どなたかピンク髪の少女を知りませんか? あ、こう見えても実は俺、異世界から来たんです。

若松利怜

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第一章 初めて行った異世界で、俺の中に別の何かが覚醒した。

第7話 #異世界の街でトライアンフ(凱旋)

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 結局キャロルやメリルに押し切られ、彼女の両親でもある領主に会ってその話だけでも聞くと言う約束をし、俺は何とか彼女達と集まっていた人達を落ち着かせた。

 神様とか神の使いとか、いい加減にして欲しい。

 適度に煽てられるのは悪い気はしないが、ああまで持ち上げられると逆に引いてしまう。

 その後、俺達が朝食を済ませて部屋へ戻ると、暫くして町長のダンベルが面会に訪れた。

 廃村の解放だけでなく、十数年悩ませていた街の脅威から救った英雄として、何としても領民達に顔を見せて欲しいと言うのだ。

 本来であればそんな大それた事は避けたい所ではあるが、俺としてもイーリスの情報を少しでも得る為には、なるべく多くの人にイーリスの事を尋ねたい。

 そう言う訳で街の領民に俺を曝け出したい町長と、なるべく多くの人にイーリスの事を尋ねたい俺との利害関係が見事に成り立っているのだ。

 結果的に俺は町長が用意する馬車で街の中央広場へ行く事となった。

 昼過ぎにそこへ街の皆を集めるので、用意された馬車で向かって欲しいと言い、ダンベルは何度も頭を下げて帰って行った。


 ♢


「ハルト様! こんなのを使用人達に作らせたのですが、如何でしょうか⁉」

「え? それは?」


 見ると、キャロルとメリルが大きな布切れを広げ持った。

 そこには、【尋ね人:イーリス】【特徴:ピンク色の髪をした少女】と、大きく書いてある。

 下の方には大まかな身長や連絡先が明記されていた。

 しかし、さっきキャロルは作らせたと言ってはいたが、布を持つ彼女の手は文字を書いた塗料で汚れている。


「これを中央広場までの凱旋中に、馬車の両側に貼り付けるつもりです!」


 凱旋中? ……って誰がっ⁉

 まさかでしょっ⁉


「お嬢様、中央広場の各出入口にも貼り出しましょう!」

「そうね! 五枚作ったけれど、そうなるとまだまだ必要ね!」

「はい! これと同じものを沢山作り、街中に貼り出します!」

「そうだメリル! 王都にも同じものを送る事に致しましょう!」

「お嬢様、それはまだ何とも……」

「……やっぱり? だったら早くお母様に報告して、女王様へ許可を戴かないと!」

「そうですね、女王様の認可が下りれば!」


 二人が思いの外、こんなにも親身になってくれている事を知り、俺は何だか嬉しくなった。

『キャロルもメリルもこんなに協力してくれてるんだね』

 ああ、あの手を見たかよ。

『うん、見えてるよ』

 自分が率先して作ってくれているのに、作らせたと言って皆の協力があるんだと、暗に俺に伝えようとしている。

『これこそが人の上に立つ器って事かしら』

 ああ、俺、本気でこの人達の力になりたいと思ったよ。

『うんうん~』

 俺は二人に向き直ると頭を下げた。


「二人共、どうもありがとう! この街の皆に尋ねられたら、今はそれだけで十分だよ。ホントにありがとう!」

「そんなっ! いけませんっ! お顔をお上げください!」

「そうですっ! わ、私、メリルは何でも致します!」

「わ、私だって、誇り高きルビエンドの次女として何でも致しますっ!」


 二人はそう言って訴えるかの様に俺を見上げた。


「あ、ありがと……」

『あのさ、凱旋中には盾の守護展開しておくつもりだけど……』

 え? 盾の守護展開?

『うん、昨日の夜みたいな装備ね』

 あ、あれを着て皆の前に立つのっ⁉

『この世界には魔法師も居るんだよ? 目立った先にどんな危機があるか、まだまだ想定出来ないじゃん?』

 そう言われてみればそうだな……。

 だけど、あんな真っ黒タイツみたいなの着るの? 

