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第二章~護衛艦隊「つばき」~
第6話 護衛艦隊「つばき」出撃す
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光太郎達とはまた別の世界の日本。その世界の日本は、史実と同じ歴史を歩んでいた。史実と違う点を挙げるとすると、それは海上自衛隊に第九護衛艦隊があるということだ。
第九護衛艦隊「つばき」。厳しいテストを通過したことで出来た世界初の女性乗組員のみで作られた艦隊で、所属艦艇は全て新造艦という破格の艦隊だ。所属艦艇は、戦後初の日本空母あかぎ型護衛空母「あかぎ」、旗艦のながと型護衛艦「ながと」、ながと型護衛艦「むつ」もがみ型護衛艦「なとり」、たいげい型潜水艦「らいげい」の計五隻だ。
女性乗組員のみの艦隊の所属艦艇が、全て新造艦ということで、世間はつばきを冷ややかな目で見ている。
2028年8月1日、第九護衛艦隊「つばき」は第一護衛隊群と合流するべく、舞鶴港を出港しようとしていた。
「松山司令官。全艦、出港準備整いました」
「分かった…」
旗艦「ながと」の艦橋にて、灰色の髪色で長髪の艦長山稜 春菜は、全艦の出港準備が整ったことを、茶髪に黒い瞳の護衛艦隊司令官、松山 剛士に報告していた。
第九護衛艦隊「つばき」は本来、女性乗組員のみなのだが、殆どの者が実戦経験がないため、ある程度経験を積むまで、男の剛士が艦隊の指揮を執ることになったのだ。
「第九護衛艦隊「つばき」、横須賀基地に向け、全艦出港!」
剛士から出港命令が下り、第九護衛艦隊つばきは第一護衛隊群と合流するべく、横須賀基地に向けて出港し始める。
舞鶴基地には護衛艦隊の汽笛と共に某宇宙戦艦の曲の演奏が鳴り響く。
それはまるで、第九護衛艦隊「つばき」は戦いに赴くのではなく、某宇宙戦艦のように人々の希望となるために旅立つ、ということを表しているようだった。
〇
「…霧が出てきたな」
「ええ、夏場に、この地域で濃霧が発生するとは妙ですね…」
第九護衛艦隊が、舞鶴基地を出港してから数時間が経過した。第九護衛艦隊は西回りで横須賀基地を目指しており、関門海峡に入ろうとしていた所だ。
しかし、突如として濃霧が第九護衛艦隊を包んだのだ。
夏場にしかも関門海峡付近に濃霧が発生したことに、春菜と剛士は用心しながら艦隊を進ませた。
「艦長、大変です!」
「どうした?」
艦隊を進ませていると、通信長が声を上げた。
「レーダー、ソナー、並びに通信機器が反応しません!!」
「何!?…まさか、この濃霧の影響!」
通信長から機器が反応しないと報告を受けた春菜は、すぐさま原因は濃霧にあると判断した。
「あかぎ、微速前進!目視にて座礁しないよう警戒せよ!各艦にも発光信号にてそう伝え!」
剛士は的確な指示を全艦に飛ばす。
剛士の指示を受け、第九護衛艦隊は微速で濃霧の突破を試みる。
艦隊を進めていると、濃霧が晴れてきた。
それと同時に、レーダー、ソナー、通信機器が元に戻ったのも確認された。
「前方に巨大な島が出現!このままでは衝突、座礁します!!」
「座礁に気をつけて、取り舵いっぱい!他艦にもそう伝え!」
「とーりかーじ、いっぱーい!」
巨大な島の存在を聞き、春菜は取り舵を取ることと、他の艦にもそう伝えるよう指示を出す。
間一髪の所で、ながとは島に衝突することなく、他の艦と共に回避することが出来た。
「…こんな島、関門海峡にはなかったはず…あかぎに哨戒ヘリを飛ばすように伝え!」
「はい!」
関門海峡付近に、このような島はなかったと思い、春菜は哨戒ヘリを飛ばすことにした。
しばらく待っていると、飛ばした哨戒ヘリから全艦艇に連絡が入ってきた。
『こちら哨戒ヘリ。このような島は、日本の領海に存在しませ………』
哨戒ヘリからの報告を聞いていると、報告していた者がいきなり黙り込んだ。
『哨戒ヘリ、応答せよ!哨戒ヘリ!』
何かあったのかと思い、哨戒ヘリから再び応答があるのを、艦橋の皆が願う。
そして、再び哨戒ヘリから応答がある。
『あ、ああ…あれは、あの!あの船は!!』
哨戒ヘリに乗っている者は、何やら困惑しているようだ。
「船がどうしたのだ?」
微かに船という単語が聞こえたため、哨戒ヘリに対して船について聞く。
『や、ややや…大和!戦艦大和が!戦艦大和が島にて入り江に停泊してます!!しかも、大和だけではなく!同型艦らしき戦艦も!恐らく、戦艦武蔵です!!』
哨戒ヘリからの報告を聞き、哨戒ヘリの連絡を聞いていた全員が困惑する。
第九護衛艦隊の者達にとって、大和と武蔵は数十年前に沈んだ戦艦だ。その戦艦が、未知の島に停泊していると聞き、困惑するのは当たり前の反応と言えるだろう。
『本当に大和なのか?』
『間違いありません!艦首に菊の紋章!巨大な三連装砲塔が艦橋前に二基、艦橋の後ろに一基あります!間違いなく大和です!!』
大和かどうか疑った、あかぎの乗組員からの質問に、哨戒ヘリの者達は大和の特徴を上げていく。
「…松本司令官、接触してみるのは如何でしょう?もし、本当に大和ならば、この状況を突破できる方法が分かるかもしれません…」
哨戒ヘリからの報告を受け、春菜は接触を剛士に提案する。
「……そうだな、ここでじっとしていてもどうにもならない。私がなとりで接触を試みよう。もし、何かあれば君が艦隊の指揮を執れ…わかったな?」
「…はっ!」
剛士は春菜にもしもの時のために指揮を任せると伝え、ながとからなとりに乗り換えた。
そしてそのまま、なとりは大和と武蔵が停泊しているという入り江に向かった。
第九護衛艦隊「つばき」。厳しいテストを通過したことで出来た世界初の女性乗組員のみで作られた艦隊で、所属艦艇は全て新造艦という破格の艦隊だ。所属艦艇は、戦後初の日本空母あかぎ型護衛空母「あかぎ」、旗艦のながと型護衛艦「ながと」、ながと型護衛艦「むつ」もがみ型護衛艦「なとり」、たいげい型潜水艦「らいげい」の計五隻だ。
女性乗組員のみの艦隊の所属艦艇が、全て新造艦ということで、世間はつばきを冷ややかな目で見ている。
2028年8月1日、第九護衛艦隊「つばき」は第一護衛隊群と合流するべく、舞鶴港を出港しようとしていた。
「松山司令官。全艦、出港準備整いました」
「分かった…」
旗艦「ながと」の艦橋にて、灰色の髪色で長髪の艦長山稜 春菜は、全艦の出港準備が整ったことを、茶髪に黒い瞳の護衛艦隊司令官、松山 剛士に報告していた。
第九護衛艦隊「つばき」は本来、女性乗組員のみなのだが、殆どの者が実戦経験がないため、ある程度経験を積むまで、男の剛士が艦隊の指揮を執ることになったのだ。
「第九護衛艦隊「つばき」、横須賀基地に向け、全艦出港!」
剛士から出港命令が下り、第九護衛艦隊つばきは第一護衛隊群と合流するべく、横須賀基地に向けて出港し始める。
舞鶴基地には護衛艦隊の汽笛と共に某宇宙戦艦の曲の演奏が鳴り響く。
それはまるで、第九護衛艦隊「つばき」は戦いに赴くのではなく、某宇宙戦艦のように人々の希望となるために旅立つ、ということを表しているようだった。
〇
「…霧が出てきたな」
「ええ、夏場に、この地域で濃霧が発生するとは妙ですね…」
