突撃!門工サバゲー部!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語 第1章「国内大会編」~

たぬ吉R&D&P

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第1章

1-35「元公務員チーム」

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「元公務員チーム」
 7月半ばの日曜日、朝9時、門工サバゲー部は、大阪北港の「三友・住井倉庫に集まっていた。全員が大きなボストンバッグかスポーツバッグとライフルケースを持っている。優勝候補の「元公務員チーム」の6人も同じような荷物量だったが、残りの2チームは、せいぜい冬装備の量だった。

 緊張感を持って、準決勝参加の手続きを取り、今まではなかったメディカルチェックが行われた。もちろん全員クリアーだった。会議室で24人のアスリートを前に大会主催者が大型モニターで冷凍倉庫内に造られた、各種人口設置物と構内見取り図の説明に入った。
 構内にある「マイナス8度まで「暖房」されたプレハブに入るとその場でリタイヤになることと、自主ギブアップのリモートスイッチが各人に渡され、ウエアの下に直接つける血圧と脈数計測器も配られた。
 冷凍倉庫内は、かつてのフィンランドの冬戦争の1940年1月を想定してセッティングされていることが説明された。

 対戦相手を決めるくじ引きに入った。(あー、神様!「元公務員チームと当たらないようにおねげえしますだ!」零は祈った。幸い、最初の二組が引いた時点で、「元公務員チーム」の対戦相手は決まった。
 (よっしゃ、これで決勝への道がつながったべ!あとは決まった相手をやっつけるだけだべな!)零はほっとして、横にいるみんなには見えない「飛燕」とその横の白いポンチョを羽織った小柄な男に微笑みかけた。小柄な男も人懐っこい笑顔を零に返した。その男こそ「白い悪魔」と呼ばれた「シモ・ヘイヘ」だった。

 「元公務員チーム」の出場する第1試合第1ゲームが始まった。零たちは選手控室に設置された4枚の大型モニターで試合の様子をうかがっていた。「元公務員チームはツーマンセルの3組編成だった。1名がライフル、1名がハンドガンで白とライトグレーの冬迷彩のウエアで手際よく、相手陣に踏み込んでいく。相手チームが白いポンチョの上に出た顔から白く凍った吐息が吐き出されるのに対し、「元公務員チーム」にはそれが見えない。
「おい、あいつら呼吸してへんのか?吐息が出えへんぞ!」
屠龍がモニターにむかって呟くと、隼が答えた。
「あー、これは参考になるなー。口元からパイプが襟元に入ってるのが見えるやろ!シュノーケルと同じ要領で吐いた息をパイプで胸元に送ってるんや。暖も取れて吐息も見えへん。特殊部隊が雪中戦闘で使う手や。まさか、こんなところで見られると思えへんかったな!」
(へー、そんな手があるんだべな…。確かに、倉庫の中で吐息が凍った煙を見られたら一発で場所を特定されてしまうもんな。シュノーケルなんか持ってない私らはどうしたらいいんだべか?)と零が思っていると「飛燕」が「ヘイヘ」からアドバイスをもらい「零ちゃん、売店で「PINOアイス」買っておいで。」と伝えてきた。(へ?PINO?あのチョココーティングしたアイスの事?飛燕のおっちゃん、食べたいの?)、「いや、「ヘイヘ」はんが、このゲームは一方的に「元公務員チーム」が勝って早よ終わるから、とにかく買っておいでって言うてくれてんねん!」、(ふーん、なんかよう解らんけど、買ってきといたらええねんな。分かったわ。)

 零が売店で指定された「PINOアイス」を買って戻ると、開始5分にもかかわらず、第1ゲームは終わっていた。
「えっ、もう終わったんですか?まだ、五分ですよ!」
と零がモニターを見て言うと、疾風が
「速攻で6キルや!まあ、相手チームは電動ガン使ってて、弾が飛べへんとみると、ライフルを両手でのハンドガンに持ち替えて、ツーマンセルで4発!ほぼ命中で瞬殺やった!
 このチームと当たらんで命拾いやったわ。」
と青い顔をして零に答えた。

 「さぁ、前倒しで5分後に俺らの出番やぞ!電熱服のスイッチ入れて、冷蔵の控室に行くで!気合い入れろよ!」
と屠龍がみんなに檄をかけた。肉屋の屋号の入ったウエアで6人は待機場所に移動した。零も買ってきた「PINOアイス」をポケットに入れて、みんなに続いた。「飛燕」と「ヘイヘ」もついてきている。


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