 真昼間からあれは変だってば。

『あれは奇襲に特化して変化してるからだよ? それに、真っ黒に見えたのは周囲の状態に適応してただけ。あれに実際の色は無いの』

 そうなんだ⁉

 でも、あの他にどんなのがある?

『それは……知らないわよ』

 えっ⁉ はぁーっ⁉ 知らないの⁉

『私だって初めての事ばかりだし、色々試してみないとわかんないよ』

 そ、そうなのか……。

 まあ、言われてみればアニマだって全てを知ってる訳じゃ無いよな。

『そう言う事。今の内に試してみたら?』

 今? ここで?

『そうよ。今じゃ無きゃいつやるの』

 後で?

『な……今すぐやりなさいっ!』

「は、はいーっ!」


 あ、ヤバっ!

 すると咄嗟的に返事をした俺に驚き、キャロルとメリルがビクッと目を見開いた。


「ど、どうされましたっ⁉」

「ハルト様っ⁉」


『馬鹿……』

 う……。


「あ、いや、ちょっと……ね」

「突然……驚きました」

「え、ええ。大丈夫でございますか?」

「うんうんっ! 全然大丈夫っ!」


 しかし、この場で盾に加護を発動するんだよな?

『そうよ? 試しておかないと、結局あたふたしちゃうでしょ?』

 ま、まあそうだけど……分かったよ、やってみる。


「あ、二人共。ちょっと試しておきたい事があるから少しだけ離れるね?」


 俺は心配そうに見ていた二人にそう言うと部屋の隅へ移動した。


「え?」

「はい?」


 二人はキョトンとした表情で見ていたが、俺は構わずネックレスを握って意識を集中する。

 ルーナから授かった加護の力……これはエランドールで生まれたこの俺の、あらゆる能力を格段に引き上げる。

 するとすぐに身体がパッと光り出し、加護の発動を感じた。

 今思えば、この身体の発光……これはエランドールへ帰る前、大浴場で沙織さんが光っていた時と似ている。

『そのまま盾の守護を展開して欲しいんだけど、イメージはそうね……遠くからスナイパーがいつ撃って来るか分からないと言う、そんな状況を想定して』

 何それっ! 

『あくまでもイメージよ、早くして』

 わ、分かった……。

 今度は指輪にそっと触れると、二つが共鳴して身体の光が更に増す。

 その明るさは外の陽の日差しにも負けない程、広い部屋の中を眩く照らした。

 二人が驚いて俺を見ているのは分かっているが、今はそこにかまっては居られない。

 遠くからスナイパーが撃って来るってイメージって、狙撃される危機を想定ってことかな?

 ピンポイントに頭を撃たれるなら、それに対応した装備ってのも考えられるけど、ミサイルとか空爆だった場合どーすんの?

 ひとたまりもなくね?

 遥か遠くからのミサイル攻撃や、もっと言えば人工衛星からのレーザー光線だって想定しなきゃいけないんじゃないか?

 完璧に防御特化の装備……。

『なるほどね~、そうイメージしたか~』

 は? 出来てる?

『ん~、七十点』

 な、何だよ……。

『これが今の最高点かな?』

 やがて発光が治まると、俺のステータスが大きく変化しているのに気付いた。

 うわっ!

 この防御力は……何これ……桁違いとかそういう次元じゃ無いんですけど?

『これで物理的な衝撃は勿論、温度や磁力、次元の捻じれからも守られるわ』

 マジかっ⁉

 次元の捻じれからも⁉

 てか、良く分かんないけど。

『盾にはイーリスの付加もあるからね。これがハルトのイメージに私が追加して構築した装備だよ』

 完全に防御特化なのか。

 しかし、この見た目が問題だ。

 ゴツイ仮面と兜をかぶり、頑丈そうな鎧と大きなマント。

 言うなれば……冥界の王?

 キャロルとメリルには恐らく悪魔降臨の様に見えているんじゃ無いか?

