8 / 21
突撃!門工サバゲー部2!
2-8「逃亡計画」
しおりを挟む
「逃亡計画」
翌日は朝5時に起床のコールが流れた。兵舎の表からは、多種多様なエンジン音が響きだした。明らかに戦車のものとわかる大型ディーゼルエンジンから、小型の軽車両まで排気音がこだまする。6人ともベッドから這い出てきた。(あぁ、やっぱり夢じゃなく、ウクライナにいるんだべな…はぁ…。)零は憂鬱な気分が戻ってきた。
「コンコンコン」とドアがノックされた。隼がドアを開けると
「ドーブラエウートラ(※ロシア語で「おはようございます」の意)!ミナサンヨクネラレマシタカ?チョウショクガスンダラ「ヘイキ」ノシヨウホウホウヲコウシュウシマス。ジェラーユウダーチ(※ロシア語で「がんばって」の意)!」
と昨日同様冷たい目をしたモロゾフ大尉と黒パンと瓶牛乳を持った二人の兵士が立っていた。
隼は「スパシーバ」と答えるとパンと牛乳瓶を受け取った。
「コウシュウハハチジカラデス。マタキマス。」
と言い残し、モロゾフ大尉は踵を返した。
「あーあ、講習だとよ。ご丁寧にありがたいことやな。」
ぶっきらぼうに言いながら、屠龍はパンを口に運んだ。ぱさぱさとした触感が口の中に広がった。
「あー、学食の焼きそばパンが懐かしいなー!「焼きそばパンしかないんかいな―!」って学食のおばちゃんに文句言ってたの、過去にさかのぼって取り消したいな…。」
疾風もパンを口に放り込んだ。
(確かにおいしくない…。でも、食べられる間に食べておかないと…。)零は、牛乳でパンを流し込んだ。
午前8時ピッタリに、モロゾフ大尉が呼びに来た。
「ミナサンハ「ヤーパン」ヲダイヒョウスルヘイシデスカラ、キソハハブイテアサルトトRPGトシュリュウダンノツカイカタダケセツメイシマス。シツモンハアトデマトメテウケマス。」
と言い、体育館のような大きめの建物に連れて行かれた。6人掛けのテーブルがいくつか並び、他国からの傭兵、ロシア本国からの新人兵らしき約30名がスクリーンに映し出される映像とテーブルに置かれた実機を元に安全装置の外し方、照準のつけ方、弾の込め方、使用上の注意点が説明された。傭兵チームのテーブルには、各々通訳が付いていた。
門工サバゲー部のテーブルには、モロゾフ大尉がつきそっていたため、余計な発言や相談事は一切できなかった。
約2時間で講習は終わり、旧式アサルトライフルの6組のAK-47が6組と3組のRPG-7が手渡された。
モロゾフ大尉から
「11ジニチュウショクヲトッタラゼンセンニイキマスヨ。ワタシハドウコウデキマセンノデ「シュン・ナカジマ」をブンタイチョウケンツウヤクトシテ「ゴチョウ(伍長)」ニニンメイシマス。ショウタイチョウ、チュウタイトウノイウコトヲシッカリトキクヨウニ。デハ300キル、ジェラーユウダーチ!」
と言われ、一度兵舎に戻った。
前線までは中隊規模で移動した。門工サバゲー部は、中型トラックでロシアの民間軍事会社ワグネルの6人と同乗だった。
「こいつらが、たぶん俺たちの「お目付け役」や。非公式の兵やけど、実績は積みまくってるやつらやから気は許すなよ。俺がロシア語わかってるのを知らん見たいやから、好き勝手言いよる。彗星と零ちゃんは絶対俺らから離れんなよ。」
隼が小声でみんなに伝えた。最後の言葉に彗星が異常に反応した。
「私と零ちゃん、犯されちゃうってこと?」
不意の彗星の一言で零にも緊張が伝播した。(えっ、味方の兵隊じゃないんだべか?そんなことがあり得るずらか?)と零が不安な顔をすると屠龍が
「零ちゃん、心配すんな。どんなことがあっても俺が守ったるからな。」
と言ってくれたが、その笑顔は引きつっていた。紫電は彗星の肩を抱いてやっている。
前線に着くと先任の中尉が前線視察の指示を隼に出した。双眼鏡とスマホを渡された。
