ようこそ、ここは僕らが主人公の世界です

かかし

文字の大きさ
5 / 12
序章

5

しおりを挟む
「じゃあ、行ってくるね。」
「終わり次第すぐ迎えに行くからな。」
「はい!いってらっしゃい!」

お父さんとお母さん、それからアレックスに手を振りながらお見送りをする。
その間、僕の手はルイスに繋がれていた。
ルイスはいつも、僕の左側に立ってくれる。
外でも、ルイスの家で遊ぶ時も。

「いつもありがとう。」
「何が?」
「遊んでくれたり、僕の左側に立ってくれたり。」

握られた手に少しだけ力を込めながら、素直にお礼を言う。
左側が見えないから、危ないことや怖いことが左側で起きてると気付きにくくて巻き込まれることが多い。
だからこうしてルイスが立ってくれることはすごく嬉しくて、でも同じくらい申し訳ないなと思う。
だって、その分負担をかけてる訳だから。
ルイスと僕は、同じ年なのに………

「俺が好きにしてることだから、気にしなくて良いんだよ。」
「でも………」

ルイスはいつもそう言って笑ってくれるけど、お荷物なんじゃないかなと思う。
だって、僕が左側に気付けないからルイスに気を付けてもらわないといけないし、遊ぶにしても外遊びが出来ないからいつも家の中だし。
ルイスは本当は外遊びが大好きなのは知ってる。
本当は他の友達に誘われていることも。

「んー、気になるならさ、一つだけお願い聞いて欲しいな。」
「なになに!?僕の出来ることならやりたい!」
「ふふっ、ウィリアムにしか出来ないことだよ。」

優しげな瞳で、ルイスが笑う。
まるで年上の知らないお兄さんのように見えて、ドキドキしてしまう。
歩きながらお話してたから、もうルイスのお家は目の前だ。
早く入ろうって言って誤魔化すこともできたけど、でも、それは違うと思うからルイスの目を見つめたままドキドキする気持ちを耐える。

「ウィリアムの左側に立つのは、ずっと俺優先で居させて欲しい。」
「ふえ?」

けどそんなドキドキする中で言われたのは、そんな簡単でちょっとなぞなこと。
だって、ルイスに負担かけるお詫びに聞くお願いなのに、どうしてその負担に思うだろうことを?
よく分からなくて首を傾げると、ルイスが一瞬だけ僕の手を離したかと思ったら、今度は両手で僕の左手を持ち上げて触れてしまうギリギリまで口に寄せた。
物語に出てくる、騎士様がお姫様に誓いをするようなシーンにも似ててまたドキドキが始まってしまう。

「本当は俺だけにして欲しいけど、それは難しいから………でも、俺が居る時は俺が優先。良い?」
「う、うん………分かった………」

ルイスの勢いに押されて、思わず頷いてしまう。
いや、ルイスがそれで良いんだったら僕としてはすごく嬉しい。
ルイスの双子の弟であるキャロルだったり、他の人だったりが僕の左側に立つことはあるけど、家族以外だとルイスとキャロルが一番緊張しないでいれる程に信頼できる相手だから………。

「でも、それってキャロルと居る時も?」
「というか、普通にキャロルと俺が居るなら俺を優先して。」

気になったことを聞けば、バッサリと切り捨てるようにそう言われた。
普段仲良しなのに、あまりのバッサリ加減に一瞬ポカンと口を開いてしまったが、その表情が僕でも分かるくらいにスネていたので思わず笑ってしまいそうになる。
―――さっきまで、あんなに騎士様みたいだったのに。

「………呆れてる?」
「ううん。むしろ、好きだなって思った。」

ちょっと遠く感じた距離が、また元に戻る。
まぁ、遠く感じてたのは僕の一方的な考えなんだけど。

「す、き?」
「うん、好き。ルイスのこと、好きだよ。………ダメだった?」

そう思いながら素直に好きと伝えたら、今度は何故かルイスの方がポカンとした顔をしたので不安になってしまう。
僕、何か間違えたこと言ったのだろうか?
好きって言われるの、嫌だったろうか。

「ダメじゃない!ダメじゃないよ!俺もウィリアムのこと好きだから!!」

そんな不安が伝わったのか、ルイスは僕の両手をギュッと握って力強くそう言ってくれた。
嬉しいけど、勢いにビックリしてしまう。
まるでこの間のカミナリみたいな激しさだ。

「う、うん!ありがとう!そろそろお家入ろう?」

ビックリはしたけど、好きだと言ってもらえるのはとても嬉しい。
たとえそれが、嘘だとしても。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

人気アイドルが義理の兄になりまして

BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

え?俺って思ってたよりも愛されてた感じ?

パワフル6世
BL
「え?俺って思ってたより愛されてた感じ?」 「そうだねぇ。ちょっと逃げるのが遅かったね、ひなちゃん。」 カワイイ系隠れヤンデレ攻め(遥斗)VS平凡な俺(雛汰)の放課後攻防戦 初めてお話書きます。拙いですが、ご容赦ください。愛はたっぷり込めました! その後のお話もあるので良ければ

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...