 そっと二人の方を見ると、やっぱり驚いた表情でこっちを見ていた。

『あ、一応言っておくけど、彼女達にはその装備は見えて無いわよ?』

 えっ⁉ そうなの?

『うん、剣や盾と同じ様にそれは見えないんだよ。恐らくこの世界の物質じゃ無いから?』

 そうだったのか……。

 二人は驚いた表情で俺を見ているが、これはさっき身体が光ったからか。

『実はこれって、あたしが構築してハルトに装着させてるんだけど、それをハルトにも認識しておいて貰いたかったのよ』

 は? そうだったの?

『うん、想定される危機を最善の方法で対処する為の、私達の危機回避能力の一つ』

 そうか……。

『私が勝手に装着させても良いんだろうけど、こうやってハルトと意思疎通が出来る様になったから、あえて認識して貰ったの』

 なるほど……そうだったのか。

 しかし、何だか暑苦しいと言うか重々しさを感じるんだけど?

『あー、それは大気圧や重力、そよ風の様な僅かな風圧までもその鎧がガードしてるからだね。実際には暑苦しさや重さをハルトが感じる訳ないもの。結論を言うと、不快にお感じるのは気のせい。初めての事で、ハルトが過剰に感じ取っているだけ』

 そうか、装備が防御している全てを俺が感じ取っているから?

『まあ、そんな感じ。その装備に重さなど無いけど、気になるならその装備から徐々に解除していったらいいのよ』

 徐々に解除って?

『例えばマントをとるとか、仮面を外すとか』

 取るって言ってもどうやって脱ぐんだよ。

『普通にマント外してご覧?』

 え? このまま?

 にわかには信じがたい気持ちもあったが、鎧に着いたマントを掴むとすんなり外れ、そのまま手を離すとスッと消えてしまった。

 あ……。

『大丈夫、指輪に吸収されてるよ』

 あ、そ?

 今度は仮面を外してその手を離すと、やはりスッとそれは消えてしまった。

『装着は理解出来たよね?』

 え……理解?

 出来たのかな……。

『そう言う事で、今後は必要を感じたら、その場に適応した装備をあたしが勝手に装着しちゃうからね?』

 マジかっ⁉ そうしてくれたら助かるよ。

 その都度俺が意識を集中してこんなのを装着してたら面倒に思える。

 そもそも、仮面やマントは大袈裟にも思えるし。

『何言ってるの? この世界だからこそどんな危険があるか想定出来ないんじゃない』

 そ、そうなの?

『ここには魔法使いがいるのよ? さっきも言ったじゃん』

 あ、そうかっ! すっかり忘れてた!

 アニメで見る様な火の魔法とか水の魔法で攻撃されたらめっちゃ怖いよな!

