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第1章ーーお人好し追放されるーー
第1話〜お人好しはクラスに駆け込んだ〜
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「ありがとうねぇ。御門ちゃん。やっぱりやさしいわねぇ。」
「アハハ。別にこのくらい当たり前ですよ。」
と、言いながらも少し重たいなこれ。
僕は御門琴葉。某公立高校に通う普通の高校二年生。今日は近所のおばあちゃんが僕の地域名物の腰砕きの坂で両手に重い荷物を持って、疲れているのを見たので高校通いのついでに手伝っている。いや、しかし重たい。
「おばあちゃん、そろそろ何か持つのに楽そうな物とか買ったら?」
「馬鹿言うんじゃないよ。私はまだまだ現役さ!」
おばあちゃんは、自分の右手を曲げて、力こぶを見せた。実は現役時代はこのおばあちゃんはレスリングの選手だったりする・・・。
「ふぅ。よし、ここら辺で大丈夫かな。」
「ありがとね。全く最近の子は御門ちゃんを少しは見習ってもう少し年寄りを労ってほしいもんだよ。私の息子なんてねぇ、この間久々に帰ってきたと思ったら、直ぐにめしめし五月蝿いのなんのってね。それで作ってやったら塩っぱいだのもっと出せだの文句ばっかで「おばあちゃんそろそろ行くね!」あ!気をつけて行きなさいよ!」
大きく手を振って僕は走った。少し早めに出たつもりだったんだけど、スマホを見るともう8時30分。あと5分で遅刻だ。
「やばいやばいやばいやばいーー!!」
額には汗と先生から怒られるかもしれないという涙で滲む。こんな事ならもう少し早く出ていればーーー
「え゛ぇぇぇぇーん!!誰が風船取ってぇーー!!」
「だ、大丈夫だよぉ。お兄さんが取ってあげるからねぇ。」
(うぅ。遅刻だ。)
この男、御門琴葉は、極度のお人好しである。
△▽
キーンコーンカーンコーン。
チャイムと同時にここ御門琴葉が所属しているクラス、B組のドアが開かれる。
ドアを開いたのは勿論、担任である佐藤奈美である。ルックスとプロポーションはここ激戦区である美少女揃いのB組でも、上位に食い込む程の人気っぷりだ。
性格は大人しいが、しっかり者であり教師としても評価されている。
「みなさんおはようございまーす。それでは出席を取ります。って、今日も御門君は遅刻ですか・・・。」
そんな彼女が眉間にシワを寄せるような仕草をとるほどの悩みがひとつあった。
(あの子、とっても良い子なんだけど、どうしても自分を優先できないのよね。私の生徒の中ではとっても面白い子に入るけどそろそろ何か言うべきかしら。)
「先生、恐らく御門は今日、家族の弁当作りと、近所のお婆さんの手伝いと突然の何かのトラブルで遅れていると思いまーす。多分あと7分くらいかなぁ。」
「「「「「おぉぅ・・・!」」」」」
だが、ここで彼女の悩みを解決する助っ人が手を挙げ言った。御門琴葉の友人、近藤元也だ。彼は小学校の頃から相次ぐ御門の遅刻に、自分なりのパターン化をすることが出来る唯一の男。彼の御門に対する遅刻の理由を当てる確率は八割を超える。そんな、彼を見て奈美は苦笑いした。B組ができて約半年。
3日に一度は開催されるクラス内行事『御門、今日何で遅れたの元也先生!』の時間だった。
「毎度、毎度凄いわね。流石御門君の幼馴染ね。だけど、あと7分か。」
「元也君、それは違うわ。7分ではなく、4分よ。」
「「「「「何!!?」」」」」
(まぁた始まった。)
突然そう言うのは同じく御門の幼馴染の若林真矢だ。彼も御門とは小学校からの付き合いで、御門に訪れる神出鬼没な事件を予測することが出来る唯一の女だった。そして、彼女が動き出した事は、つまり『御門、遅れた理由マジで分からない!助けて真矢教授!!』の連鎖的に発生する元也先生が間違っているという証拠だった。元也の外れる2割は実はこれだったりする。
「確かに元也君が言う通りのスケジュールに御門君は来ると思うわ。だけど、元也君。今日が9月の何日か分かる?」
「9月って何が・・・ま、まさか!?」
「そう!今日は9月の第三金曜日!御門君が1ヶ月に何度か出会う近所のお婆さんが御門君に同じ話を言う日だわ!!」
「「「「「おぉぉぉ!!!」」」」」
「おぉぉぉ。(棒)」
「クソッ。確かに今日はその日だ。俺がパターン化した故に出た7分後という数字は、御門が近所のお婆さんのあの体感時間一時間以上の話をまともに聞いた場合。途中で御門がお婆さんの話を流したのなら、確かにあと4分後だ。」
「そうでしょう。やはり、私の予測に狂いはキャ!!」
キィーーーーーン!!!
その時、突如の大きな揺れとともに、クラスの中央を起点に青白く光る魔法陣のような物が出現した。
「何だこれ!?」
「おいどういう事だよ!」
「御門、宇宙人助けちゃった!?」
「誰か助けて!」
そして、賑わっていたクラスは一瞬で戦々恐々となり、悲鳴が相次ぐ。
「みんな落ち着いて!机の下に潜りな、いや、机の下って変な物書かれてるし、えっ?ちょっとこれどうすれば。」
そして、何とか落ち着かせようと奈美が促そうとするが、彼女も流石にこれは異常すぎてパニックを起こす。
だが、そんな時。ドアが開かれた。
「え?何してんのみんな?ってこれ何!?」
「「「「「御門(君)!?」」」」」
その言葉を最後に2年B組の生徒は教師を含め、全員が消えた。後にこの大事件は世界中を駆け巡り、様々な捜査が行われる事になるが、もはやこの世界から消えた彼らには関係がない事だった。
「アハハ。別にこのくらい当たり前ですよ。」
と、言いながらも少し重たいなこれ。
僕は御門琴葉。某公立高校に通う普通の高校二年生。今日は近所のおばあちゃんが僕の地域名物の腰砕きの坂で両手に重い荷物を持って、疲れているのを見たので高校通いのついでに手伝っている。いや、しかし重たい。
「おばあちゃん、そろそろ何か持つのに楽そうな物とか買ったら?」
「馬鹿言うんじゃないよ。私はまだまだ現役さ!」
おばあちゃんは、自分の右手を曲げて、力こぶを見せた。実は現役時代はこのおばあちゃんはレスリングの選手だったりする・・・。
「ふぅ。よし、ここら辺で大丈夫かな。」
「ありがとね。全く最近の子は御門ちゃんを少しは見習ってもう少し年寄りを労ってほしいもんだよ。私の息子なんてねぇ、この間久々に帰ってきたと思ったら、直ぐにめしめし五月蝿いのなんのってね。それで作ってやったら塩っぱいだのもっと出せだの文句ばっかで「おばあちゃんそろそろ行くね!」あ!気をつけて行きなさいよ!」
大きく手を振って僕は走った。少し早めに出たつもりだったんだけど、スマホを見るともう8時30分。あと5分で遅刻だ。
「やばいやばいやばいやばいーー!!」
額には汗と先生から怒られるかもしれないという涙で滲む。こんな事ならもう少し早く出ていればーーー
「え゛ぇぇぇぇーん!!誰が風船取ってぇーー!!」
「だ、大丈夫だよぉ。お兄さんが取ってあげるからねぇ。」
(うぅ。遅刻だ。)
この男、御門琴葉は、極度のお人好しである。
△▽
キーンコーンカーンコーン。
チャイムと同時にここ御門琴葉が所属しているクラス、B組のドアが開かれる。
ドアを開いたのは勿論、担任である佐藤奈美である。ルックスとプロポーションはここ激戦区である美少女揃いのB組でも、上位に食い込む程の人気っぷりだ。
性格は大人しいが、しっかり者であり教師としても評価されている。
「みなさんおはようございまーす。それでは出席を取ります。って、今日も御門君は遅刻ですか・・・。」
そんな彼女が眉間にシワを寄せるような仕草をとるほどの悩みがひとつあった。
(あの子、とっても良い子なんだけど、どうしても自分を優先できないのよね。私の生徒の中ではとっても面白い子に入るけどそろそろ何か言うべきかしら。)
「先生、恐らく御門は今日、家族の弁当作りと、近所のお婆さんの手伝いと突然の何かのトラブルで遅れていると思いまーす。多分あと7分くらいかなぁ。」
「「「「「おぉぅ・・・!」」」」」
だが、ここで彼女の悩みを解決する助っ人が手を挙げ言った。御門琴葉の友人、近藤元也だ。彼は小学校の頃から相次ぐ御門の遅刻に、自分なりのパターン化をすることが出来る唯一の男。彼の御門に対する遅刻の理由を当てる確率は八割を超える。そんな、彼を見て奈美は苦笑いした。B組ができて約半年。
3日に一度は開催されるクラス内行事『御門、今日何で遅れたの元也先生!』の時間だった。
「毎度、毎度凄いわね。流石御門君の幼馴染ね。だけど、あと7分か。」
「元也君、それは違うわ。7分ではなく、4分よ。」
「「「「「何!!?」」」」」
(まぁた始まった。)
突然そう言うのは同じく御門の幼馴染の若林真矢だ。彼も御門とは小学校からの付き合いで、御門に訪れる神出鬼没な事件を予測することが出来る唯一の女だった。そして、彼女が動き出した事は、つまり『御門、遅れた理由マジで分からない!助けて真矢教授!!』の連鎖的に発生する元也先生が間違っているという証拠だった。元也の外れる2割は実はこれだったりする。
「確かに元也君が言う通りのスケジュールに御門君は来ると思うわ。だけど、元也君。今日が9月の何日か分かる?」
「9月って何が・・・ま、まさか!?」
「そう!今日は9月の第三金曜日!御門君が1ヶ月に何度か出会う近所のお婆さんが御門君に同じ話を言う日だわ!!」
「「「「「おぉぉぉ!!!」」」」」
「おぉぉぉ。(棒)」
「クソッ。確かに今日はその日だ。俺がパターン化した故に出た7分後という数字は、御門が近所のお婆さんのあの体感時間一時間以上の話をまともに聞いた場合。途中で御門がお婆さんの話を流したのなら、確かにあと4分後だ。」
「そうでしょう。やはり、私の予測に狂いはキャ!!」
キィーーーーーン!!!
その時、突如の大きな揺れとともに、クラスの中央を起点に青白く光る魔法陣のような物が出現した。
「何だこれ!?」
「おいどういう事だよ!」
「御門、宇宙人助けちゃった!?」
「誰か助けて!」
そして、賑わっていたクラスは一瞬で戦々恐々となり、悲鳴が相次ぐ。
「みんな落ち着いて!机の下に潜りな、いや、机の下って変な物書かれてるし、えっ?ちょっとこれどうすれば。」
そして、何とか落ち着かせようと奈美が促そうとするが、彼女も流石にこれは異常すぎてパニックを起こす。
だが、そんな時。ドアが開かれた。
「え?何してんのみんな?ってこれ何!?」
「「「「「御門(君)!?」」」」」
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