俺の隣にいるのはキミがいい

空乃 ひかげ

文字の大きさ
102 / 104
第三章

対等のライバル

しおりを挟む
【悠理 side】

次の日の放課後。
夕陽が斜めに差し込む、誰もいない空き教室。
俺が呼び出すと瑠夏と天音は文句を言いながらも、ちゃんとそこに現れた。

「なんだよ、悠理。
部活の前に改まって」
「珍しいね、悠理がこういう場所を指定してくるなんて」

2人と向かい合う。
昨日、校舎裏で泣いていたひなたを抱きしめた時の感覚がまだ腕の中に残ってる。
俺は一度深く息を吐き、2人の目をまっすぐに見据えて頭を下げた。

「……悪い。
先に謝らせてくれ」
「あ?」
「……どうしたの、急に」

俺は顔を上げ、言葉を継いだ。
「お前らがひなたのこと、ずっと前から好きだったのは分かってる。
……俺は今まで、お前らを横から見てるだけでいいと思ってた。
けど、もう無理だわ」

沈黙が流れる。
俺は拳を強く握りしめ、自分の中にあった淀みをすべて吐き出すように告げた。

「俺も、ひなたが好きだ。
……1人の女として、心底惚れてる。
だから、お前らに譲るつもりはねぇ。
これからは、ライバルとして俺も本気で行動していく」

言い終えて、俺は2人の驚く顔を予想していた。
けど――。

「……はぁ。
やっとかよ、テメェは」

瑠夏が大きくため息をつき、呆れたように頭をかいている。
天音も、クスクスと肩を揺らして小さく笑っていた。

「自覚するの、遅すぎるよ悠理。
君は自分の気持ちにだけは、本当に鈍感だよね」

2人の反応に、今度は俺の方が固まった。

「……驚かねぇのかよ」
「驚くわけねぇだろ。
見てりゃ分かんだよ、お前がひなたを見る目がいつの間にか変わってたことくらい」
瑠夏が不敵に口角を上げ、俺の肩を軽く小突いた。

「これでやっと、同じ土台に上がってきたな。
……おせぇんだよ、バカ野郎」
天音も穏やかな、でも鋭いの瞳で俺を見た。

「人を好きになるのに、誰かの許可なんていらない。
恋愛ってそういうものだろ? 
……まぁ、わざわざ教えに来てくれたのは助かるけどね。
これで心置きなく、悠理も叩き潰せるよ」

2人の言葉が、すとんと胸に落ちた。
俺は心の底から安堵して、思わず吹き出した。

「……はは、サンキュ。
お前らには、一生勝てねぇ気がしてたけど……。
ひなたのことだけは、負ける気ねぇから」

「ハッ、言ってろ!
 お前にはもったいねぇんだよ」
「そうだね。
ひなたの隣は、俺が一番似合ってると思うし」

昨日の涙を拭ったのは俺だ。
あいつの脆い部分を知っているのも、今のところは俺かもしれない。
でも、この2人の想いの強さも俺は誰よりも知っている。

「……お前ら、覚悟しとけよ。
俺、一度決めるとしつこいからな」

俺の挑発に、2人が同時に笑みを深める。
夕暮れの教室。
友情と、恋心と、譲れない意地。
3人の間に流れる空気は今まで以上に熱く、そして心地よかった。

「うしっ、じゃあ部活行くか。
 明日から俺達は対等のライバルだからな、悠理!」
「悠理、覚悟してよ?」
「…望むところだ!

俺は2人の背中を追いかけながら、心の中でひなたの笑顔を思い浮かべた。
明日からは、もう「傍観者」の位置にいない。
俺は俺のやり方で、あいつの隣に立ってみせる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

家から出ない女優の幼馴染を連れ出したら、いつの間にか伝説になっていた件。

Memu(メム)
恋愛
学校に行かない引きこもりの国民的女優――水宮小鞠。 女の子に間違われる地味男子――白雲凪。 俺に与えられた役目はひとつ。 彼女を、学校へ連れて行くこと。 騒動になれば退学。 体育祭までに通わせられなくても退学。 成功率ほぼゼロの無理ゲーだ。 距離は近い。 でも、心は遠い。 甘えてくるくせに、本音は隠す幼馴染。 それでも―― 俺は彼女の手を引く。 退学リミット付き登校ミッションから始まる、 国民的スター幼馴染とのドタバタ青春ラブコメ、ここに開幕。

処理中です...