『だから二人が居るけど今の内にお試しの装着してるんでしょ……全く』

 悪い悪い。


「あ、あの……ハルト様」

「え?」


 メリルに呼ばれてそちらを見ると、二人が恐々とした感じでこちらを窺っていた。

 驚かせてしまっているのは分かっては居たが、改めて二人の精神状態を察知すると、かなり不安感が高まっている。


「あ、ごめん! こっちの準備は出来たんだけど、中央広場へはいつ頃行くの?」

「あ、はい! 昼食を済ませてから出る予定です」

「あらそ? ならまだ時間はあるなぁ」

「ええ。あ、でもこれをもっと作らないと!」


 キャロルがそう言って持っていた横断幕をメリルに見せると、彼女も気づいた様に頷いた。


「そうですね、お嬢様! ハルト様、後程昼食へはご一緒しますので、さしあたりましてはこれで失礼致します」

「では、ハルト様。後程お声がけ致します」

「あ、待って! 俺にもそれを手伝わせてくれよ」

「え?」

「俺も昼迄やる事無いし、イーリスを捜す為に出来る事をしたいんだ」

「は、はい!」


 キャロル達が作ってくれた横断幕は中々目立つし、イーリスの事を尋ねるには良いアイテムだと思う。

 これを出来る限り沢山作って多くの人に見て貰いたい。

 そう思った俺は、そっと守護展開の装着を解除して彼女達と部屋を出た。


 ♢

 
 最上階の別室で数人の使用人達と横断幕を作っていると、扉を軽くノックして宿の給仕が入って来た。


「お嬢様、失礼致します。お食事のご用意が出来てございます」

「あら、もうそんな時間?」


 俺達は時間が過ぎるのも忘れて作業をしていたらしい。

 思えばこうやって多くの人と何かを作ったのは俺は初めてだ。

 何だか楽しいもんだな。

『でも、ハルトの為に皆が協力してくれてるんだよ』

 ああ、そうだよな……。


「ハルト様、この街に貼り出す分は取り敢えず出来ましたね!」

「うん、みんなどうもありがとう!」

「い、いえ! 滅相もございません!」

「そうです! 神使様のお役に立てて嬉しく思います!」

「ちょ、それは違うって言ったじゃんっ!」

「ですが……」


 使用人の殆どは、俺が神の使いか何かだと未だに思っている様だ。


「キャロルも何とか言ってくれよ~」


 俺が苦笑いでキャロルにそう言うと、分かりましたと彼女が頷いた。

 そして、手伝ってくれている使用人達を見回した。


「あなた達がハルト様をどう思うかは自由です。ですが、直接ハルト様に言っては失礼だと弁えて下さい」

「は? おいおい、本当に俺は神様の使いとかそんなんじゃ無いんだってばっ!」


 慌てて俺が否定すると、ゆっくりキャロルは振り向いた。


「ハルト様。この街の誰もがハルト様の仰る事は信じるでしょうし、その心に刻むでしょう。ですが、その者がハルト様をどう思うのかまでは、この私には縛り付ける事など出来ません」

「へ?」


 キャロルは俺に軽く頭を下げると、振り向いて使用人達をまた見回した。


「いいですか、あなた達。ハルト様がこの私やこの街を救って下さったのは間違いなく事実です。そんなハルト様をあなた達がどう思うのかは自由ですが、ハルト様をお呼びになる際は神使様は控えなさい。ハルト様にもご事情がございます」

「ご事情? いや、そう言う事じゃ……」


 すると、先程俺に神使様と言った使用人が、キャロルの前に出て来て頭を下げた。


「すみません、お嬢様!」

「私では無くて、ハルト様に……でしょう?」

「はい! ハルト様、申し訳ございませんっ!」

「あ、いや……」


 その仕様人が今度は俺に向かって深々と頭を下げると、もう一人の使用人がその横に立ち、同じ様に頭を下げた。


「すみませんでしたっ! 私も母に神使様のお手伝いが出来ると、そう話してしまいました……」

「え……?」

「じ、実は私もですっ! ごめんなさいっ!」

「わ、私も弟にそう話して家を出て来ちゃいました!」


 気付くと作業を手伝ってくれた人、その全員が頭を下げている。


「あー、もう良いですよっ!」

「ハルト様っ⁉」

「呼び名何てどうでもいいんですけど、神使様とかそんな大層な奴じゃ無いって事だけは分かって下さいよ?」

「は、はい!」

「肝に銘じておきますっ!」


 皆はそう言うと深々と頭を下げてしまった。

 はぁ……。

 こりゃ、中央広場でも大変だろうな。

『まあ、その時は私が変わってあげてもいいけど?』

 ああ……頼むかも知れない。


 ♢


 宿の大広間で昼食を済ませ、部屋に戻った俺が独りで紅茶を啜っていると、そこへミランダ隊長が二人の衛兵を連れて来た。


「ハルト様、これは副隊長のスカーレットとエアリーナでございます」

「あ、どうも。霧島悠斗です、よろしくお願いいたします。二人共副隊長さん?」


 そう二人に聞いたつもりだったが、それにはミランダが答えた。


「はい、ハルト様。この街には四名の副隊長がおります」

「あ、四人も?」

「はい。この街を常時守れる様に交代で勤務しております」


 なるほど、誰かが休みでも常時副隊長以上の衛兵が駐在しているのか。

『ハルト、二人との握手を忘れないで』

 ま、マジかよっ! また?

『情報は多い方が良い事くらい分かるでしょ?』

 そりゃそうだけど……。

 俺はちらっと副隊長の二人を見た。

 スカーレットとエアリーナはミランダの少し後ろで俺を見つめていたが、目が合うとすぐに頭を下げて下を向いてしまった。

 こうなったらミランダの時と同じようにさり気無く……。


「スカーレット副隊長、霧島悠斗です。どうぞよろしく」


 笑顔でそう言って手を差し伸べると、彼女は一歩下がり片膝を床に落とすと、そのまま頭を下げてしまった。

 げっ! やっぱりそう来たか!

『ふふふっ』

 お前、楽しんで無いかっ⁉

 だが、これはミランダの時に学習した。

 そう、俺はスキルアップしているのだ。


「スカーレットさん、さあお顔を上げて下さい」


 スカーレットに近づいた俺はそう言って彼女の手を取り、そっと立ち上がらせた。


「――っ⁉」


 手を握られたスカーレットはその身を強張らせたが、瞬時にアニマが彼女のステータスを読み取ると、俺の頭の中には新たなログが流れる。

 名前はスカーレット・ウエスヒル・ルビエンドか……歳は十六歳。

 彼女もルビエンド家の仕様人って事か。

 あれ? ウエスヒルって……メルドさんと同じじゃね?

『うん、メルドとは薄いけど血縁はあるようね。それよりも火の魔法師って事に驚いてよ』

 え? 火の魔法師っ⁉

 そ、そうだったのか。

『はい、次!』

 あ、はい……。


「エアリーナさんも、どうぞよろしく」


 そう言って今度はエアリーナに手を差し出すと、やはりスカーレット同様、彼女も膝をついて頭を下げる。

 想定内だ。


「さあ、お立ち下さい」


 そっと手を取り立ち上がらせると、彼女がビクッとしたのを感じた。


「あ……」


 彼女の口から声が漏れたと同時に、瞬時に頭の中にログが流れる。

 エアリーナ・ノースレイク・ルビエンド……十七歳……彼女もルビエンド家か。

 あれ? ノースレイク? メリルと同じ?

『そうね、でもメリルと血縁は無いわね』

 そうか……おおっ! 彼女は風の魔法師か!

『うん、そこよ! 風の魔法師って何よ!』

 な、何をそんなに……。

 火や水の魔法師が居るなら風も居そうじゃん?

『え? どうして⁉ 化合物である水や化学変化である火は分かるわよ?』

 そう? ゲームでは定番なんだけど?

『ゲームの話はどうでもいいのよ! 風の魔法師って何よっ! 風って大気の移動でしょ? それの魔法師ってどういう事⁉ 大気の魔法師って事かしら!』

 ま、まあ、そんなに興奮するなよ……。

『だって、風って分類可笑しくないっ⁉』

 でもここ、異世界なんだろ?

『あ……。ハルトに諭されるとは……失態ね。黒歴史だわ』

 な、何だよそれっ! 

 でも、まあ、アニマが興奮したとこ初めて感じたよ。

『興奮? 気のせいよ』

 ふーん、そう?

『それよりも、いい加減に彼女の手を離したら?』

 は?

 気付くと俺は、恥ずかしそうに下を向くエアリーナの手を握っていた。


「うわっ! ご、ごめんっ!」


 慌てて彼女の手を離すと、ふとミランダの視線に気づいた。

 やべっ! 何だか複雑な表情でこっちを見てるし。

 そりゃそうだよな、ミランダの時と同じ状況だし……。

 学習して無いのか俺は。


「では、ハルト様。こちらから中央広場までの凱旋には、私とこの二名が警護にあたります」

「警護?」

「あ、いえっ! 私共の警護など必要は無い事と思いますが、ハルト様のお邪魔にならぬ様に致しますので……」

「あ、い、いえいえ!」

「キャロル様とメリルさんを含めたこの五名が、ハルト様がお乗りになる馬車に同乗させて頂く予定でございます」

「あ、そうなんですね」


 もし俺を標的にした狙撃があった場合、傍に居た人達にも危険がある訳じゃん?

