突撃!門工サバゲー部!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語 第1章「国内大会編」~

たぬ吉R&D&P

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第1章

1-15「幽霊」

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「幽霊」
 大会参加者ミーティングの後、午前九時、決勝までトータル31ゲームの最初の3ゲームが始まった。門工サバゲー部は山岳エリア戦の「Aサイド」でのキックオフとなった。九州の建設会社の社員6名による全員が「アサルト」という猪突猛進チームは、隼のドローンにより次々と把握され、屠龍と紫電の陽動により、次々とスナイプポイントに追い込まれ、次々と門工サバゲー部のシモ・ヘイヘ「中島疾風」のモデル1897の餌食となった。
 公式戦デビューの零は、ショットチャンスに突然襟元に入り込んだ「マダラカミキリ」に驚き悲鳴を上げてしまい、相手チーム2名の集中砲火を浴びてしまい、1発の弾を撃つことなく、被弾してしまった。しかし、相手が零への射撃に気をとられている間に、屠龍と紫電が挟み込み殲滅した。
 ゲームはフラッグを獲るまでもなく、開始12分で残り人数5対0のコールドゲームで終わった。

 喜びに湧く門工サバゲー部の中一人落ちこむ零に、疾風が優しく声をかけた。
「零ちゃん、お疲れさん。落ちこまんと笑いや。これは実戦やなくてゲームやねんから、何べん死んでもええねん。
 個人戦やなくてチーム戦やからな。「デコイ」の屠龍と紫電が「キル」できたんは、零ちゃんが「デコイ」の役を引き受けたからやってな!
 1時間半後には、2回戦の廃墟戦が始まるから気持ちを入れ替えや。次のゲームで一人倒すたびに、俺と屠龍の腹筋触らせたるから、それを楽しみに頑張るんやで。」
と頭ポンポンして、笑顔で励ましてくれたので少し元気が出た。

 午前11時半からの2回戦前に、レーションでの昼食をとった。零は人気ナンバー1のフランス陸軍のレーションと2位のイタリア陸軍のレーションのおやつを残し、彗星と分け合った。おなかが膨れると(次こそ、「初キル」をゲットするべ!頑張ろうな「しょうちゃん」!)と元気が出てきた。

 午前11時25分、2回戦の廃墟戦のスタートを待ち、会場の待機場所へと移動した。地上5階と地下1階のフラッグ設置の場所取りは、不利な地下1階の陣取りとなった。(あー、せっかく屠龍副長と紫電先輩、ロープ降下の練習してたのになぁ。下から上への攻め上がりだから、使えないべな。屋内なんで、隼先輩のドローンは使えないし…。まあ、紫電先輩の自作新兵器の出番だべな!)

 門工サバゲー部は、地下1階の大浴場に陣を張ることになった。大浴場に行くには廊下を通るか天井裏から回り込むしかない。対戦相手は、岐阜から来ている消防員チームなので、天井裏のルートはまず知らないだろうということで、大浴場に通じる廊下にある階段の手前、リネン室の陰をスナイプポイントとし、零は待機することになった。
 CQB(近接戦闘)中心になるステージなので、零と隼以外は、短機関銃を持ち準備に余念がない。隼は、3階非常階段から偵察し、相手の動きを5人に通達する役割だ。

 待ち時間の間に屠龍が零に、
「前に言ったかもしれんが、この廃墟は「幽霊」が出るうわさがある。くれぐれも「憑依」されんなよ!出てくるのは、社長と奥さんと小さい女の子らしいから気をつけや!」
と緊張をほぐすための冗談のつもりで言った。
 その話を聞いてから、零は何かの視線を感じるようになった。(もー、屠龍副長が変なこと言うからなんか気になって仕方ないべ。地下1階は私だけだから不安だべよ…。)
 大会運営側が設置した裸電球の照明を頼りに、紫電と一緒に地下1階に下りた。紫電は、仕掛けを作りに大浴場の更衣室にむかい、零は一人になった。
 リネン室の扉を開け、部屋の中の蜘蛛の巣を取ると椅子代わりの洗剤の缶に腰かけた。
「お姉ちゃん、一緒にかくれんぼして遊んでくれる…。」
「ん!何?今の声?」
 零は、どこからか声が聞こえたような気がした。

 インカムで隼に聞いた。
「隼さん、今何か言いましたか?」
「いや、なんも言ってへんで。零ちゃん、あと1分で戦闘開始や。集中してや。」

 (えっ、何も言ってないって?確かに聞こえたんだけど…、小さい女の子の声だったような気がするんだけど、本当に私の勘違いだべか…。)零は、ペンライトでリネン室の中を照らしたが、シーツ用の大型の回収かごがいくつも乱雑に置かれている以外に人の気配はなかった。
 零の背筋に悪寒が走り、体が震えた。


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