「はー、これが噂の軍用スマホという名のチャイナ製汎用スマホちゅう奴やな。マップと無線はこれを使えとさ。」
隼があきれながら、スマホの使用方法を確認した。ロシア語が並ぶアイコンは隼にしかわからないので、皆は周辺の装備を確認した。
待機所の規模からすると3個中隊。T-72は4両、装甲車両は8両、軽装甲車両は8両。約100人ほどの集まりのようだ。
その中の1台に隼は注目した。他の車両にない長いアンテナが複数出た8輪装甲車両だった。隼は紫電にその車両を目立たないように指で指し示すと紫電は小さく頷いた。
ロシア人少尉の小隊長とワグネルの6人に引きつれられ、13人の小隊でGAZ-2330の派生モデルで2ドアのピックアップトラック型のGAZ-233002の荷台に乗せられた。
運転席にはワグネルの兵隊、助手席にはロシア軍将校が乗り込み、前線基地を出発した。半分廃墟と化したマリウポリの街をピックアップトラックは走った。時折、上空を爆撃機型のスホーイ34が飛んでいくのが見えた。
破壊されたビルと未回収の民間人の死体。無残にさらされているウクライナ兵と思われる軍人の遺体がいやがおうにも視界に入ってくる。硝煙と腐臭の混じった空気に零は胸が悪くなった。(本物の戦場ってこんなに悲惨なんだべ。テレビでは伝わらない悲惨さがここにはあるずらよ…。私たちも、こうなってしまうんだべか…。)彗星は真っ青な顔をして、荷台外に嘔吐した。
約5キロほど走っただろうか、町のはずれにある中規模の工場に着いた。先に3台のT-72が停まっていた。この工場手前までウクライナ軍が迫ってきているとの情報があるとのことだった。小隊長の指示で、門工サバゲー部チームが、斥候に出された。
6人がGAZを降りて、工場の建屋に沿って500メートルほど進んだときに、頭上に前方から近づいてくる飛翔音が数発響いた。
「ウクライナ軍の155ミリや!伏せろ!」
疾風の声に5人がその場に伏せた。疾風は、零の上に覆い被さった。
「キャー、死にたくないけろー!」
「零ちゃん、大丈夫や!音は通過した。」
と頭の後ろで疾風の声が聞こえたかと思うと、つい今しがた来た方向から6回の破裂音と巨大な爆発音が響いた。ディーゼルエンジン音が聞こえたかと思うとその音源は離れていった。隼が無線代わりのスマホを鳴らすが何の反応もない。続いて、頭上を数基のドローンが飛んで行った。
「ウクライナ軍の攻撃なら、この工場を狙うことはあれへん。今のドローンが偵察と弾着確認用なら飛び去れば、ここにある軍装排除の画像が言ってるやろう!さっきのディーゼル音はGAZのもんや。ドローンも元の中隊基地の方に飛んで行ったみたいや。
155ミリやったら、元の基地にもすぐに砲撃が向くはずや。それを確認したら、すぐにさっきの駐車場に戻るで!」
疾風が、冷静に分析して皆に声をかけた。確かに、6発の破裂音の後、飛翔音も爆発音もない。ただ、火薬と油の匂いが周辺に漂っている。
「疾風部長、ちょっとのいてもらえませんか?」
零がやっとのことで声を出した。
「あぁ、すまんすまん。零ちゃん、大丈夫やったか?」
翌日は朝5時に起床のコールが流れた。兵舎の表からは、多種多様なエンジン音が響きだした。明らかに戦車のものとわかる大型ディーゼルエンジンから、小型の軽車両まで排気音がこだまする。6人ともベッドから這い出てきた。(あぁ、やっぱり夢じゃなく、ウクライナにいるんだべな…はぁ…。)零は憂鬱な気分が戻ってきた。
「コンコンコン」とドアがノックされた。隼がドアを開けると
「ドーブラエウートラ(※ロシア語で「おはようございます」の意)!ミナサンヨクネラレマシタカ?チョウショクガスンダラ「ヘイキ」ノシヨウホウホウヲコウシュウシマス。ジェラーユウダーチ(※ロシア語で「がんばって」の意)!」
