりと分かります。魚の頭から猫の手が現れたのです。
その猫の手には、小さなリモコンのようなものが握られていました。
おかしな細いアンテナが伸びていて、先端には猫の顔のマークがついています。
ポワワワワァ。
奇妙な音とともに、
黒金魚たちの前に虹色の光がうず巻く、〈穴〉が現れました。
まるで水面に浮かぶかのように輪郭がかすかにゆらめく、
表の世界から裏側の世界へとつながるトビラ――〈異界穴〉でした!
「おいおい、あれはどういうことなんだ!?」
フレディが目を見張ります。
「異界穴は、ぼくらドラギィにしか開けないはずなのに」
「あの黒金魚さんたち、ただの生き物じゃないのかもしれない」
フラップたちがあ然として見守る中、
黒金魚たちは異界穴の中へ、一匹、また一匹と跳びこんでいきます。
うさみ町には異界穴がいくつもあって、
レンとドラギィたちが調査を進めていましたが、
あの穴の先は、たしか調査ずみでした。何があるかも知っています。
開かれた穴が再び静かに消えていくと、フラップは勇むように言いました。
「ぼくたちも入ってみよう」
「正気か?! 何があるか分からないんだぞ」
「ていうかフラップぅ、まだぜんぜん本調子じゃないんでしょ?」
「大丈夫だよ。まだほんのちょっと濡れてるけど、
この程度なら飛ぶことくらいはできるから」
フラップは、目の前にある一つの真実に挑むために、
気を引きしめながらこう答えました。
「ぼくたちは、これからも三にんでいっしょに修行をするんだ。
どこにいても、ずっといっしょだから。そうだろう?
何が待っていても、三にんで力を合わせれば、どんな謎も解き明かせるし、
巨大なイカだってやっつけられる。何のことはないよ」
「燃えることを言うじゃないか!」フレディは大笑いしました。
「フラップも、たまにはいいこと言うよネ!」
「たまには、は余計だよ」フラップはふくれっ面になって言いました。
「ふたりとも、異存はないね。じゃあ行こう。
あそこの異界穴を開いて、黒金魚たちの正体を暴くんだ」
三匹は、柱のすき間から順番に列をなして飛び出し、仔犬サイズになって、
今しがた裏側の世界へのトビラが開いていた場所の前に降りました。
異界穴を開くのは、フラップの役目でした。
ドラギィは、目に見えない異界穴を呼び出す力があるのです。
身体は濡れていても、このくらいなら造作もありません。
フラップが両手を前にかかげ、精神を集中させると、
あの異界穴が目の前に、パアッと、
歓喜するような虹色の光とともに再び姿を現しました。
(ここにレン君がいないことが、本当に残念だなぁ)
三匹で穴の中へ突入する手前、フラップはそんなことを思うのでした。
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※6/18に、今後にまつわる重大なお知らせを近況ボードに掲載いたしました。
まだご覧になっていない方は、ご一読いただきますようお願いいたします――。
こんなことは、キミの電光石火至上、初めての失態なんじゃないか?」
「ごめんなさい……アタシなら心配ないって思ってたんだけどナ」
三匹は、雨をしのぐために近くにかかっていた道路橋の下の、
コンクリートの柱のすき間に身を潜めていました。
フリーナの失敗で川の中に落ちてしまったために、
フラップは全身の毛がびしょ濡れになり、しばらくぐったりと座りこんでいました。
まあ、ひどい脱力感に見舞われただけで、命に別状はありません。
フリーナとフレディが身体をふいてくれたおかげで、
少しだけ元気が戻ってきたところです。
「やっぱりぼく……待ってた方がよかったかなあ……?」
