96 / 150
第八章〜統一戦争〜
第90話 反攻作戦決行前
しおりを挟む
ミルバル防衛戦から1ヶ月程経過した。
連盟軍は現在、虎哲、ルビット、ギバラ、メルヴンの4名が考えた反攻作戦の計画を元に準備中である。
なお、作戦準備を行う前に、アーガス軍に紛れ込んでいた大帝国のスパイを大検挙したため、漏れることは無いとされている。
現在のアーガス共和国には、T-1戦車が210両程届いており、着々とシュヴァルツの機甲師団が強化されていた。一方の海では、桜花艦隊に晴天と晴風が、夜桜艦隊に間宮型補給潜水母艦伊良湖、琵琶湖、洞爺湖が、それぞれ合流した。
そして今、司令室に光太郎、虎哲、ルビット、ギバラ、メルヴン、アルターレの6名が集まっていた。
「それでは、今回の反攻作戦、神風作戦の最終確認を行います。と言っても、流れを確認する程度なので、詳細は省かせていただきます」
虎哲は司会となり、神風作戦と名付けた作戦の最終確認の会議を行うことにした。
「最初に申しますが、この作戦中は、作戦本部を本丸、アーガス国防軍は北条、シュヴァルツ機甲師団は博多、我々日丸国軍は肥前、桜花艦隊は対馬、連邦艦隊は壱岐、そして敵軍は元朝、もしくは馬と呼称します」
作戦の内容を再確認する前に、虎哲は作戦中の各軍の呼称を読み上げていく。
今回の反攻作戦『神風』は、他国から自分達の土地を守り追い出すということで、蒙古襲来から名付けられており、呼称を変えている理由としては、通信を傍受されたとしても、理解ができないようにするためである。
「まず、対馬が敵港の破壊しながら南下、敵海軍を引き寄せます。そして、その間に北条、博多、肥前が南下を開始、博多はそのまま南下し、北条肥前は、ミヤーデルの最南端に辿り着き次第、東に転進中央西洋側の港を抑える予定です。その間博多は、壱岐から放たれる矢と連携し、南部全域を抑えるといった感じですね……」
机の上に広げられている地図の上にある駒を動かしながら、虎哲は大体の流れを説明した。
「神風作戦の開始は、余裕を持って5日後、〇四〇〇の早朝に行います。新たな質問や、報告がある方はいらっしゃいますか?」
作戦開始日を伝え終えた虎哲は、報告などがないか皆に尋ねた。
「……ないようなので、最終確認はこれにて終わりにいただきます…以上解散!」
質問や報告が上がらなかったため、虎哲は最終確認の会議を終わらせた。
会議が終わり、各軍は作戦開始まで英気をしっかり養うことにした。だが、とある情報により、戦局が大きく変わることになる。
〇
ロレック王国首都バーンイル。
南東部に位置する大都市は、現在濃霧に包まれていた。
「ふぁ~…眠い……」
大帝国から派遣された憲兵が、欠伸をしながらペアで見回りをしていた。
「しかし、いつになったら進軍するんだろうな…」
「さぁな…無敵の帝国陸軍が、何やってんだ!っとは思うけどな…」
2人は歩きながら、中々進まないアーガス大陸統一に愚痴を零す。
「出来ればさっさとやってくれないかな…ずっとここに居るのは辛いよ…」
「なぁ~…」
ミルバル攻略が失敗した影響で、任務期間を延期された憲兵達には、現在少しながら疲労が溜まっており、彼らのように本土に戻りたいと願う者が多い。
「ん?なんか聴こえないか…?」
「え?」
2人がパトロールしていると、1人が何かの音を聞き取り、その事を聞かれたもう1人は、耳を済ませてみる。
「…海の方か?」
「行ってみよう」
その音が海から聞こえていることに気づいた2人は駆け足で、海岸へと向かった。
「くそ、霧で見えねぇ!」
「船なのは分かるんだが…」
海岸に着いた2人は、目を凝らして音を発生させている船を探そうとするが、霧によって遮られよく見えない。
「……おい、あれ!」
「ん?」
目を凝らし船を探していた2人は、霧の奥から見えてきた大きな影を見つけ、そちらを見つめる。
「なっ…!」
「…あ、あぁ……ッ!」
タイミングよく霧が晴れ始め、2人は発見した大きな影の正体を見ながら絶句する。
そしてその大きな影は、座礁したのか浅瀬で動きが止まった。
「や、やや…!」
「間違いない!あの巨体は……!」
止まった船を見ながら2人は動揺を隠せなかった。
何せそれは、
「「大和だ!!」」
彼らも噂で聞いている日丸国の戦艦、大和型戦艦とそっくりだったからだ。
「い、急いで報告するぞ!」
「ああ…桜花艦隊が、連盟軍が攻めてきた!!」
緊急事態だと判断した2人は、急いで大帝国の駐屯地へと向かった。
2人が発見した艦艇は、正確には大和でも武蔵でも信濃でもないのだが、日丸国が攻めてきたという2人の報告は、戦況を大きく変えることになる。
連盟軍は現在、虎哲、ルビット、ギバラ、メルヴンの4名が考えた反攻作戦の計画を元に準備中である。
なお、作戦準備を行う前に、アーガス軍に紛れ込んでいた大帝国のスパイを大検挙したため、漏れることは無いとされている。
現在のアーガス共和国には、T-1戦車が210両程届いており、着々とシュヴァルツの機甲師団が強化されていた。一方の海では、桜花艦隊に晴天と晴風が、夜桜艦隊に間宮型補給潜水母艦伊良湖、琵琶湖、洞爺湖が、それぞれ合流した。
