俺の隣にいるのはキミがいい

空乃 ひかげ

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第三章

選んだのは

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私は紙をポケットに入れて紅組のテント目指して走る。
痛めた右足は、天音のテーピングによってか、殆ど痛みを感じなかった。

移動してないならきっとさっきの場所にいるはず…!
そう思いながら駆ける足を止める事なく、紅組のテントに着いて少し乱れた息を整える様に肩で息をする。

迷ってる暇はない。
私が目の前に現れて、驚いてる4人の顔を見た。
「ひ、ひなた!?」
「どうしたの?
何かいる?」
「まさか定番のやつ引き当てたとかじゃないよな?」
「何か力になれるなら言ってね!」

それぞれ私の心配をしてくれてる。
やっぱり、私には…。
フッと目を細めて満面の笑みを作り、みんなの目の前に手を差し出す。

「瑠夏、天音、悠理、蛍!
私と一緒に来て!」

やっぱり私には…この4人が大切で、大好きなかけがえのない存在なんだ。
今はまだ誰か1人を選ぶより、みんなと一緒が良い。

私の言葉に、4人共一瞬驚いた表情をした後、すぐに嬉しそうに笑って私の手を取ってくれた。

「「「「当たり前だろ」」」でしょ」

4人の声がハモる。
それが可笑しくて、5人で笑った後蛍の手を繋いで駆け出した。
男子3人は私と蛍の後ろを着いて駆けていく。

そしてまさかのこのターンでは私が1位だった。
白いテープをみんなで切ってゴールする。

ちょっと時間かかったかなって思ったのに、一体他の子達はどんな思いだったんだろう…?
逆に気になる。

そう思っていた所に、紙の内容が合ってるか確認しに来た男子生徒の先輩がマイクを持って近づいてくる。
『1位おめでとうございます!
えーと、4人の生徒を連れて来て…内容は友達だったんでしょうか?』

紙をポケットから出して先輩に渡す。
『えーと…あぁっ!
本日まだ出ていなかった定番のお題ですね!
好きな人または大切な人!』
マイクでお題を言われてスピーカーから大音量で親と先生、全校生徒に知らされる。

やめて、恥ずかしい…!
グラウンドが少しざわついているのがわかる。
お題を初めて知った4人は、またしても驚いた顔をしていた。

『あなたにとって、この子達が好きな人または大切な人ですか?』
先輩のマイクが私に向けられる。

物とかがお題の子は「OKです!」って言ってすぐ終わってたのに、何で私の時は質問してくるの…!?
ちゃんとし過ぎじゃない!?

「えっと…」
迷ってみんなの方に顔を向けると、4人は優しく微笑んでくれた。
…深呼吸をひとつ。

「そうです。
4人は私に取ってかけがえのない大切な存在なんです!」
私の声がスピーカーからグラウンド全体に響き渡る。
恥ずかしさなんかより、みんなが大切という本当の気持ちの方が勝っていた。

シーンと一瞬静かになった後、わぁー!っと生徒達がいるテントの方から歓声が上がる。

「何これ!
めっちゃ青春じゃん!」
「いいぞー!
最高ー!」
あちこちから歓声やら楽しそうな声が飛び交う。
『なるほど、素敵な絆ですね。
ではOKなので1位の列に並んでくださいね!』

少しの間生徒達の盛り上がりは続いていたけど、次第に収まっていった。
1位の列に並ぶ時、4人と「また後でね」と一時別れ、種目が終わってテントに戻って来てまた再会する。

4人の雰囲気は私が借り物競走に行く時より、何だか穏やかになっていた。

「やー、まさか駆り出されるとは思ってなかったからびっくりしちゃったよー」
「本当にね。
でも大切だって思ってくれてるのが嬉しい」
「まぁ…俺らもひなたの事大切に思ってるし…」
「流石の俺もいきなりでビビったけど…ありがとなひなた」

蛍、天音、瑠夏、悠理…それぞれ優しく私を見つめて微笑み、帰ってきた私を4人の輪の中に入れてくれた。

やっぱり、みんなといるのが1番楽しいし、落ち着く…。
みんなを選んで良かった。

私は照れながらはにかみつつも、嬉しそうにみんなの輪の中に入っていった。

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