抱きしめた、蒼ー中学生編ー

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○美月と未來の住むマンション
未來「たっだいまーって誰も居ないかぁ」
  玄関を開けすぐ自分の部屋に鞄を置く。
 楽な服に着替えノートを持ってリビングのソファーに寝っ転がる。
未來「やってみるだけ、やってみるか…」
  ノートを見ながら独り言を言いつつ、ピアノがある美月の部屋に向かう。
未來「ド……ミ……ソ……ファ……」
  ピアノの鍵盤の音を口に出す。
未來「ウーーーーン……やっぱ無理だーー」
  21時を指す時計、集中する未來。
未來「美月、遅いな。なにしてんだよ」
  ピアノの音で玄関の開く音が消され、突然部屋に入って来る美月に驚く未來。
美月「ただいまーー」
未來「おっおかえり。びっくりしたーー」
  驚く未來。
美月「おぉやってるな」
  ニヤリ笑う美月。
未來「やってるよ。それより腹減った。」
美月「すまん、すまん、遅くなったな。すぐ晩飯にするから、待ってろよ。」
未來「うん。」
美月「ところで、調子はどうだ?」
未來「帰ってきてからずっと、やってみてるんだけどさ、やっぱ出来ねーよ」
美月「じゃあ、諦めて俺とはサヨナラだな」
未來「……」
美月「まぁ歌の作り方なんてネットで調べればいくらだって出てくるだろうけど自由でいいんじゃないか、色々試してみろ」
未來「なんだよ、それ」
 台所へむかう美月。
未來「音楽の先生なんだからもっとマシなアドバイスしてくれよ!!」
美月「晩飯、親子丼でいいか?」
未來「なんでもいいよ。って話し変えるな」
美月「そうだな、最初はまずノートに書いたひとつひとつの言葉をまとめて文にして声に出して何度も何度も読み返してみろ。いつか自然にメロディーが浮かんでくるはずだ、お前なら大丈夫だ。」
未來「ほんとかよ」
美月「いいからやり続けてみろ、その前に休憩だ。晩飯出来たぞ。」

○リビング
 リビングに向かう未來。
未來「リョーカイ。ってもう出来たの?」
美月「温めるだけだからな、たまにはインスタントも良いだろ。」
未來「いつもだろ」
美月「バレてたか。」
未來「バレバレだっつーの」
未來「アハハハ、温めるだけで簡単だけど美味しいだろ。ほらっ、サラダも食え」
  晩飯を食べ終えピアノに戻る未來。
未來「ごちそう様でしたーー」
  後片付けをする美月。
美月「風呂、先入るぞ」
未來「どうぞ」
  ノートを片手に何度も声に出して読んでいる未來。
  風呂からあがる美月。

○ピアノの部屋
美月「風呂あがったぞ、お前どうすんだ?」
  バスタオルで髪を拭きながらピアノの椅子(未來の横)に座る美月。
未來「ドーミーソー・ソー」
  歌作りに集中している未來。
美月「聞こえてんのか?」
未來「……聞こえてる」
美月「じゃあ、入れ」
未來「うー……ん」
美月「なに?どうした?」
未來「うーん、かるくは出来たんだけど」
美月「はっ?!もう出来たのか?」
未來「ある程度ね」
美月「お前、すごいな」
未來「だってこれぐらい、誰にでも出来るんだろ」
美月「バッカ、出来るわけないだろ」
未來「そうなの?」
美月「インスタントみたいにチーンって簡単に美味しく出来るモンじゃない。」
未來「その例えあんまりよく分かんないぞ」
美月「まぁいい、ちょっと聴かせてみろ」
未來「じゃあ」
  ピアノを弾き一小節歌う未來。
美月「すごい」
  驚きを隠せない美月。
美月「すごいぞ、未來。」
未來「だ・か・ら、これぐらい誰にでも出来るんだろ?」
美月「未來、よく聞け」
 急に真剣な顔で話し出す美月。
美月「誰にでも出来ることじゃない。お前には特別な音楽の才能があるのかもしれないな。」
未來「マジで?!」
美月「指揮者だったお前の父親に似たのか、ピアニストの母親に似たのか、どちらにせよ、お前はすごい奴だ。」
未來「マジで?二回目ッ」
美月「マジだ!」
未來「じゃあ俺には音楽の才能があるってことかっ?」
美月「そうだな、認めてやるよ。」
未來「へっへっへっ!!」
美月「よし今日はもういいだろ、風呂入れ」
未來「おうっ」
  ノートを片手に思いふける美月。
美月「アイツの集中力、半端ないな……」
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