「だとしても、キミは雨の中ここまで来た。
困難に立ち向かうのが好きなんだろう? 胸を張っていればいいさ」
「でも、ぼくはふたりに迷惑を……」
「フラップ。そういうことは言わないようにしておいてくれ。
ぼくは、キミの強い心を少なからず、評価しているんだから。
昔、スカイランドでよく洞窟や暗い森の中に肝試しをしにいっただろう?」
「え? ああ、そうだったね」
「ぼくは暗い場所ってだけですぐにベソをかいていたが、キミは違った。
ぼくとフリーナを先導して、暗闇に眠る自然の秘密ってやつを探りたがった。
キミは、ぼくのなけなしの勇気より、何倍もの大きな勇気を持っているんだ」
その言葉をうけて、フラップは覇気のない顔に小さな笑顔を浮かべます。
「……フレディからそんなふうに言われたの、ぼく初めてだなぁ。
自分に強い勇気があるとか、一度も思ったこともないけど、
キミが、フレディがそういうふうに言うのなら――」
「ふたりとも! 来た! 来た来た、黒金魚だよ!」
柱のすき間のふちから雨の河川敷を見張っていたフリーナが、
大急ぎで呼びかけてきました。
フレディがフラップに肩を貸して、いっしょにのぞき見ると、
ゆらめく尾を引いた不気味な黒金魚が一匹、
雨の中、悠然と宙をたゆたう姿を見つけたのです。
「こんな雨の中、気持ちよさそうに泳ぐなあ」
と、フラップはつぶやきました。
「カエルの仲間なのカナ?」
「さあな。なんにせよ、この場所があの黒金魚と何らかの関係はありそうだ」
黒金魚たちのこともありますが、
じつのところ、フラップとフリーナはこの場所に見覚えがありました。
まだフレディと再会していない頃に来た場所なので、
そのことをわざわざ口に出すことはしませんでしたが。
「あ、別の黒金魚さんもきたよ!」
フラップが指をさすと、土手の上からひょっこりと、
黒い魚の陰が新しく雨の中を滑るように泳いできました。
しかも、今度は二匹同時に!
「この場所を張っておいて、正解だったネ」
フリーナは二ッとして、フラップとフレディの顔を見ました。
三匹の黒金魚は河川敷に集まり、輪を作って回遊をはじめます。
雨に打たれながら、河川敷の上をふうわふうわと上がったり下がったり、
まるで小さなメリーゴーランドのように泳いでいます。
「やっぱり何か、話してたりするのカナ?」
「余計な音のせいで、会話しているのかどうかも分からないな」
どしゃぶりの雨の音と、いつもより激しくなった川の音が、
遠くの小さな声すらかき消すほどでした。
それでも何か、黒金魚たちの声の一片でも聞こえはしないかと、
フラップは柱のすき間からぬっと身を乗り出し、耳をそばだてました。
すると――。
にゃーーぁ!?
フラップは一瞬、自分の耳を疑いました。
黒金魚たちの一匹が、話しこみ中に何かを驚いたように上下に身を揺らした時、
たしかにそう鳴いたように聞こえたのです。
「猫の声が……」
「え、猫の声?」
「近くに野良猫でもいるんじゃないか?」
フラップはさらに他の声を拾うため、
やわらかな自分の垂れ耳に神経を注ぎました。深く深く神経を注ぎました。
あらゆる水の音に紛れて消えてゆく本当の声を、一滴も聞きのがさないように。
にゃ~ご。
また聞こえました。やっぱり黒金魚たちの方からやってきます。
にゃーーお? にゃごにゃご。んにゃあ~~。ゴロゴロゴロ。
フラップは長いしっぽをぴょこぴょこと陽気に動かしました。
「たしかにあの三匹、楽しそうに会話してるよ。にゃあにゃあ、ゴロゴロって」
「へえ。猫の言葉を話せるお魚たちなんだネェ~」
「いやいや、待て待て」フレディがハエを追い払うような仕草をしました。
「そもそもどうして、魚が猫の鳴き声を出すんだ?
