【加筆修正済】貴方に幸せの花束を

かかし

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前編

プロローグ

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目まぐるしく変わる視界。
身体中に走る衝撃は、視界が落ち着いたと思ったら呼吸すら止めるような痛みに変わる。

一瞬の静寂の後にやって来た騒がしい喧騒は、僕の横で行われているにも関わらずどこか遠くに聞こえてくる。
やがて視界いっぱいに広がる見慣れた絨毯を最後に、何もかもが白く霞んだかと思えば真っ暗になって何も見えなくなってくる。
瞼が重い。
夜の帳が連れて来た眠りの森に迷い込んだ時みたいだと、ぼんやり思う。

嗚呼、でも、やだな。
が愛した、薔薇のように気高くも美しい女性。
そんな彼女が目を吊り上げて顔を真っ赤にした、あんな鬼のような形相が最後の光景だなんて。

でも、いいや。
僕が居なくなることで、きっと二人は幸せになるだろう。
お屋敷の人達は僕よりも彼女を慕っていたから、きっと彼女が幸せになるようにしてくれる筈だ。

僕が死んだら、きっと僕の死体を庭のどこかに埋めてくれる。
死んでなかったら、殺して埋めてくれる。
だってそうした方が、二人は幸せになれるんだから。

嗚呼、でもどうか。
僕の死体を埋めた庭には、一株だけでも良いので花を植えて欲しいです。
いつかそれが、数多の生命の営みを支えて、或いは数多の生命の手助けを経て、沢山の花を咲かせるから。

























そうしていつか、その花々で花束を作って下さい。
生きている僕が奪ってしまった貴方の幸せを、きっと返せる筈だから。
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