そして今、司令室に光太郎、虎哲、ルビット、ギバラ、メルヴン、アルターレの6名が集まっていた。
「それでは、今回の反攻作戦、神風作戦の最終確認を行います。と言っても、流れを確認する程度なので、詳細は省かせていただきます」
虎哲は司会となり、神風作戦と名付けた作戦の最終確認の会議を行うことにした。
「最初に申しますが、この作戦中は、作戦本部を本丸、アーガス国防軍は北条、シュヴァルツ機甲師団は博多、我々日丸国軍は肥前、桜花艦隊は対馬、連邦艦隊は壱岐、そして敵軍は元朝、もしくは馬と呼称します」
作戦の内容を再確認する前に、虎哲は作戦中の各軍の呼称を読み上げていく。
今回の反攻作戦『神風』は、他国から自分達の土地を守り追い出すということで、蒙古襲来から名付けられており、呼称を変えている理由としては、通信を傍受されたとしても、理解ができないようにするためである。
「まず、対馬が敵港の破壊しながら南下、敵海軍を引き寄せます。そして、その間に北条、博多、肥前が南下を開始、博多はそのまま南下し、北条肥前は、ミヤーデルの最南端に辿り着き次第、東に転進中央西洋側の港を抑える予定です。その間博多は、壱岐から放たれる矢と連携し、南部全域を抑えるといった感じですね……」
机の上に広げられている地図の上にある駒を動かしながら、虎哲は大体の流れを説明した。
「神風作戦の開始は、余裕を持って5日後、〇四〇〇の早朝に行います。新たな質問や、報告がある方はいらっしゃいますか?」
作戦開始日を伝え終えた虎哲は、報告などがないか皆に尋ねた。
「……ないようなので、最終確認はこれにて終わりにいただきます…以上解散!」
質問や報告が上がらなかったため、虎哲は最終確認の会議を終わらせた。
会議が終わり、各軍は作戦開始まで英気をしっかり養うことにした。だが、とある情報により、戦局が大きく変わることになる。
〇
ロレック王国首都バーンイル。
南東部に位置する大都市は、現在濃霧に包まれていた。
「ふぁ~…眠い……」
大帝国から派遣された憲兵が、欠伸をしながらペアで見回りをしていた。
「しかし、いつになったら進軍するんだろうな…」
「さぁな…無敵の帝国陸軍が、何やってんだ!っとは思うけどな…」
2人は歩きながら、中々進まないアーガス大陸統一に愚痴を零す。
「出来ればさっさとやってくれないかな…ずっとここに居るのは辛いよ…」
「なぁ~…」
ミルバル攻略が失敗した影響で、任務期間を延期された憲兵達には、現在少しながら疲労が溜まっており、彼らのように本土に戻りたいと願う者が多い。
「ん?なんか聴こえないか…?」
「え?」
2人がパトロールしていると、1人が何かの音を聞き取り、その事を聞かれたもう1人は、耳を済ませてみる。
「…海の方か?」
「行ってみよう」
その音が海から聞こえていることに気づいた2人は駆け足で、海岸へと向かった。
「くそ、霧で見えねぇ!」
「船なのは分かるんだが…」
海岸に着いた2人は、目を凝らして音を発生させている船を探そうとするが、霧によって遮られよく見えない。
「……おい、あれ!」
「ん?」
目を凝らし船を探していた2人は、霧の奥から見えてきた大きな影を見つけ、そちらを見つめる。
「なっ…!」
「…あ、あぁ……ッ!」
タイミングよく霧が晴れ始め、2人は発見した大きな影の正体を見ながら絶句する。
そしてその大きな影は、座礁したのか浅瀬で動きが止まった。
「や、やや…!」
「間違いない!あの巨体は……!」
止まった船を見ながら2人は動揺を隠せなかった。
何せそれは、
「「大和だ!!」」
彼らも噂で聞いている日丸国の戦艦、大和型戦艦とそっくりだったからだ。
「い、急いで報告するぞ!」
「ああ…桜花艦隊が、連盟軍が攻めてきた!!」
緊急事態だと判断した2人は、急いで大帝国の駐屯地へと向かった。
2人が発見した艦艇は、正確には大和でも武蔵でも信濃でもないのだが、日丸国が攻めてきたという2人の報告は、戦況を大きく変えることになる。
102
あなたにおすすめの小説
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
駆け落ち男女の気ままな異世界スローライフ
壬黎ハルキ
ファンタジー
それは、少年が高校を卒業した直後のことだった。
幼なじみでお嬢様な少女から、夕暮れの公園のど真ん中で叫ばれた。
「知らない御曹司と結婚するなんて絶対イヤ! このまま世界の果てまで逃げたいわ!」
泣きじゃくる彼女に、彼は言った。
「俺、これから異世界に移住するんだけど、良かったら一緒に来る?」
「行くわ! ついでに私の全部をアンタにあげる! 一生大事にしなさいよね!」
そんな感じで駆け落ちした二人が、異世界でのんびりと暮らしていく物語。
※2019年10月、完結しました。
※小説家になろう、カクヨムにも公開しています。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる