シスコンの最強冒険者とブラコンの美少女姉妹は幸せにいきたいのです

kashizaki

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第2章〜クルムテント王立学園〜

第37話〜詐欺〜

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「お前はやっぱり師匠を困らせるバカ弟子だな。」

「く~ッ!なんであれを避けられるんですか!」

今、僕は生徒であるワトルを網でぐるぐる巻きにしていた。
でも、こうなったのには訳がある。こいつはあろう事か、教師である僕にいきなり襲いかかり、本気で殺そうとしてきたのだ。つまりこれは正当防衛だ。

「感想は終わったか?それならこのまま火炙りにでもするか?」

「ギィヤァァァ!!それだけはご勘弁を!!」

と、言いながら僕の網を即座に緩め、僕にどこから出したのかナイフを使って攻撃をしてきた。

「決まったーー!!」
と、僕の懐までナイフが届きそうになり、ワトルは叫ぶ。
「教師は生徒に物事を教えなければならない。・・・お前には常識が足りないようだな!!」

すぐさま、ナイフの持ち手を手刀で落とし、落ちたナイフを首元までもっていく。

「このまま血抜きをするが・・・良いな?」 

「ギ、ギヤァァァーー!!!」

こいつは本当に・・・なんでこんな奴になってしまったのか。育て方を間違ったか?


△▽


これは僕がだいたい13歳になった頃、分かりやすく言うならS級冒険者になった頃。
その日は、ミディが熱を出したと言って、冒険者の仕事を休んだ日だった。

僕の状態回復のスキルは、周りにいる仲間の状態を回復する事にある。ミディとは、冒険者稼業で王都にやって来る時しか会わなかったため、僕が王都にいない間にどこか体を悪くしたのだろう。

心配だったので、ミディの住む宿屋に行ったた訳なのだが、何故か、その宿の看板娘さんに断られた。
・・・本当に何故だ。

「ふぅぅさむッ!」

王都は温暖だが、前世の日本と同じように、冬はかなり寒くなる。毎年恒例の謹賀新年王都祭よろしく!した後のもうそれが冷めきった2月くらいの今日この日。
今日に限って、一段と寒く、好き好んで外に出ようとする物好きは僕みたいな冒険者くらいだ。

僕の服は全てアイテムメイクで作っているから防寒対策をすれば良いと思うのだが、そうなるとどうしても素材で毛皮などを使わないといけないし、普段だと暑い所ではないので、やっていない。

ガチャッ、と冒険者ギルドの扉を開ける。最初の頃はよく冒険者に、絡まれたものだが、今はそんなことをしてくる人なんていなかった。 
僕に対しての印象は、短期間でS級まで駆け上がった実力者、人外、シスコン騎士など等々だ。
最後の奴は広めたやつをこの手で葬ってやりたいが。

僕が冒険者ギルドに顔を出したのを見た受付嬢の一人が、僕に向かって手を上げている。これは、指名依頼が来たのだろう。A級に上がってからは殆どの依頼が自分からではなく、依頼側からやって来る。
その時こうして、毎回受付嬢が僕にサインを出す為、分かりやすいと言える。
ただ、今回は何故か受付嬢の顔が少し優れないような。

「おはようございます。S級冒険者ホワイト様。今回はパーティーメンバーのミディ様は御一緒ではないのでしょうか?」

「ミディは体調が優れないようでな。今日は俺だけだ。何か不都合な点があるならすまない。」

そう言うと、物凄い勢いで、手と顔を振っていえいえと、受付嬢が言う。高ランクになると、何故かみんな敬語になったり、よそよそしくなった。別に構わないが、少し落ち着かない。

「今回はホワイト様に指名依頼があるんです。家庭教師を1ヶ月やってくれっていう「断る。」で、ですよね~。」

簡単に引き下がった。全く、僕が長期の依頼を断ると分かっているのに聞いたのか。それなら別に言わなければ良いのに。いや、言うしかなかったのか?

「受付嬢。その依頼はどこからのものだ?」

「ロージャン家の五男である、ワトル・ロージャン様からの依頼です。」

そう言うと、彼女は消沈し、僕から引き下がった。

なるほどね。そりゃ言わないとダメか。でも、貴族の依頼なら、既に僕は毎回断っているはずなのに、何故分からないのだろう?

