淫魔はお嫌いですか？

11

　貪るような口付けの最中、ロウの手が服越しにノアの肌を這っていく。
　幼い頃から剣を握ってきた、硬く、大きな手だ。その手がノアの腹や胸や腿をまさぐるように滑っていく。
　布越しに感じる手のひらの刺激に、ノアは小さく身動いだ。

「んっ、あ……、あ……」
「脱がすぞ」

　一言声をかけられると同時に、服をたくし上げられ、頭から引き抜かれる。
　乱れた髪を直す暇もなく、ロウの手が直にノアの肌に触れた。

「っ、ふ……」
「熱いな」

　大きな手が、ゆっくりと蛇のように這っていく。
　体が熱くて、心臓がばくばくとうるさい。

「あっ……！」

　深く息を吐いたロウが体を屈め、ノアの首筋に顔を埋めた。舌を這わされ、甘噛みされ、痕を残すように強く吸われる。
　その合間にも、ロウの手はノアの肌を這い、胸を手のひらで覆うようにして撫でた。そして、ツンと尖ったノアの乳首を指先でそっと摘む。

「ひ、ゃ……！」

　触れられた瞬間、そこにビリッと電流が走ったような気がした。でも、痛いわけではない。
　ロウの指の腹が摘んだノアの乳首を優しく弄る。
　擦られ、摘まれ、押しつぶされ、弾かれ……そのたびノアの唇から堪えきれない喘ぎ声が漏れた。

「ん、あっ、あ、あ……！」
「気持ちよさそうな顔」

　ロウがニヤリと笑った。
　そして、乳首を弄っていた指を離した……かと思うと、今度はそこに舌を伸ばす。

「あっ！」

　濡れた柔らかな感触に、ノアの腰がびくりと跳ねた。
　ロウの分厚い舌がノアの乳首を舐め、そのままゆっくりと口に含まれる。

「あ、ああっ、ん、あッ」

　舌先で転がされ、強く吸われる。
　感じたことのない快感に体が反り、いっそうロウに胸を押しつけるような体勢になってしまっていた。

「ンッ……あっ、ああッ！」
「ん……良かったか？」

　軽く甘噛みしてから、そっとロウの唇が離れる。
　濡れた乳首が空気に晒されて、ノアの体がぶるりと震えた。呼吸のたびに平らな胸が大きく上下して、唾液を纏った乳首がテラテラと光る。

「もう片方も舐めてやろうか」
「……い、いいっ」
「遠慮するな」
「っ、あッ」

　そうしてもう片方の乳首も満足するまで舐めしゃぶったあと、ようやくロウは屈めていた体を起こした。
　息も絶え絶えのノアを見下ろし、満足そうに目を細める。

「いい眺めだな」
「……ばか」

　ロウは喉で楽しげに笑った。
　それから自身の服に手をかけ、躊躇なく服を脱いでいく。現れた筋肉質で分厚い体はまるで彫刻のように美しく、所々に残る傷痕さえもその美しさを引き立てていた。

　ノアの唇からほうと感嘆の息が漏れる。
　鍛え抜かれた美しいロウの肉体に、ますます惚れ込んでしまいそうだった。

　それに──

「っ……」
「触ってみるか？」

　挑発するような口調で尋ねられ、ノアは顔を赤くする。
　ロウが下着ごとズボンをずり下げると同時に現れたそ・れ・からパッと目を逸らし、ノアは口をつぐんだままロウを睨む。

　自分にだって同じモノが付いている。自分のだって、特別小さいわけではない。
　しかし、ロウのそ・れ・は、ノアのモノとなにもかもが違うように見えた。
　ある意味、ロウの大きな体に見合ってはいるのだろう。立派なものだ。別に嫌なわけでもない。

　──むしろ、唾液があふれる……。

　ノアはごくりと唾液を飲み込んだ。
　その様はロウにも丸わかりだったようで、くつくつと笑う。

「物欲しそうな顔だな」
「だ、だって……！」
「わかってる。腹ペコだもんな」

　ロウは言って、今度はノアのズボンを下着ごと脱がせる。
　完全に裸になってしまったことが恥ずかしい。ロウが先に裸になってくれなかったら、きっともっと恥ずかしかっただろう。

「──あっ」

　脱がされたズボンが床に放り投げられようとしているのを見て、ノアの口から少し焦った声が漏れる。

「なんだ？」
「それのポケットに……」
「ポケット？」

　ロウがノアのズボンのポケットに手を突っ込み、とあるものを取り出す。
　それは、半透明なピンク色の液体の入った平らな瓶だった。