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8歳の春
えにし
「思うんだけどさ、人手が足りなくね?」
無事に解体し終わった熊型モンスターを各々のマジックバッグにしまいながら、次の狩りの準備をしていると、村人の一人がそう言い出した。
今居る侯爵邸裏手側の森は元々からモンスター多かったのだが、ここ数年は森の実りが豊かになったのか更に体躯が大きいモンスターが多くなった。
更にそれだけではなく、今年はウィルの家の裏手の森の瘴気が無くなったのでそこからモンスター達が押し寄せる可能性があった。
どうしても村には年寄りが多く若者が少ない。
そんな数少ない若者も、全員が全員戦闘行為が出来る訳でもない。
アーサーにシグルドという戦闘センス抜群のモンスターが居ると言っても、ボディが分裂する訳ではないので頭数は結局2人分だ。
「そうだよなー。ウィルー。心当たりねぇの?」
「アーサーとかシグルド程とは言わねぇけど、強いモンスターとか。」
「ウィル程とは言わねぇけど、戦える奴とか。」
「好き勝手言ってんじゃねぇぞ。」
やんややんやと言い募る村人達を一刀両断して、ウィルはふと、以前モリス市長が言っていたことを思い出した。
プライベート空間には誰も招かない。
しかもプライベートを尊重し過ぎて準貴族であるにも関わらず使用人を住み込みではなく通いにさせている程のモリス市長が、招くどころか住み着かせている存在が居ると言っていたことを。
アーサーも同じことを思ったらしい。
ウィルの方にボディを動かして、肩を竦めるジェスチャーをした。
「心当たりなんてねぇよ。」
「ちぇーっ!」
「シグルドやアーサー連れて来たお前なら心当たりあると思ったんだけどなー。」
ウィルの言葉にぶーぶーと文句を言う村人達だったが、勿論本気ではない。
ただ、まぁ………モンスター相手にも顔が広そう(誤解)なウィルだったら、心当たりあったりしないかなぁと思っただけだ。
「アーサーは?」
《ふふっ………聞いて驚け。私は友人が少ない。》
「あっ。ごめん。」
《真剣に謝られると逆に傷付くんだが?》
まぁ実際アーサーは、生前も含めてこの村の人間以外にまともな知り合いは居ない。
妖精騎士時代は浮いていたし、あの森で暮らしでは特に親しいモンスターなんてあのヌシ位なものだった。
それが一度死んでこうして友人とも言える存在ができ、こうして気安く話が出来る親しい知人だってできた。
縁というのは不思議なモノだなと、アーサーはしみじみと思った。
あの男も………
ウィルに対してやったこともクィル神官を口説いたことも気に食わないが、それでももう、あんな目をしなくなれば良いなとは思うし、こんな軽口を叩き合えるような存在を手に入れるようになれば良いとも思う。
《ウィル。》
「ん?」
《心当たりがあるのだから、声を掛けてやっても良いんじゃないか?》
あのどこか食えない男が、それを許可するかどうかは別にして。
無事に解体し終わった熊型モンスターを各々のマジックバッグにしまいながら、次の狩りの準備をしていると、村人の一人がそう言い出した。
今居る侯爵邸裏手側の森は元々からモンスター多かったのだが、ここ数年は森の実りが豊かになったのか更に体躯が大きいモンスターが多くなった。
更にそれだけではなく、今年はウィルの家の裏手の森の瘴気が無くなったのでそこからモンスター達が押し寄せる可能性があった。
どうしても村には年寄りが多く若者が少ない。
そんな数少ない若者も、全員が全員戦闘行為が出来る訳でもない。
アーサーにシグルドという戦闘センス抜群のモンスターが居ると言っても、ボディが分裂する訳ではないので頭数は結局2人分だ。
「そうだよなー。ウィルー。心当たりねぇの?」
「アーサーとかシグルド程とは言わねぇけど、強いモンスターとか。」
「ウィル程とは言わねぇけど、戦える奴とか。」
「好き勝手言ってんじゃねぇぞ。」
やんややんやと言い募る村人達を一刀両断して、ウィルはふと、以前モリス市長が言っていたことを思い出した。
プライベート空間には誰も招かない。
しかもプライベートを尊重し過ぎて準貴族であるにも関わらず使用人を住み込みではなく通いにさせている程のモリス市長が、招くどころか住み着かせている存在が居ると言っていたことを。
アーサーも同じことを思ったらしい。
ウィルの方にボディを動かして、肩を竦めるジェスチャーをした。
「心当たりなんてねぇよ。」
「ちぇーっ!」
「シグルドやアーサー連れて来たお前なら心当たりあると思ったんだけどなー。」
ウィルの言葉にぶーぶーと文句を言う村人達だったが、勿論本気ではない。
ただ、まぁ………モンスター相手にも顔が広そう(誤解)なウィルだったら、心当たりあったりしないかなぁと思っただけだ。
「アーサーは?」
《ふふっ………聞いて驚け。私は友人が少ない。》
「あっ。ごめん。」
《真剣に謝られると逆に傷付くんだが?》
まぁ実際アーサーは、生前も含めてこの村の人間以外にまともな知り合いは居ない。
妖精騎士時代は浮いていたし、あの森で暮らしでは特に親しいモンスターなんてあのヌシ位なものだった。
それが一度死んでこうして友人とも言える存在ができ、こうして気安く話が出来る親しい知人だってできた。
縁というのは不思議なモノだなと、アーサーはしみじみと思った。
あの男も………
ウィルに対してやったこともクィル神官を口説いたことも気に食わないが、それでももう、あんな目をしなくなれば良いなとは思うし、こんな軽口を叩き合えるような存在を手に入れるようになれば良いとも思う。
《ウィル。》
「ん?」
《心当たりがあるのだから、声を掛けてやっても良いんじゃないか?》
あのどこか食えない男が、それを許可するかどうかは別にして。
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