『ロージャン家は、王国でも辺境に属する男爵家で、現在の当主はアンモナード・ロージャンと言います。
そして、マスターに依頼をしたワトル・ロージャンですが、ロージャン家に金が無く、捨てられた人間です。彼は、10歳の頃にアンモナードに家を追放され、少しの賃金を渡されこの王都に引っ越してきたようです。つまり言えば、世間的に言えば貴族の類に入りますが、事実上平民よりも辛い暮らしをしてきています。10歳までも、家ではいない存在だと扱われ、五男ということもあり、全てにおいて最後。毎日砂利を飲むような生活をしていたようです。』

待って。なんで彼が僕の事を知らないのかは分かった。世間知らずと言えばそうなんだろうし、そんな親の元なんだったらきっと依頼したのも本人だろうしね。でも、2つ疑問がある。
1つ目は、なんで僕のことを知っているの?

『本人の要望は生きる為の力を得たい。というものだそうで、マスターの事は全く知りません。』

いや、じゃあ何で僕に。

『受付嬢が、マスターはお人好しだと知っているからじゃないですか?』

なるほど、君が犯人か。確かに生い立ちを聞いたらとっても心が痛んだよありがとう。
・・・で、2つ目は依頼の報酬は・・・いや、聞けばいいか。だいたい予想つくけど。

「事と次第では受けてやってもいい。報酬は何だ?」

そう言うと、受付嬢の顔が明るくなる。僕が受けてくれると思って明らかに高揚しているのが伝わった。

「それが破格の報酬なんですよ!なんと、1ヶ月教えたら依頼主であるワトル・ロージャン様が、後ろ盾になってくれるそうなんです!貴族の後ろ盾ですよ!」

うん。思ってた通り。もう彼は貴族であって貴族ではないし、後ろ盾も何もない。本来なら本当に破格の報酬なんだけどね。
というか、多分君は真の犯人ではないね?僕に依頼を頼ませたのもっと他に居るはずだ。じゃないと、彼女も微妙な顔で報酬の話をしそうだし、彼女に演技をしているような仕草はない。

『マスター・・・受けますか?』

受けるよ。子供の朝慈恵だけど、中々頭が回る子のようだ。それに、彼は弟で守られる存在だったのに、守られていなかった。長男として、血は繋がってなくてもそれは許せない。

「受けよう。1ヶ月だったな。依頼人には、俺は5時までしか、依頼を受けられないと言っておいてくれ。毎日朝7時から5時の10時間。徹底的に叩き込んでやる。」

「は、はいぃ!!」

おっと、殺気が少し出てしまった。でも、初めてじゃん。こんなの。ワクワクするね。


△▽


僕がその後適当に冒険者の依頼ボードを見たり、知り合いの冒険者の語り合ったあと、ギルドを出ようとすると、その人物は現れた。

「・・・あの、待ってください。」

「誰だ?いや、ある意味君が今回の本当の依頼主か。」

その人物は顔も知らない先程とは違う受付嬢の人だった。その顔を見ると、少し不健康そうな青みがかった顔をしている。
彼女は、僕が言ったことに信じられないというような顔をして、少し落ち着いて僕に話した。

「そうです。私が、ホワイト様に指名依頼を回した者です。受けてくれてありがとうございました。」

丁寧なお辞儀。そして、どこか気品さを感じられる彼女に少し驚く。

「それは、割に合わない仕事を受けてくれてありがとうという事か?それとも自身の主の願いを聞いてくれてありがとうという事か?」

また彼女は僕にその表情を作った。何故?その顔には書いてある。当たり前だ。不健康そうな痩せた体をした見たことも無い、新人の受付嬢が突然僕の前に現れ、その姿にそぐわない、アンバランスにお辞儀をしたのだ。彼女は確実にワトルという子のメイドか何かでしかなかった。

「それが分かっていたのに、貴方様は受けたのですか!?」

「別に金には困っていない。それに貴族の手助けもな。俺は依頼でどうこうする男ではない。今回受けたのは気まぐれだ。暇潰しと言ってもいいだろう。だが、安心しろ。依頼を受けた以上、しっかり主を強くしてやる。」

「・・・あなたは、冒険者じゃないのですか。金に飢えた冒険者じゃないのですか!!?」

耳が痛いな。確かに僕が冒険者になったのは単純にお金が欲しかったからだ。そうやって冒険者になった者が殆ど。金にがめついと言う者がいたり、そう思ってる者がいても仕方がない。彼女もそう思って態々詐欺まがいのことをしたのだろうから。
でも、それ以上に僕には、なった理由がある。

「俺が冒険者になったのは妹と平和に仲良く暮らすためだ。既に金は・・・背中が痒くなるが吐いて捨てる程ある。メイドにまで副業をさせる程、金に困ってはいない。」

「・・・噂は本当だったのですか。」

・・・シスコン騎士の話かな?(怒)
 
「主は、ワトル様はとても可哀想な方です。どうか、優しくしてあげて下さい。どうかお願いします。」

・・・彼女にここまでさせる子か。

「人を思うよりも先に、自分の身を考えるのだな。【状態回復】。・・・はっ?」

僕はあまりの驚きに口をあんぐり開けた。本当に気まぐれで打った状態回復が発動すると、そこにいた彼女の顔立ちが良くなり、痩せこけていた体の肉付きは改善され、ボサボサとしていた髪がふんわりとし、少し猫背でわかりにくかった大きな二つの果実が背丈が改善され、しっかり主張し、重力に真っ向から逆らっていた。

「「「「「何、あの美少女!!?」」」」」

そして、その変わりように冒険者ギルドにいた者たち(主に男)が鼻を垂らし、彼女をガン見し始めた。

「・・・ホワイト様、ありがとうございます。」

そう言って、彼女はもう一度優雅なお辞儀をした。
さっきとは真逆。豊かな二つの果実が上下にゆっさゆっさと・・・はっ!

「・・・い、いいんだ。それより夜は気を付けろ。主の元に帰る時は必ずこれを付けて帰れ。」

「こ、これは・・・。」

彼女は僕が渡した魔道具を見て、少し顔を赤くした。
それを見ていた冒険者達(主に男)の数十名が鼻血を吹き出す。

「それを付けていれば、いつか君を守ってくれるだろう。それより、受付嬢の仕事はこれからもするのか?」

「・・・はい。主様の為ですので。」

「明日、依頼主の元に向かう。・・・頑張れよ。を守るのは姉の仕事なのだからな。」

僕はそう言って、冒険者ギルドを出た。

僕に依頼をした受付嬢の名前はクリセント・ロージャンという。彼女は妾との子であり、彼女もまた、そのような理由で、いつか出ていくと決まっていたワトルのメイドをやらされていたらしい。

その時、彼女はまたまた僕にあの表情をした。だけど、その後すぐに、笑顔になり、僕の上げた魔道具を指にはめるのだった。


△▽


4時頃、そろそろ夕日が出てくる頃に、ミディの元に訪れていた。だけど、彼女は少し立腹のようだ。

「・・・ホワイトざ~ん。彼女が出来たんですって?」

「何を言っている?」

「そんなこと言って、私知ってるんですよ。今日来た受付嬢さん凄く美人さんで、ホワイトさん求婚したそうじゃないですかー。許せないです。」

「そんな事実はない。確かにクリセントは美人だったが、そんなことはない。」

それに何故ミディが許せないと宣うのだ。

「指輪を上げたそうじゃないですか。」

・・・「・・・。」

「ほらーーー!!!」

「ま、待てミディそれは誤解だ!俺は彼女のことを思って!」

「もう彼女呼ばわりですか!ホワイトさんはプレイボーイなんですか!?そうなんでしょう?そうだと言えーーー!!」

ーー30分後ーー

「それで、指輪を・・・ですか。」

「あぁ。別に深い意味は無い。それにあの容姿だ。冒険者、いや男は夜は狼だ。あの魔道具があれば、彼女に触れようとした男性は全身から激痛が走るようになっている。」

本当は大人になって美人すぎるようになった妹たちに上げるつもりだったのだが。あ、そうだ。

「指輪はもうひとつある。ミディに渡そうと思っていたのだ。受け取ってくれるか?」

「え?それってホワイトさんのプレゼン・・・それより渡すってことは私が美人に見えるってことじゃ・・・。」

何か知らないがとても顔が赤くなっていくミディ。
あ、そうだ。ミディは今、体調が悪いはずだ。

「早くベットで横になれ。風邪はそれでは治らんぞ?」

「あ、風邪っていうの嘘です。」

何!?

「あの、これどうぞ。」

そう言って彼女が僕に渡したのは・・・こ、これは!!?

「昔昔に王国の勇者が広めた物だそうです。あの・・・今日はラットタインデーだそうなんですよ?」

何故、疑問形?いや、それよりこのハート型の包みは。つまり・・・。

「そ、そうか。ありがとう。美味しく頂かせてもらう。そ、それではな。俺はそろそろ帰るとする。風邪早く治せよ。」

「あ、ちょ」

急いでワープする僕にミディは声をかけようとしていたが、それより先にその場から僕は消えた。

「・・・えへへぇ。ホワイトさんからの指輪。」
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