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あの子とはそれから、毎日のようにメールをした。
とはいっても面倒臭がりなあの子からの返信は三日に一回来れば良い方だったが、それでも俺は毎日メールを送り続けた。
勿論、幼馴染の動向報告も含めて。
どんな情報が喜ばれるのか分からないから、事細かに打った文章を送ったら、報告書かよと笑われてしまったが。
それでもあの子は喜んでくれて、ついで程度になってしまった俺の近況にすらあの子は律儀に返事をしてくれた。

あの子が当時住んでいた所は、気軽に行ける場所でもなかった。
当時は今みたいに学生が携帯電話を持って当たり前という訳ではなかったし、持っててもスマホ自体夢物語な時代だったから利便性は今程じゃない。
電話だって気軽に出来ない。
メールだってパソコンだから家に帰り着いた時に見る位だし、家族共用だから長時間のやり取りは出来ない。
出来ない事ばかりだから、出来ることが凄く嬉しかった。

会いたい、好きだ。

会えない分、会いたい気持ちが募る。
会えない分、好きだという気持ちが募る。
そんな安っぽいラブソングみたいな感情が込み上げてくる。
幼馴染にはかなりの頻度でメールのやりとりをしているらしいが、まぁ、そんな差はいつもの事なので気にならない。
これが幼馴染以外の男にとかだったら、腹立つ所の話じゃないが。

「他の男………か。」

多分俺は、幼馴染とあの子が付き合ってもそこまで思わないと思う。
幼馴染は両親の後を継ぐ以上、もう既に婚約者が居るような状態だ。
それは揺るがないことで、だからこそ付き合えた所で別れが確約されているという事実も関係している。
まぁそれ以上に、二人の間に割り込むということがどうにも考えられないというのもあるんだが。
だが他の男があの子の隣に立つなんて、絶対にあってはならない。

しかし、ありえない話じゃない。

今までみたいに、ずっとあの子の傍に居れる訳じゃない。
ずっとあの子を視界に入れれる訳じゃない。
あの子が誰かに惚れられるかもしれない。
あの子が誰かに惚れるかもしれない。
それは言いようのない不安と不快感になり、俺の心に刺さる。

『会いたい』

耐えきれずに打ってしまったメッセージは、送信ボタンをクリックした瞬間にどうしようもない不安へと姿を変えていった。
紛れもない俺の本音。
それがあの子を不快にさせたらどうしよう。
もうやり取りをしたくないと言われたらどうしよう。
考えてみれば、俺の代わりなんていくらでも居る。

『会いたいなら、来ればいい。』

しかし、彼女から送られた返事はいつもの調子そのままだった。
私からは行かないがなという、いつもの笑顔すら浮かんでくるような返信。
俺はその文字をそっと指で撫でると、絶対にあの子の隣に立つんだという決意にも似た欲望が込み上げてきた。

「他の誰にも、渡さない。」

そうしてあの子との再会は、思ったよりも早く訪れることとなった。
























この街の経済を牛耳っていた幼馴染の両親が、事故により儚くなったからだ。
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