劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
22 / 127
第六章 お茶会で再開!?

22本目

しおりを挟む
 礼儀作法の方はクライフから何とかOKを貰ったのでわたしにはもう恐れる物は無くなった。

「ギリギリ及第点だからな……当日失敗したら絶対に許さん」

 世の中、赤点じゃ無ければいいんです。ドロシーお嬢様の顔を潰さない程度に事をこなせれば良いのです。

 ……そしてお茶会当日がやって来た。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 今頃はドロシーお嬢様の挨拶から始まり、各家が直接挨拶を始めている頃のはず……出番まではまだ時間が掛かるみたい。
 わたしは会場の控え室に待機していた。だって、さすがにお貴族様に交じって最初から最後までその場にいる度胸なんて無いもん。

 そばには会場の進行を指示するためにセルバンさんが部下である執事やメイドに指示を出している。

 一息ついたのかセルバンさんが話しかけてきた。

「アーリャさんの出番まではまだしばらく掛かりそうです。何か気付いた事がございましたら仰ってください」

「あ、あの……本日は、王族の方はいらっしゃっているのでしょうか?」

 これは肝心な事だ……これがわたしにとっての本題だからね。もしも今日、来ていないのならなんとか次の機会にもつなげないと。

「はい、お年の近い方がいらっしゃっていますが、さすがにお話しする事は難しいかと思います」

「いえいえ、そんなんじゃありません……ただ、緊張して来ちゃいまして」

 年の近い王族……このお屋敷に来ているのかな? ……わたしに気付いてくれるかなまーくん。
 話をするのは目的じゃ無い……ひと目でも良いから見てくれれば……わたしは祈るように両手を組むと、時間になるのを待ち続けた。


「そろそろですよ……食器やお茶の紹介も済んで一息付いた所なので、タイミングとしては頃合いかと思います」

「は、はい」

 うう、なんだか緊張してきた……大丈夫だよね。ただ、事前に用意してある言葉を喋るだけだし。
 それだけの割には散々と余計な練習をさせられた気がするけど……。

 わたしはセルバンさんに連れられて、控え室から繋がっているお茶会の会場へ続く扉の前まで進んで行った。
 そして扉を開けると……カーテンの目隠しがあって会場には見えない……会場から穏やかな会話が聞こえてきた。

「それでは予定通り、合図でお嬢様の隣まで歩いて行き、そこでお客様へのご挨拶をお願いします……王族の方はちょうど対面に座ってらっしゃいます」

 わたしが気にしていたのを覚えていたのか、そんな情報を沿えてくれた……まずい、ますます緊張して来ちゃった、どうしよう。

 そういえば演劇発表会の時もいつも緊張していたっけ?
 別にセリフも何も無い『木』の役なのに……あの時はどうやって乗り越えてきたっけ?
 そうだ、結局いつも「わたしは木……わたしは木」とか言ってなりきっていたんだっけ?

「わたしは木……わたしは木……」

「アーリャさん、どうしました?」

「いえ、何でも無いです!」

 いけない、変な子だと思われちゃったかも? でも不思議と緊張は解けていた……さすが長年続けてきたルーティーンだけあるよね。

「本日わたしが用意した食器は今流行の『アーリャブランド』木製食器を使っています」

 ちょっと、なんで冗談でお父さんに言ったブランド名が使われているの!? いやー!! こんな公衆の面前で偉い人達に発言しちゃったらもう取り返しが付かないよ!!

「……先日偶然にも恵まれてその商品をプロデュースしているアーリャさん本人と御縁がありまして……」

 落ち着いて、今はもっと大事な事があるんだから……よし、わたしはいつでも大丈夫だよ。

「……皆様にご紹介させて頂きます、アーリャさんいらしてください」

 わたしはゆっくりと歩き出す。急ぎすぎず、遅すぎず……歩き方一つから厳しい練習をさせられたのでさすがに間違えたりはしない。
 ドロシーお嬢様の手で示した位置まで辿り着くとフワリとお客さんのいる方へ身体ごと振り向いた。



 わたしの視線の先には……金髪の青い目をした少年が微笑んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...