 それで良いの?

『うーん、ハルト。疑似冥界でウルドとイーリスに盾を展開したの覚えてる?』

 ああ、ガチャガチャのカプセルをヒントに作った奴な?

『あれを馬車に展開する事も出来るよ?』

 そうか……。

『あの時、最後はあの疑似冥界全てを包み込むバリアを張ってみせたけどさ。あれは流石にあたしも意地張っちゃったな~』

 あれって、アニマがそんな気分でやってたのかよ。

『そうよ? ウルドが嗾けるんだもん』

 そうか、こうして意思の疎通が出来る前……ずっと昔から一緒だったんだよな。


「では、ハルト様。ご同行をお願い致します」

「あ、もう?」

「はい。下に馬車を用意しておりますので」

「あ、はい。すぐに!」


 俺が立ち上がると、彼女達は部屋の扉を開けて頭を下げた。

『装備の装着と盾の展開は私がやるけど、ハルトも慎重にね?」

 ああ、頼む。

 アニマに慎重にとか言われると、かなり緊張するんですけど?

 彼女達に案内され一階へ降りると、既にキャロルとメリルが馬車の前で待っていた。


「ハルト様、こちらの馬車にお乗りください」

「あ、うん」


 用意された馬車には屋根は無く、いわゆる馬車のオープンカーとでも言うのだろうか。

 両サイドにはイーリスを尋ねる横断幕が貼り付けてある。

 一番前の座席にはメリルとエアリーナが座り、真ん中の座席にキャロルと俺、最後尾にミランダとスカーレットが座る。

 馬車の上から見渡すと、宿前には多くの人が集まり、大通りの両脇にも大勢の人々が歓声を上げて見ていた。

 しかし……完璧に見世物だな。

『凱旋ってそういうモノよ?』

 まあそうかも知れないけど……。

 間もなく動き出した馬車の後を、見守っていた大勢の人がぞろぞろとついて来る。

 沿道に集まった人の中には土下座をして拝む姿も見えた。

 俺達の姿を見ようと身を乗り出す人達に押し潰されようとも、その何人かは土下座を崩さずに頭を地面につけている。


「ちょ、ちょっと待ったーっ!」


 とても見過ごす事が出来ずに、席を立ち上がって声を上げてしまった。

『あ、ハルト、あたしが言うよ』

 え? あ、ああ。

 御者が慌てて馬を停めると、俺はその土下座をする人の周りに向かって叫んだ。


「お集りの皆さんが、こうして僕達を称えて下さるのは有難く思います! ですが、そちらの方はご自分のお気持ちを、こうしてお座りになり表現なさっています! それを無下にしてまで僕達を称える皆さんは、どうかしていると思います!」


 そう言ってアニマの操る俺は馬車を飛び降り、土下座をしていた人にスッと近寄った。

 あまりにも素早い動きに、目で追う事も出来なかった人たちは、唖然として声も出せずにその場で固まった。


「さあ、オーリさんお顔を上げて下さい」


 そう言って老婆の手を取ると、新たなログがステータスとして流れる。

 オーリ・エルグランド、年齢六十六歳……。

 あ、この人、昨日イーリスの事を話してくれた人っ⁉

『そうよ。だから私に代わって貰ったの』

 そうだったのか!


「ああ……神使様! こんな年寄にまで慈悲を与えて下さるとは……」

「僕は神使ではありませんが、人生の先輩方には敬意をはらわせて頂きます」


 そう言うと、ブンッっと身体を光らせ空中に跳んだ。

 すると、馬車のキャロル達だけでなく、全ての人達が驚きの表情を浮かべ俺を見上げた。


「お集りの皆さん! 今一度、ご自分のお足元をご確認ください! こちらのご年配の方の様に、足元にお座りになられている方も多くみられます! 中には小さなお子様も居るでしょう!」


 そう言うと、人々は我に返った様にキョロキョロと自分の足元を見回した。


「この様に、ご自分の欲求だけを満たそうと行動を起こせば、誰かを傷付けたりする事もあるかも知れません! せめてご自分の周りをよく見て、節度あるご行動をお願い致します!」


 改めて下を見回すと、全ての人が地面にひれ伏してしまっていた。

 オーリ婆さんだけでなく、小さな子供でさえ親達に押さえつけられて頭を下げている。


「僕なんかにそこまで頭を下げる事はありませんっ! 僕はお世話になったキャロルさんや、街の皆さんが望まれている事を出来る範囲でしただけです! 皆さんには驚く事も多いでしょうが、それは僕が異世界からの来訪者だという事です! 決して神様の使い等ではありません! ですから、ひれ伏すのはおやめください!」


 そう言うが、正座したまま見上げるばかりで誰一人立とうとしない。


「ほら、立てる人は早く立って! 立てない方には近くの方がその手を貸してあげて下さい!」


 するとようやく辺りを見廻しながら人々が立ち上がり、足の弱そうなお年寄りには両脇から手を差し伸べ、こちらを見上げた。


「そうそう! 横断幕にある様に、僕はイーリスと言う少女を捜してます! 僅かな情報でもかまいません! 何でも教えて下さい! では、ここの街、全ての人にどうか幸多からんことを! そして、神様のお使い等では無いともう一度断言します! ここんとこ大事ですよーっ⁉」


 そう言うと、スーッと馬車の席へ降り立った。


「ハルト様……」

「あ、キャロル、勝手にごめんね。何だか放って置けなくて」

「いえっ! 私、ハルト様に感銘しました!」

「あら……」

「モーリス! 馬車を進めなさい!」

「はい!」


 ゆっくりと動き出した馬車の後を多くの人達がついて来る。

 そして何人かが馬車の先を走り、沿道に待つ人に先程の注意を促している様だ。

 正座して頭を下げている人を両脇から支えて立たせている。

 そうだよ、俺に土下座など必要ない。

 すると、前の席に居たエアリーナが振り向いて、嬉しそうな表情で俺に聞いてきた。


「ハルト様! 浮遊魔法をっ⁉」

「あ、いや、あれは魔法じゃ無いんだ」

「え? 違うのですか? てっきり……」

「ああ、あれは重力を反重力として変換……だったかな?」

「は、はあ……」


 すると、横に座っていたメリルがエアリーナを肘で突いた。


「こら、エアリーナ。前を見てなさい」

「あ、ごめんなさいっ!」

「浮遊魔法の件は、後程ハルト様にお時間を戴きます」

「はい! よろしくお願いします!」

 
 メリルにそう言われたエアリーナは、叱責されたにも係わらず嬉しそうに頭を下げた。

 しかし、俺にはエアリーナに説明するのは無理だな。

 理屈がさっぱり分かんないし、アニマ頼むよ。

『無駄よ……説明は私でさえ微妙なんだから』

 え……そうなのか。


 ♢


 やがて俺達の乗った馬車が中央広場に入って来ると、もの凄い歓声が一気に沸き起こった。

 しかし、馬車の前を行く人がさっきの経緯を集まっていた人達に説明すると、人々は口々にそれを伝え、段々と歓声は手を叩く拍手に変化していった。

 
「ハルト様、お待ちしておりました。さ、こちらへ」


 そう言われて俺が演壇に上がると、ダンベルが廃村の解放を集まった人に改めて語りだした。

 先ずはキャロル達を盗賊から救った話から始まり、廃村に俺が単身で乗り込み多くの人質を救った件と、村に蔓延っていた盗賊の壊滅を報告した。

 多くの人が嬉々としてこちらを見上げているのだが、遥か向こうにもこの広場に入れない人が大勢居るのに気付いた。

 気になって生命反応を探ると三万人程が集まっている。

 そもそも、廃村を解放した事やキャロルを盗賊から守った事で、街の皆が感謝して集まってくれてるんだよな……。

 俺に対する感謝の気持ちはもう充分わかってるし、あんなお婆さんにまで頭を下げられて……何だか逃げ出したくなって来た。

『気持ちは分かるけど、それが目立つ人の宿命よ?』

 宿命って……。

『宿命が大袈裟だったら、ワンセットって言い方でもいいけど』

 いや、言い方はどうでも良い。

『目的を見失わないで』

 あ、ああ。イーリスだよな。

 俺はその場で飛び上がると、集まった人達に問いかけた。


「お集りの皆さん! 俺の名は霧島悠斗! イーリスと言うピンク髪の少女を捜してこの世界へ来ています!
 イーリスは俺達の大切な家族なんです! どうか、少しでも情報があったら教えて欲しい!
 これをお願いする為に、この街の脅威である盗賊達を懲らしめました! これはお互いの損益が一致していた結果です!
 だから、過度な感謝の行動や、神の使いと言う的外れな礼賛はやめて下さい!
 出来たら悠斗様とかもね⁉ 俺の事は悠斗って呼び捨てでいいし、悠斗君でも悠斗ちゃんでも良いんです!
 あんまり持ち上げないで! て、照れくさいから」


 下にはポカンと口を開いて見上げる者や、それでもなお拝む様に手を合わせる者もいた。

『ん~、代ろうか?』

 あ、駄目だった?

『駄目じゃ無いけどさ~』

 やっぱ、代って貰おうかな……。


「おおーっ! ハルト様ーっ!」


 すると、多くの人が俺の名を叫びながら手を叩き始めた。

 徐々に拍手をする人が増えて行き、今や三万人近くの人が手を叩いて俺を見上げていた。

 そ、壮観だな……。

『あ、何か街に来てる……六十程の生命反応』

 ま、マジか!

『馬も居る、人間は二十八ね』

 あ、馬で向かって来てるんだ?

『うん、南門からこちらへ向かって来てる』

 じゃあ、もう少し上からなら見えるかも?

 俺は高度を上げ街の南門を見た。

 すると、馬に乗った一人の兵士が、もの凄い勢いでこちらへ向かって来ていた。

 そしてその少し後を、二台の馬車と馬に乗った多くの兵士がこちらへ向かって来ているのも見えた。

 門を問題なく通過したという事はこの街の関係者だろう。

 急いで広場の演壇上に降り立つと、キャロルとダンベルを目で追った。


「町長、キャロル! 暫くしたらここへ兵士と馬車が来るよ?」


 壇上からキャロルとダンベルにそう言うと、意識を集中して接近者をサーチする。

 既に一人はすぐそこにまで接近していた。


「え? 兵士と馬車⁉ もしかしたら、お母様の?」

「おお! 領主様が⁉」


 間もなく一頭の早馬が広場に入って来ると、その兵士が馬上から叫んだ。


「ルビエンド家ラトナラジュ閣下がご到着された! この広場を空けよ!」


 辺りにどよめきと歓声が沸き起こり、人々が演壇の傍からわらわらと離れて行く。


「そこの者、演壇から直ちに降りよっ! 我を見下ろしていた処遇は後程通達する!」


 げっ! 処遇って何っ⁉

 処罰対象って事っ⁉


「貴様ーっ! 早く降りないかっ!」

「あ、はいーっ! ごめんなさいっ!」


 慌てて演壇から飛び降りると、俺の元へさっきの兵士が馬を降りて歩いて来た。


「閣下と同道している我を見下ろすのは、閣下を見下ろすのと等しき事! その行いを悔いよ!」


 そう言って兵士は剣を抜き、俺に剣先を向けた。

『ちょ、何なのこの人』

 ちょ、ちょっとなになにーっ?

 めっちゃ怒ってんじゃん!
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 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
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エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

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黒ハット
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
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5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

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ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

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ランド犬
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 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

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「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

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