と昨日同様冷たい目をしたモロゾフ大尉と黒パンと瓶牛乳を持った二人の兵士が立っていた。
隼は「スパシーバ」と答えるとパンと牛乳瓶を受け取った。
「コウシュウハハチジカラデス。マタキマス。」
と言い残し、モロゾフ大尉は踵を返した。
「あーあ、講習だとよ。ご丁寧にありがたいことやな。」
ぶっきらぼうに言いながら、屠龍はパンを口に運んだ。ぱさぱさとした触感が口の中に広がった。
「あー、学食の焼きそばパンが懐かしいなー!「焼きそばパンしかないんかいな―!」って学食のおばちゃんに文句言ってたの、過去にさかのぼって取り消したいな…。」
疾風もパンを口に放り込んだ。
(確かにおいしくない…。でも、食べられる間に食べておかないと…。)零は、牛乳でパンを流し込んだ。
午前8時ピッタリに、モロゾフ大尉が呼びに来た。
「ミナサンハ「ヤーパン」ヲダイヒョウスルヘイシデスカラ、キソハハブイテアサルトトRPGトシュリュウダンノツカイカタダケセツメイシマス。シツモンハアトデマトメテウケマス。」
と言い、体育館のような大きめの建物に連れて行かれた。6人掛けのテーブルがいくつか並び、他国からの傭兵、ロシア本国からの新人兵らしき約30名がスクリーンに映し出される映像とテーブルに置かれた実機を元に安全装置の外し方、照準のつけ方、弾の込め方、使用上の注意点が説明された。傭兵チームのテーブルには、各々通訳が付いていた。
門工サバゲー部のテーブルには、モロゾフ大尉がつきそっていたため、余計な発言や相談事は一切できなかった。
約2時間で講習は終わり、旧式アサルトライフルの6組のAK-47が6組と3組のRPG-7が手渡された。
モロゾフ大尉から
「11ジニチュウショクヲトッタラゼンセンニイキマスヨ。ワタシハドウコウデキマセンノデ「シュン・ナカジマ」をブンタイチョウケンツウヤクトシテ「ゴチョウ(伍長)」ニニンメイシマス。ショウタイチョウ、チュウタイトウノイウコトヲシッカリトキクヨウニ。デハ300キル、ジェラーユウダーチ!」
と言われ、一度兵舎に戻った。
前線までは中隊規模で移動した。門工サバゲー部は、中型トラックでロシアの民間軍事会社ワグネルの6人と同乗だった。
「こいつらが、たぶん俺たちの「お目付け役」や。非公式の兵やけど、実績は積みまくってるやつらやから気は許すなよ。俺がロシア語わかってるのを知らん見たいやから、好き勝手言いよる。彗星と零ちゃんは絶対俺らから離れんなよ。」
隼が小声でみんなに伝えた。最後の言葉に彗星が異常に反応した。
「私と零ちゃん、犯されちゃうってこと?」
不意の彗星の一言で零にも緊張が伝播した。(えっ、味方の兵隊じゃないんだべか?そんなことがあり得るずらか?)と零が不安な顔をすると屠龍が
「零ちゃん、心配すんな。どんなことがあっても俺が守ったるからな。」
と言ってくれたが、その笑顔は引きつっていた。紫電は彗星の肩を抱いてやっている。
前線に着くと先任の中尉が前線視察の指示を隼に出した。双眼鏡とスマホを渡された。
「はー、これが噂の軍用スマホという名のチャイナ製汎用スマホちゅう奴やな。マップと無線はこれを使えとさ。」
隼があきれながら、スマホの使用方法を確認した。ロシア語が並ぶアイコンは隼にしかわからないので、皆は周辺の装備を確認した。
待機所の規模からすると3個中隊。T-72は4両、装甲車両は8両、軽装甲車両は8両。約100人ほどの集まりのようだ。
その中の1台に隼は注目した。他の車両にない長いアンテナが複数出た8輪装甲車両だった。隼は紫電にその車両を目立たないように指で指し示すと紫電は小さく頷いた。
ロシア人少尉の小隊長とワグネルの6人に引きつれられ、13人の小隊でGAZ-2330の派生モデルで2ドアのピックアップトラック型のGAZ-233002の荷台に乗せられた。
運転席にはワグネルの兵隊、助手席にはロシア軍将校が乗り込み、前線基地を出発した。半分廃墟と化したマリウポリの街をピックアップトラックは走った。時折、上空を爆撃機型のスホーイ34が飛んでいくのが見えた。
破壊されたビルと未回収の民間人の死体。無残にさらされているウクライナ兵と思われる軍人の遺体がいやがおうにも視界に入ってくる。硝煙と腐臭の混じった空気に零は胸が悪くなった。(本物の戦場ってこんなに悲惨なんだべ。テレビでは伝わらない悲惨さがここにはあるずらよ…。私たちも、こうなってしまうんだべか…。)彗星は真っ青な顔をして、荷台外に嘔吐した。
約5キロほど走っただろうか、町のはずれにある中規模の工場に着いた。先に3台のT-72が停まっていた。この工場手前までウクライナ軍が迫ってきているとの情報があるとのことだった。小隊長の指示で、門工サバゲー部チームが、斥候に出された。
6人がGAZを降りて、工場の建屋に沿って500メートルほど進んだときに、頭上に前方から近づいてくる飛翔音が数発響いた。
「ウクライナ軍の155ミリや!伏せろ!」
疾風の声に5人がその場に伏せた。疾風は、零の上に覆い被さった。
「キャー、死にたくないけろー!」
「零ちゃん、大丈夫や!音は通過した。」
と頭の後ろで疾風の声が聞こえたかと思うと、つい今しがた来た方向から6回の破裂音と巨大な爆発音が響いた。ディーゼルエンジン音が聞こえたかと思うとその音源は離れていった。隼が無線代わりのスマホを鳴らすが何の反応もない。続いて、頭上を数基のドローンが飛んで行った。
「ウクライナ軍の攻撃なら、この工場を狙うことはあれへん。今のドローンが偵察と弾着確認用なら飛び去れば、ここにある軍装排除の画像が言ってるやろう!さっきのディーゼル音はGAZのもんや。ドローンも元の中隊基地の方に飛んで行ったみたいや。
155ミリやったら、元の基地にもすぐに砲撃が向くはずや。それを確認したら、すぐにさっきの駐車場に戻るで!」
疾風が、冷静に分析して皆に声をかけた。確かに、6発の破裂音の後、飛翔音も爆発音もない。ただ、火薬と油の匂いが周辺に漂っている。
「疾風部長、ちょっとのいてもらえませんか?」
零がやっとのことで声を出した。
「あぁ、すまんすまん。零ちゃん、大丈夫やったか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
突撃!門工サバゲー部!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語 第1章「国内大会編」~
たぬ吉R&D&P
現代文学
門真工科高校に進学した、青森出身でイタコの娘「三菱零(みつびし・れい)」が入部したのは「中島疾風」、「川崎屠龍」、「中島隼」、「川西紫電」、「愛知彗星」の「サバゲー部」だった。
「腹筋マニア」の零と5人の先輩で挑んだ「第1回全国全国サバゲーチーム最強決定戦」にエントリーした「門工サバゲー部」の6人は、気が付くと、「ウクライナ、ドネツク州マリウポリ」に連れてこられていた。
ロシア軍将校から「傭兵契約したお前らはチームで300キルを達成するまで自由はない!」と言われる。
イタコ体質の「零」と異能戦士の5人が協力して、マリウポリ脱出を図る。
果たして、強力なロシア軍の包囲を抜け出し、6人の高校生サバゲーマーは帰国することができるのか?
世界平和を心から祈る「たぬ吉R&D」が描く、渾身のサバイバルバトル小説の第1章「国内大会編」!
ゆる~くお読みください!!
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる