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第33話「放課後」
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――
「……ふぅ」
授業が終わり、一息つくアンジュ。
今日も何事もなく放課後を迎えた。フローガにこの学園のことを聞いて、少し緊張していたが何かに襲われるようなことも、怪我をするようなこともなかった。
「はぁー! やーぁっと終わったー」
「イクさん、さっき寝てませんでしたか?」
「オレ、国語とか苦手なんだよね。眠くなっちゃうじゃん。つか寝落ちしてたんだけど」
「先生に気付かれなかったから良かったですけど、見つかってたら怒られてましたよ」
「そこは姿勢とか気にしてるから。バレない寝方とか研究してるから」
その熱意をなぜ勉強に向けないのだろうとアンジュは心の中で思ったが、口にするのは止めておいた。
「そういや、来月にパーティあんだけどクロードは参加するの?」
「パーティ?」
「そう。毎年冬の長期休みの前にあるんだよ、スノーパーティ」
「雪が降るんですか?」
「いや、降っても降らなくてもやるよ。つか、この辺じゃあまり雪も降らないし」
じゃあなんでスノーパーティなのだろうか。そう思って首を傾げるアンジュに、イディックは吹き出すように笑った。
「アハハ、そんなに気になるかよ」
「え、や、あの……」
「この学園が設立された頃は冬の長期休みに入るくらいに必ず雪が降ってたんだってさ。休みにはみんな帰省するから暫く会えなくなるだろ? だからその前にパーッと騒ごうぜーみたいなノリで始まったんだと」
「へぇ、素敵ですね」
「クロードは? 帰省すんの?」
アンジュは一瞬言葉を詰まらせた。
帰る家は確かにあるが、そう簡単に行ける距離でもない。それに帰ったところで、誰もいない。
みんなのように、家族が待っている訳では無い。
「……いえ、僕の家は遠いので……寮に残ります」
「そうなんだ。そんな遠くから来てたのか」
「え、ええ。それに、この時期は雪が積もるので行っても戻ってこられるかどうか……」
「うわ、そんなに!? めっちゃ北の方なのか」
「はい。吹雪になったら家から一歩も出られなくなるので、帰省したとしても暖かい時期じゃないと無理ですね」
アンジュは残念そうに笑った。
この学園に来る前、クルクスから注意を受けた。家からこの学園の近くまでは彼女の魔法で一瞬で送ってもらえたが、戻るときは自力でと言われた。
アンジュの生家までは、様々な交通機関を乗り継いで、片道だけで一週間はかかる。長期休みがほぼ移動だけで潰れてしまうので、実際に帰るのは全てが解決してからになるだろう。
「じゃあさ、オレんち来る?」
「え?」
「だってほぼみんな帰るから寂しくなるよ?」
「え、っと……いえ、大丈夫ですよ。冬の長期休みはそれほど長くないそうですし」
「半月くらいだからね。まぁ気が変わったらいつでも言ってよ」
「ありがとうございます」
これが普通の友達同士であれば、素直に受け入れることが出来たのかもしれない。
友人の家に遊びに行くという普通のことが出来ないことに寂しさを感じながらも、アンジュは「また今度」と叶わない口約束を交わした。
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