ベタな青春に憧れてなにが悪い!

たら

文字の大きさ
2 / 2
王道崩壊、三月寮の実態!

01話 出会い、そして終焉

しおりを挟む

俺は数分(数十分)、遅れて入学式が始まっている体育館におずおずと入り込む。

数人の生徒や教員が俺に気付いたのか、チラチラと目線を向けてくる。

まさか、時間を間違えるとは......。
浮かれ過ぎて、確認を怠っていたのだが......。
まぁ、大丈夫だろ、ミスは誰にでもあるさ。

「あの人......入学式初日から遅刻とか、不良なのかな?」
「一緒のクラスだったらどうしよ......。」

ヒソヒソと聞こえてくる女子達の声。
うん、これはもうダメかも分からんね。

初日からしでかした失態に、両手で顔を隠しながら、一番後ろのパイプ椅子に座る。

遅刻者は、問答無用で一番後ろの席だそうだ。
さっき、体育館前にて門番の如く俺を待ち構えていた、ゴリラみたいな先生が教えてくれたのだ。

「初日だから大目に見てやる。」

とか言われたが、俺はゴリラの言語が分からないので、聞き流しておく事にする。

それよりも、早くこの状況を打開しなくてはいけないな。
第一印象は何より大切、俺は満天の笑顔を浮かべて体育館の舞台に立ち、話をしている校長先生っぽい人の話に耳を傾ける。

「それでは、これで入学式を終わります。」

入学式は終わった。
着席時間、僅か30秒である。

なんか記録に名を残すんじゃないか?
俺の笑みも、流石に震えた。
後にその笑みは、完全に不審者だったと語る者がいたとか、いないとか。

慌てるな俺、入学式など始まりに過ぎない......!!
青春の始まりで盛大にすっ転んだ事は認めざるを得ないが、なぁに。七転び八起き!
不屈の精神で青春と向き合わねば、俺の求める王道青春を謳歌するなど夢のまた夢だろう。

「はい、それじゃあクラス分けを張り出すから、各自指定のクラスに移動して下さーい。」

校長と入れ替わり、全校生徒の前に立つのは茶髪の髪をおだんごにしてまとめている、なんとも癒し系!と言った先生だ。

かなり美人......、まぁ先生との禁断の恋など邪道な道へ向かう俺ではないが、あの先生が担任だったらいいな、とか考えている。

それも全て、俺に宿りし運命力が左右する事なのだが......。

早速一年生のクラス分けが張り出されているスペースへと足を運ぶ。

そのスペースには既に人だかりが出来ていた。
それぞれ喜びの表情だとか、残念そうな表情だとかを浮かべている。
地元が一緒の奴と離れたり、一緒だったり。
そんな事で一喜一憂しているのだろう。

無論、遠方からやって来た絶賛ボッチの俺には関係の無い話だ。
名前を見ても誰か分からないし、取り敢えずはクラスに移動してから、気の合う友達を作れば良い。

入学式と言う場で友達作りが出来なかったのは痛いが......過ぎた事を考えていても仕方ないのだ。

俺は、張り出されたクラス分けの紙を人混みに紛れながら、見上げる。

愚上ぐじょう......あった!

「1年3組か......。」

俺の、なんでもない自然と出た呟き。
この声に、隣に立っていた女子がピクンと反応した。

桃色の髪にパッチリとした瞳。
顔が小さく、髪の毛はサイドテールでまとめており、体型もスラッ伸びた足と、引き締まった腰が美しい美少女である。

ピンクなのにおっぱいが無いのは、俺的に邪道だが、その点を除けば完璧な美少女である。

そんな彼女が、俺の顔を見上げる。
身長差故だ、俺は170cmと高校1年としてはまずまずの身長。
対して、この美少女は、155cmくらいである。
相対的に、俺が見下し美少女が見上げる図が完成する。

「わ、私も1年3組だ......なの!!」

そして美少女が一言。
笑顔がかなり引きつっているのは気がかりだが、そんな事よりもだ!!!

「俺も同じクラスだよ?」
とか、こう言うのは、友達になる初動パターンなんじゃないか?
YES!!天はまだ、俺を見離しては居なかった!!

決して今までボッチだった訳ではないが、新しい地で初めて出来そうな友達と言うのは、それなりに嬉しいものである。
しかも相手は美少女、文句なしだ。

「俺も同じだよ!えーと......俺は愚上 千明ぐじょう ちあき。好きに呼んでくれて良いぜ!前の学校では、千明って普通に呼ばれたり、ちー君とか、酷い奴は千明ちゃんとか呼んで来たけど、全部受け入れて来た俺の強靭な精神力は......」

「じゃあ......千明くんで。」

俺の話を遮って呼び名を確定させたようだ。
チラチラと俺を見ながら、恥ずかしそうに身体を揺らす美少女。
ふむ、人見知りなのだろうか?
それなら、俺が責任を持って保護せねばならんな。
人見知りの美少女、しかも女子高生ほど価値のある人種もいないだろう。
人間国宝に認定して、正式に保護すべきだ。
正直これは、俺の真面目な考えである。

「ところで、君の名前は?」

羽衣 葵はごろも あおいっていう......言います!」

ふむ、葵......。
ピンクなのにあおいとは、これいかに。
まぁ、名前と容姿が一致しない事などザラである。
俺の友達のつよし君は、スゲーガリガリだしな。

しかし、さっきからやたらと口籠るなこの子......。
人見知りと言うには、結構ハキハキしゃべって来るんだけど......。

......まぁ、いいか。

「それじゃ、葵ちゃんって呼ぶ事にするわ。よろしくね」

「よ、よろしくね......」

此方も呼び名を確定させると、葵ちゃんも少し笑顔を深める。
よし、これで良い。
少しずつだが、仲良くなっていければ良いのだ。
これからもこの調子で友達を増やしていかんとな......取り敢えず、教室行くか。

「こんな所にいても暑苦しいだけだし先に行こうぜ、どこに教室あるか分かんないけど。」

「あ、教室はこっちだ......ですよ!」

これが、俺と羽衣 葵はごろも あおいの出会いである。

この出会いが、俺の王道青春ライフにピリオドを打つ事になるとは、今の俺が知る由もないのだが......。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...