第九護衛艦隊が、舞鶴基地を出港してから数時間が経過した。第九護衛艦隊は西回りで横須賀基地を目指しており、関門海峡に入ろうとしていた所だ。
しかし、突如として濃霧が第九護衛艦隊を包んだのだ。
夏場にしかも関門海峡付近に濃霧が発生したことに、春菜と剛士は用心しながら艦隊を進ませた。
「艦長、大変です!」
「どうした?」
艦隊を進ませていると、通信長が声を上げた。
「レーダー、ソナー、並びに通信機器が反応しません!!」
「何!?…まさか、この濃霧の影響!」
通信長から機器が反応しないと報告を受けた春菜は、すぐさま原因は濃霧にあると判断した。
「あかぎ、微速前進!目視にて座礁しないよう警戒せよ!各艦にも発光信号にてそう伝え!」
剛士は的確な指示を全艦に飛ばす。
剛士の指示を受け、第九護衛艦隊は微速で濃霧の突破を試みる。
艦隊を進めていると、濃霧が晴れてきた。
それと同時に、レーダー、ソナー、通信機器が元に戻ったのも確認された。
「前方に巨大な島が出現!このままでは衝突、座礁します!!」
「座礁に気をつけて、取り舵いっぱい!他艦にもそう伝え!」
「とーりかーじ、いっぱーい!」
巨大な島の存在を聞き、春菜は取り舵を取ることと、他の艦にもそう伝えるよう指示を出す。
間一髪の所で、ながとは島に衝突することなく、他の艦と共に回避することが出来た。
「…こんな島、関門海峡にはなかったはず…あかぎに哨戒ヘリを飛ばすように伝え!」
「はい!」
関門海峡付近に、このような島はなかったと思い、春菜は哨戒ヘリを飛ばすことにした。
しばらく待っていると、飛ばした哨戒ヘリから全艦艇に連絡が入ってきた。
『こちら哨戒ヘリ。このような島は、日本の領海に存在しませ………』
哨戒ヘリからの報告を聞いていると、報告していた者がいきなり黙り込んだ。
『哨戒ヘリ、応答せよ!哨戒ヘリ!』
何かあったのかと思い、哨戒ヘリから再び応答があるのを、艦橋の皆が願う。
そして、再び哨戒ヘリから応答がある。
『あ、ああ…あれは、あの!あの船は!!』
哨戒ヘリに乗っている者は、何やら困惑しているようだ。
「船がどうしたのだ?」
微かに船という単語が聞こえたため、哨戒ヘリに対して船について聞く。
『や、ややや…大和!戦艦大和が!戦艦大和が島にて入り江に停泊してます!!しかも、大和だけではなく!同型艦らしき戦艦も!恐らく、戦艦武蔵です!!』
哨戒ヘリからの報告を聞き、哨戒ヘリの連絡を聞いていた全員が困惑する。
第九護衛艦隊の者達にとって、大和と武蔵は数十年前に沈んだ戦艦だ。その戦艦が、未知の島に停泊していると聞き、困惑するのは当たり前の反応と言えるだろう。
『本当に大和なのか?』
『間違いありません!艦首に菊の紋章!巨大な三連装砲塔が艦橋前に二基、艦橋の後ろに一基あります!間違いなく大和です!!』
大和かどうか疑った、あかぎの乗組員からの質問に、哨戒ヘリの者達は大和の特徴を上げていく。
「…松本司令官、接触してみるのは如何でしょう?もし、本当に大和ならば、この状況を突破できる方法が分かるかもしれません…」
哨戒ヘリからの報告を受け、春菜は接触を剛士に提案する。
「……そうだな、ここでじっとしていてもどうにもならない。私がなとりで接触を試みよう。もし、何かあれば君が艦隊の指揮を執れ…わかったな?」
「…はっ!」
剛士は春菜にもしもの時のために指揮を任せると伝え、ながとからなとりに乗り換えた。
そしてそのまま、なとりは大和と武蔵が停泊しているという入り江に向かった。
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