突撃!門工サバゲー部!~ウクライナを救った6人のミリオタの物語 第2章「ウクライナ戦場編」~

たぬ吉R&D&P

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突撃!門工サバゲー部2!

2-9「R-149MA1」

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「R-149MA1」
 6人が工場入り口の駐車スペースに戻ると3台あったはずのT-72は、すべて燃えていた。一台は砲塔が吹き飛んでいた。自分たちの乗ってきたGAZの姿は無い。
「あー、あいつら、俺らの事、放り出して逃げやがったな。ロシア軍はすぐ逃げるって噂通りやのう。」
 砲撃に巻き込まれたのであろう、ワグネルの兵士2名の息は絶えていた。戦車兵は後形も残っていない。
 零と彗星は、2人の遺体の腕を胸の前で組ますと、上着を顔の上にかけてやり、手を合わせた。

 紫電と隼があたりを捜索している。工場の物置から、声が掛かった。
「おい、バイクがあるで!見たこと無い型やけど使えるんやろか?」
疾風に続いて4人が物置に走った。
 物置に入ると大きなバルーンタイヤで超ショートホイールベースのバイクが2台置いてあった。日本のバイクで言うとスズキの「バンバン」かヤマハの「TW200」に近いがそれ以上に大きなタイヤになっている。

 「おおーっ、「Taurus2」や!ロシア製の軍用バイクやで!バルーンタイヤで2輪駆動!階段でも平気で上って、車重は50キロ!ホンダのモンキーより軽いんやで!すっげー!」
と疾風が歓声を上げた。
「えっ、このオートバイ動くん?これで、みんなで逃げられるん?」
彗星が疾風に尋ねた。
 疾風はガソリンタンクを確認した。
「うーん、このタンク容量では100キロも走れへんわな。もともと長距離走るためのバイクとちゃうし、ガソリンも空や。これで、ロシア軍の影響下地域を抜けるのは無理やろうな…。」
というと、彗星はがっかりし、その場でへたり込んだ。
「あぁ、さっきのロシアの兵隊さんみたいにこんなところで死ぬしかあれへんのか…。」
と泣き出してしまった。
 遠くで爆発音が響いた。その数は20回以上におよび、屠龍と隼が物置を飛び出て行った。方向的には、元居た中隊基地の方角で、大きな煙がいくつも立ち上っているのが見えた。第2射で再び上空に飛翔音が鳴り響いた。十数秒後、再び十数回の爆発音がこだまし、爆炎と爆煙が上った。

 「あぁ、おそらく中隊の居った場所やな。これは命拾いしたで!あそこに居ったらいちころや!これは、俺らに「運」があるってこっちゃ!みんな元気出せよ!」
隼が大きな声を出すと、まもなくドローンが戻ってきたので隼は屠龍と物陰に姿を隠した。工場上空で旋回することもなくドローンは北の空へ去っていった。
 紫電が、物置の中から「おーい、ジェリ缶見つけたぞ!中身はガソリンや!」と声が掛かった。
 
 疾風と紫電はTaurus2にガソリンを入れ、エンジンがかかることを確認した。タイヤの空気圧を0.9キロに設定し、またがってみた。疾風と隼の二人乗りと紫電で中隊基地を視察に行こうと思ったが、彗星が「ここに残るのは嫌」というので、仕方なく3人乗りで元居た基地を目指すことになった。
 疾風の後ろに零を屠龍とサンドイッチにして乗せ、紫電の後ろに彗星、隼がまたがった。キチキチではあるが、なんとか3人がタンクから後部キャリアの間に乗り込むことができた。紫電号の一番後ろで隼がナビゲーションをチェックしながら先行し、その後ろを疾風号が追走することになった。
 コンクリートの破片や鉄くずが転がる道路をバルーンタイヤは確実にグリップし、進んでいった。大きながれきを踏み、疾風達の乗るTaurus2が大きく跳ね、バランスを崩した。
「きゃーっ!屠龍副長、おっぱい揉まないでけろ!」
零が叫んだ。
「屠龍、おまえどさくさに紛れて何してけつかんねん!俺の零ちゃんのおっぱい触りやがったんか!」
疾風が怒って後ろを振り向いて屠龍に文句を言う。
「あー、部長前見て運転してけろー!戦車の残骸にぶつかるべー!」
零が叫んで、黒焦げになったT-72にわずか30センチの差でぎりぎりでかわすことができた。
「もう、おっぱいの件は後にして部長は前むいて運転してけろ!副長は、二度と胸ば触らないでけろー!」
零の叫びがマリウポリの廃墟の中にこだました。

 基地の手前300メートルの物陰でバイクを止め、疾風と紫電の二人乗りで斥候に出た。
「もし、銃声がしても出てくるなよ。紫電と使える車があれば奪うか、みんなを呼びに戻るから、それまで待っててくれ。」
と疾風は言い残すと、紫電と二人で中隊基地へ走って行った。

 戻るとメインの駐車スペースや弾薬置き場は完全に爆破され何も残ってなかった。ただ、カムフラージュネットがかけられた下には6輪トラックと2台の旧式炊飯車(フィールドキッチン)のKP-340が湯気を立てて停まっていた。その奥に4本のアンテナが高く伸びたBTR-80が停まっていた。さらに奥に155ミリ砲の難を逃れたT-72Bが停まっていた。
「おっ、紫電、RTR-80や!ラッキー!あいつらがいつ帰ってくるかわからんから動かせるかすぐチェックしてみてくれ。」
「いや、部長、これはもっとお宝ですよ!BTR-80やなくてR‐149MA1「コマンド・ポスト・キャリア」ですよ!」
「なんやそれ?聞いたことあれへんな?」
 聞き返した疾風を無視して、紫電はバイクを飛び降りるとすぐに乗り込みエンジンをかけた。セルモーター一発でV8水冷ディーゼルエンジンは目を覚ました。

 「疾風部長!いけます!ガスも満タンです。行動距離は600キロ!俺、そこの炊飯車の前のトラックからレーションとか積み直しておきますから、みんなを呼んできてください。」
「よっしゃ、マッハ2で呼んで来るわ!くれぐれも奴らが戻ってきたら無理すんなよ!」
疾風はTaurus2を元来た道に走らせた。
 




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