9 / 20
9
しおりを挟む
イジメを受けてる人間が、放課後にやることなんて何一つない。
俺はひっそりと正門を通らずに抜け道を使って、学校から逃げるように帰る。
通る抜け道は日によってバラバラだ。
見付かったり待ち伏せされたりするリスクを、極限まで減らすため。
今日の抜け道は駅まで少し遠回りになるからあまり好きではなかったのだが、なんと素晴らしい事にバス停までめちゃくちゃ近くなってしまう。
バス通学バンザイ。
通学証明が必要だから定期券を作る気力は無いけど。
抜け道を出てすぐの歩道橋を登り、反対側から降りればもうバス停。
俺は早く渡邊さんに会いたくてウキウキしながら階段を上る。
渡邊さんの未成年略取については、オーナーが大丈夫って言ったからきっとなんとかなるだろうとポジティブに考えることにした。
どの道俺はもうすぐ卒業だから卒業してすぐホテルかオーナーの経営する何かのどれかに就職する予定だし、寮生活と偽ってあのマンションで暮らす事にもなっている。
もう二度とあの家に帰る必要がないと思うと本当に―――
「千草」
階段を上った先で笑う人影。
夢が粉々に砕けて現実となる音が、聞こえた気がした。
「僕言ったよね?あの人は僕の事が好きなんだから、調子に乗るなって。」
なんで、変わったばかりの通学路が分かったんだろうか。
ドクドクと、階段を上ったからとは違う理由で心臓が暴れる音がする。
耳の中がザーザーとうるさい。
目を見開き固まる俺に、人影………弟はその綺麗な口元をうっすらと歪めた。
「お前があんまりにも人の話聞かないからさ、現実を分からせてやろうと思って呼んだんだ。」
誰を?
オーナーを?
それなら嫌々ながらも納得はできる。
だってオーナーの人生だから、俺がどうこうできる話ではない。
でも、でも渡邊さんは―――
「ほら、もうすぐ来るよ」
止めて、止めて、止めて!
コツコツと弟の背後から靴音が聞こえる。
渡邊さんのブーツの音のような気がして俺は………!
俺はひっそりと正門を通らずに抜け道を使って、学校から逃げるように帰る。
通る抜け道は日によってバラバラだ。
見付かったり待ち伏せされたりするリスクを、極限まで減らすため。
今日の抜け道は駅まで少し遠回りになるからあまり好きではなかったのだが、なんと素晴らしい事にバス停までめちゃくちゃ近くなってしまう。
バス通学バンザイ。
通学証明が必要だから定期券を作る気力は無いけど。
抜け道を出てすぐの歩道橋を登り、反対側から降りればもうバス停。
俺は早く渡邊さんに会いたくてウキウキしながら階段を上る。
渡邊さんの未成年略取については、オーナーが大丈夫って言ったからきっとなんとかなるだろうとポジティブに考えることにした。
どの道俺はもうすぐ卒業だから卒業してすぐホテルかオーナーの経営する何かのどれかに就職する予定だし、寮生活と偽ってあのマンションで暮らす事にもなっている。
もう二度とあの家に帰る必要がないと思うと本当に―――
「千草」
階段を上った先で笑う人影。
夢が粉々に砕けて現実となる音が、聞こえた気がした。
「僕言ったよね?あの人は僕の事が好きなんだから、調子に乗るなって。」
なんで、変わったばかりの通学路が分かったんだろうか。
ドクドクと、階段を上ったからとは違う理由で心臓が暴れる音がする。
耳の中がザーザーとうるさい。
目を見開き固まる俺に、人影………弟はその綺麗な口元をうっすらと歪めた。
「お前があんまりにも人の話聞かないからさ、現実を分からせてやろうと思って呼んだんだ。」
誰を?
オーナーを?
それなら嫌々ながらも納得はできる。
だってオーナーの人生だから、俺がどうこうできる話ではない。
でも、でも渡邊さんは―――
「ほら、もうすぐ来るよ」
止めて、止めて、止めて!
コツコツと弟の背後から靴音が聞こえる。
渡邊さんのブーツの音のような気がして俺は………!
58
あなたにおすすめの小説
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
αとβじゃ番えない
庄野 一吹
BL
社交界を牽引する3つの家。2つの家の跡取り達は美しいαだが、残る1つの家の長男は悲しいほどに平凡だった。第二の性で分類されるこの世界で、平凡とはβであることを示す。
愛を囁く二人のαと、やめてほしい平凡の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる