シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

文字の大きさ
43 / 49
第2章〜クルムテント王立学園〜

第38話〜兄弟愛仲間?〜

しおりを挟む
「まさか、ここまでとはな。」

「申し訳ございません。」

僕は今、王都のかなり端にある一件の廃れる寸前の家の前にいた。何を隠そう今回の依頼人ワトル・ロージャンの家である。

「貴族が王都まで来てこれとは・・・大丈夫なのか?」

昨日、依頼を受けてから冒険者ギルドでクリセントが待っていた為、こうして案内をされていた。
彼女も、この家を見るとさすがに苦笑いした。

「大丈夫ですよ。所詮、辺境の男爵家が金が無くなって育てきれなくなった子を独り立ちさせただけなのですから。」

と、言いながらもどこか彼女から怒気が浮かんでいた。彼女としてもこれは許せないのだろう。

「俺ではなく他の冒険者に頼っていたらこの時点で終わっていただろうな。」

「はい。ですので、ホワイト様には本当に申し訳なく思っております。・・・使えない報酬と、助けても意味が無い私たちをこうやってくれるので。」

確かにこのままではただの損だろう。僕は1ヶ月間他の仕事や、依頼を受けることができなくなるし、それに見合った報酬では全く持ってない。

ーーーだけど、それは僕がそれに見合うようにすればいいだけだ。ーーー

「安心しろ。報酬はたっぷり頂く。君たち二人とも覚悟しておけ。」

何があったのか彼女はビクッと、僕から離れ、僕に恐怖の目を抱いていた。

「わ、私の身体をご所望ですか・・・。ワト、主様には一体何を。」

・・・

・・・

あ!?

「違う!そうじゃない!!」

目に薄らと涙を浮かべるクリセントの誤解を解くには、少し時間を要した。


△▽


・・・中は意外と綺麗だな。所々に掃除用具が立て掛けてあるのを見ると、クリセントが毎日掃除しているのだろう。

「ワトルという子は何処にいる?見たところこの家には二部屋しか部屋がないようだが。」

「はい。左の部屋が私の部屋で、右の部屋が主様の部屋にございます。私は少しあれを掃除してくるので、先に主様と会っていてください。」

「あれ?」

そう思って、彼女が向ける視線の先を見ると、なんかカサカサしている物体・・・。

「・・・分かった。気を付けろ。」

こんなに綺麗なのにこいつは出るのか。元はどれだけだったんだか。


さて、右の部屋だっけ。左の彼女の部屋側を見ると、扉が殆ど腐敗している。彼女なりに主であるワトルに配慮したのだろう。それにしても、こんなとこに長くいたら病気にでもなるのではないか?

『いえ、マスター。クリセントさんの恩恵である【空気洗浄】の効果で、少しずつですが、ここにあるは除去されつつあります。』

毒素あるのね。人間にとっても有害なネーム第一位の。

さて、油を売るのもこのくらいにして、僕の初めての生徒君をお迎えするとしますかね。

そうして、僕は扉を二回叩いた。

「失礼する。ここにいるのは依頼人ワトル・ロージャン氏でよろしいだろうか。」

「はい。どうぞ入ってください。」

女の子?いや、男の子か?曖昧な声質は10歳になったころだと言うが珍しい。まだ、見えない彼への印象はそれだ。さて、どんな顔をしているのだろうか。 

僕は扉を開けた。そして、驚愕いや、自分の目を疑った。

「貴方がS級冒険者のホワイト様ですね。話はクリセントから聞いております。今回は僕の為にこんな依頼を受けてくれてどうもありがとうございます。」

「話では男だと聞いていたが。」

「あ、よく言われるんですよ。女の子に見えるって。失礼しちゃいますよ本当に。」

いや、確かに僕は今までにもう一人くらい女の子っぽい男を見た事はあるけど、この顔はなんか・・・うん。

「すまなかった。気にしていたようなら尚更な。人は顔で判断する人間では俺は無いはずなのだがどうしても驚いてな。」

「・・・やっぱり髪の毛切った方が良いですよね。」

「ああ。」

きっと髪の毛を切ったら美男子なのだろう。だが、何故か彼は腰まで伸びた髪をしていた。本当にこれはどう言う。

「お姉・・・クリセントさんが、僕にそうした方が可愛いと言うので。なんかどうしてもですね、彼女に言われると断れないんですよ。」

クリセントまさかのショタコン!!?

『そして、マスターはシスコンです。良かったですね。仲間がこんなに近くにいて。』

あ、いや、その、え、あの、確かにそうなんだけどやっぱりこういうのはちょっと・・・ね。

『自分自身のことを棚に上げて、人に対してはものを申しても良いとマスターは言うのですか?』

た、助けてー。ナビが顔はないけどとってもノリノリで嬉しそうだよー。

「や、やっぱりこんな髪!!」

「あ、まっ!」

どこから取り出したのか大きなハサミを振りかぶり、自身の髪を切ろうとワトルがした瞬間。

「あ・る・じ・さ・ま?」

「「ヒィッ!!」」

ちょ、ちょっとナビ!目の前に急に現れたクリセントさんがビックリするくらい殺気立ってるんですけど!!

「主様~それはダメですよ~。主様のお手入れは私の役目なんです。他の誰かになんてやらせませんし、主様自身にもやらせるつもりはありませ~ん。髪が乱れてしまいました。お姉さんと一緒にお風呂に入りましょうね~。」

「お、おねぇちゃん!!お風呂なんて、この家無いよ!!」

うん。確かにワトルの言ってることは最もぉ・・・!!?

「ホ・ワ・イ・ト・さ・ま?」

ヒィィィ!!

「あ、アイテムメイク、極楽神聖温泉!!」

突如、ワトルの部屋のベランダ(雑草ぼうぼう)に、この世の物とは思えない程の温泉施設が出来上がる。

シュタッ!

「あら、こんな良い温泉ありがとうございます。それに態々道を退けていただいて。」

「ほ、ホワイト様・・・。」

(すまない。僕には止められそうにない。)
目でそう語ると、ワトルはガックリと頭を落とし、クリセントと一緒に、温泉施設の中へ消えていった。


「ねぇ、ナビ。普段の僕ってこんな感じ?」

『似てはいますね。』

うそん。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います

あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。 化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。 所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。 親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。 そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。 実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。 おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。 そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。 ※タイトルはそのうち変更するかもしれません※ ※お気に入り登録お願いします!※

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

処理中です...