水に濡れたせいで、気が変になったんじゃないのか、フラップ」
「それ、ひどくない?」フラップはフレディをにらみつけました。
「ぼくはいたって正気だよ。さっきは胸を張れって励ましてくれたのに、
今度は水が苦手なぼくをバカにするわけ?」
「仕方ないだろ。キミがあんまり的外れなことを言い出すものだから」
「んもう、ちゃんと見てなきゃ駄目だヨ、ふたりとも」フリーナが憤慨しました。
「ほら、黒金魚たちが動き出した! こっちに来るみたい」
三匹はすき間の中に少し下がりました。
三匹の黒金魚たちは、橋の下にやってくると、
薄ぼんやりとした日陰の中で横一列にきれいにならびます。
こうして見ると、集団での行動も得意そうです――
が、次の瞬間、黒金魚の頭の中から、何かがにょきっと生えてきました。
それは……手でした。しかも、白い猫の手!
ドラギィたちの場所から見下ろすと、米粒くらいの大きさにしか見えませんが、
はっきりと分かります。魚の頭から猫の手が現れたのです。
その猫の手には、小さなリモコンのようなものが握られていました。
おかしな細いアンテナが伸びていて、先端には猫の顔のマークがついています。
ポワワワワァ。
奇妙な音とともに、
黒金魚たちの前に虹色の光がうず巻く、〈穴〉が現れました。
まるで水面に浮かぶかのように輪郭がかすかにゆらめく、
表の世界から裏側の世界へとつながるトビラ――〈異界穴〉でした!
「おいおい、あれはどういうことなんだ!?」
フレディが目を見張ります。
「異界穴は、ぼくらドラギィにしか開けないはずなのに」
「あの黒金魚さんたち、ただの生き物じゃないのかもしれない」
フラップたちがあ然として見守る中、
黒金魚たちは異界穴の中へ、一匹、また一匹と跳びこんでいきます。
うさみ町には異界穴がいくつもあって、
レンとドラギィたちが調査を進めていましたが、
あの穴の先は、たしか調査ずみでした。何があるかも知っています。
開かれた穴が再び静かに消えていくと、フラップは勇むように言いました。
「ぼくたちも入ってみよう」
「正気か?! 何があるか分からないんだぞ」
「ていうかフラップぅ、まだぜんぜん本調子じゃないんでしょ?」
「大丈夫だよ。まだほんのちょっと濡れてるけど、
この程度なら飛ぶことくらいはできるから」
フラップは、目の前にある一つの真実に挑むために、
気を引きしめながらこう答えました。
「ぼくたちは、これからも三にんでいっしょに修行をするんだ。
どこにいても、ずっといっしょだから。そうだろう?
何が待っていても、三にんで力を合わせれば、どんな謎も解き明かせるし、
巨大なイカだってやっつけられる。何のことはないよ」
「燃えることを言うじゃないか!」フレディは大笑いしました。
「フラップも、たまにはいいこと言うよネ!」
「たまには、は余計だよ」フラップはふくれっ面になって言いました。
「ふたりとも、異存はないね。じゃあ行こう。
あそこの異界穴を開いて、黒金魚たちの正体を暴くんだ」
三匹は、柱のすき間から順番に列をなして飛び出し、仔犬サイズになって、
今しがた裏側の世界へのトビラが開いていた場所の前に降りました。
異界穴を開くのは、フラップの役目でした。
ドラギィは、目に見えない異界穴を呼び出す力があるのです。
身体は濡れていても、このくらいなら造作もありません。
フラップが両手を前にかかげ、精神を集中させると、
あの異界穴が目の前に、パアッと、
歓喜するような虹色の光とともに再び姿を現しました。
(ここにレン君がいないことが、本当に残念だなぁ)
三匹で穴の中へ突入する手前、フラップはそんなことを思うのでした。
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※6/18に、今後にまつわる重大なお知らせを近況ボードに掲載いたしました。
まだご覧になっていない方は、ご一読いただきますようお願いいたします――。
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