シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第2章〜クルムテント王立学園〜

第39話〜なでなで〜

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僕がワトルを教え始めて1週間。元が良かったのか彼は様々な僕が教える事を吸収していく。そして、僕は・・・いや、ナビは、ワトルのある可能性を見ていた。
それは、ワトルの恩恵が僕と同じ進化する可能性。僕もそれには同意した。ワトルはまだ10歳になったばかりだが、明らかにおかしな点があった。

剣術を教えている最中、僕はワトルに模擬戦で手を抜いてたとはいえ、負けたのだ。

ワトルは大喜びしていたが、僕は自身の持っていた剣を見て、戦慄した。
僕が今回負けた理由は、ワトルと僕の剣がぶつかり、何故かそのワトルの剣が何か柔らかな物をスったように、僕の剣を滑らかに抜けて、不意を打った僕のアーマーに当たったからだ。

一瞬は彼が受け流しを覚えたのかと思ったのだが、彼の純粋な喜びを見ると、そんなふうには見えない。
なら、咄嗟に編み出したのか?と、剣を見た訳だが。

『曲がっていますね。不自然なくらい捻るように。』

「・・・あぁ。」

僕の剣は溶けていた。言葉そのままで、ぶつかり合った場所が溶けていたのだ。

「こんな手抜き工事、いや手抜き鍛冶見た事がない?クリセントが言うには刃を潰した安物の鉄の塊のような剣だと聞いたが。」

そう唸っていると、ワトルが凄くいやらしい笑顔で僕の方に走ってきていた。それを見ると、少し嫌な予感がした。

「あれぇ、ホワイトさん言い訳ですか~?S級冒険者の《白王の仮面》の二つ名があるホワイト様が、言い訳ですか~?」

僕は黙って拳を振り抜いた。痛たぁ!!と、下から声がするが、特に気にしない。
本当にワトルは最初の上品さが嘘のようになっていた。二日三日までは、よそよそしかったのだが、それから先はこんなように段々と、人を煽るようになった。クリセントの為にも僕が、躾をしてあげなきゃね。

「調子に乗るのもいい加減にしろよ小僧。貴様が、勝てたのは確かに貴様自身の力だ。だがな・・・少し見せろ。」

「え?ほ、ホワイトさん。ちょっと僕、おと」

なに、またよそよそしくなってんだよ。ステータス除くだけだろうが。


ワトル・ロージャン Lv4

ステータス
体力30
攻撃16
防御20
素早さ60
知能240
魔力200
魔防160
気力120
幸運A+
才能B+
成長スキルポイント5Lv×1獲得
スキルポイント1(五分の一成長比例)

スキル
【白王流】オートスキル【執着の教え子】の能力で生まれたもの。S級冒険者《白王の仮面》ホワイトへの師事により、彼の剣術を魔力消費無しで、一部使う事が出来る。教わる事に最新される。

マジックスキル
なし

オートスキル
【執着の教え子】教えられる相手が自身より格上な程、自身への影響が強くなる。ただし、教えられた相手へ強い執着が生まれ、教えられる物が出尽くすまで、その者への執着は収まらず、出尽くした後も、その者が深く記憶に残る。

称号
【性別無視】男女の性別を無視し、男性と女性それぞれから100人ずつそれが認められた場合習得。生涯その麗しい美形を保つ。

恩恵
【粒子化】数秒間、物を粒子へ変換する。
変換した物は本人以外直せない。


・・・色々突っ込みたい所はあるけど、【粒子化】か。
なんか、The チートっぽいね。本当に。

『粒子化の先には原子という恩恵になります。既に、マスターの世界では確立されたマスターが言うところの最強の恩恵に近いと言えますね。』

粒子と来て、予想はしてたけど原子って・・・。なんかもう凄いわ。ナビからも言質取れちゃったし本当に最強なんだね。

『粒子化は、それほどもありませんが、進化して原子になると、物ではなく、者にまでその能力が発揮されます。』

・・・・・・想像してみたけど、身体をバラバラの更にバラバラの更にーーーってなるなんて、考えたくもないね。

「お前には既に恩恵がある。」  

不意だったのだろうか、僕が言ったことにビクッとなるワトル。言うか迷って言ったつもりなのだが、この反応・・・分かってたな?

「ワトル、分かってたのか恩恵が既に発言していることが。」  

「・・・はい。二日くらい前から、お姉ちゃんにお風呂に連行されそうになって、凄くなんか色々と怖くて・・・来ないで!って、思ったらドアノブがぐにゃって。」

それで自分に恩恵が芽生えたと気付く?普通・・・。
顔の様子的に本当なんだろうけど、二日前ってことは、やっぱり僕が来たことによるワトルのオートスキルの影響と考えれば良いのかな。

って、つまりワトルは分かってて咄嗟じゃなく狙って突いたってことか。

「お前の恩恵は凄まじい。正直見たときは相当驚いた。だが、何故黙っていた?俺が教えるのが嫌だったか?自分で恩恵くらい使いこなしてみたいと思ったのか?」

頭を強く横に振るワトル。 きっと本当の事を言いたいのだろう。家庭教師である僕に、自分が本当にしたかったことを理解して欲しいのだろう。
分かっている。勿論分かっているとも。きっと子供しかこの気持ちは分からない。それは感情だ。悪気があったとか、反抗期的なものでは無い。

分かっている。

だけど、言えない。個人的に色々とあるのだろうが、言えない。どうしても。だからそれを変わりにやってあげよう。言葉ではなく、行動で。

「・・・え?」

疑問、いや正解だ。

ワトルの疑問は『否定』じゃない。『肯定』なのだ。中身は大人びていてもまだまだ子供。素直に気持ちが表せないのならば、年上こちらからやってあげればいい。

大丈夫。こう見えて僕は得意なんだ。

「・・・やっぱり髪が長いな。 クリセントさんにやっぱり切って貰うか?」

そう言っても、僕はやっぱり長い髪をこうしてあげるのが得意らしい。

それから数週間。僕は彼に幾らか残すことは出来ただろうか?


△▽


「わ、ちょっと!?なんですかホワイトさん!」

おかしいな。あの頃は、もっと長かったし触り心地もよかったし、何より嫌がらなかったのだが。まぁ、でも。

「強くなったな。」

「当たり前ですよ!絶対にホワイトさんを見返してあげます。」
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