男装オメガと獣人アルファ~純白の聖女と漆黒の暗殺者は何色の花を咲かす~

のがみさんちのはろさん

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第34話「厄日」

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「あ、クロード!」
「え?」

 グイッと腕を引かれて後ろに一歩下がった瞬間、目の前にガラス瓶が落ちてきた。
 足元で割れた瓶を見て、イディックは心配そうにアンジュの体に怪我がないか確認する。

「あ、ありがとう……」
「どこも怪我は無いな。ったく、あぶねぇーな。お前、今日なんかついてないぞ」
「……厄日ですかね」

 そう、今日一日で同じようなことが何度もアンジュを襲っていた。
 今朝も外から飛んできたボールが窓ガラスを割り、アンジュに当たりそうになった。直前に先生が気付いて防御魔法を張っていなかったら、大怪我をしていたはず。
 そのあとも物が落ちてくる、飛んでくる、階段から落ちそうになる、など不運が続いた。

「怪我がないのが奇跡みたいだよ、マジで」
「運が良いのか悪いのか、わからないですね」

 そう言って笑うが、アンジュは気付いていた。
 なにか不運が起きる直前に、いつもフローガの気配がしていた。どこで見ているのかは分からないが、さっきもガラス瓶がアンジュにぶつかりそうになったとき、軌道をズラすように瓶に何か当たっていた。
 おそらく、アンジュが足を止めなくても怪我はなかっただろう。

「とにかく、早く帰ろうぜ。部屋戻ってからも気を付けろよ、タンスに足ぶつけたりとかしないようにな」
「し、しませんよ、たぶん……」

 これだけ不運が続くと何が起きるか分からず、絶対に何も無いとは言いきれなかった。

「なんだっけ、塩まくといいって昔母さんが言ってたぞ」
「塩?」
「そう。なんか、良いらしい。塩まくとか、盛るとか……」

 イディックは両手の親指と人差し指で三角形を作りながら、こんな形にするらしいと説明した。

「それって普通の食塩でいいんですか?」
「オレもそこまで詳しくないんだけどさ、なんか東の方の国でそうゆーのやるんだって聞いた」
「へぇ、初めて聞きました。塩にそんな力があるとは……」
「しょっぱいのが嫌いなのかな、悪いヤツって」
「うーん……よく分からないですね……」

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