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第七章 アーリャ十歳になりました
26本目
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美しいエメラルドグリーンの如く輝くブドウ……ブドウの女王と呼ばれる『マスカットオブアレキサンドリア』
エジプトのアレキサンドリア港から世界に広がったやらなんやらの一房3000円くらいする高級なブドウ。わたしも中学校の校外学習で、岡山県のブドウ農家で食べたっきりってくらいの果物だよ。
その時に何気なく触れた木がいま目の前にもの凄い数になって並んでいた……ブドウ農家の人達、ごめんなさい。でも異世界だからゆるしてね。
「やばい、なんか良い匂い……ますます腹減ってきた」
「くっ、これはドランを馬鹿に出来ないくらい僕も気になってしまいます」
「もう、仕方ないな……みんなで一房だよ」
マリナに一房とってもらい、軽く拭いた後にみんなでそれをつまんで手に取ってもらう。
「皮ごと食べられるからパクッといっていいよ……種も無いから」
「ブドウなのに種がないのですか?」
「これはちょっと特別だからね」
本来は種があるブドウなんだけど、ジョブの能力で強引に種なしに品種改良しているのでした。
これで種を使ってブドウを育てるなんて事は出来ないよ……まぁ、ブドウって種から育てるのはもの凄い難しいみたいだから、知識も無しにこの味のブドウを育てる事は不可能だと思うけどね。
それに土地も本来なら乾燥した場所で育つ果物だから、わたしみたいにジョブ能力で強引に育てたりできない限り無理だし。
「うまっ!! 凄い甘い!! もう一個!!」
すぐに二個目に取り掛かるドラン。
「甘い、丸い、大きい、うまい!!」
それは別の果物だよケニー。
「これは凄い……こんな粒の大きくてみずみずしいブドウなんて初めてだ」
「お嬢のやる事はいつも驚かされます……おいしい」
「うーん、やっぱり美味しい。幸せ~」
大成功だ……本当は一気にここまで育てる事も出来るんだけど、一応林業師としてのポーズもあるからこうやって時間を空けて来たわけだけど……身内にはもうバレてるのかも?
とりあえずこのブドウは美食ブームで大注目される事に間違いないよ……そして、隠し球はまだまだあるんだよ。
ブドウを食べ終えたわたし達は、ぶどう園の近くにある倉庫に向かった……倉庫には地下室があり、階段を降りていくとそこには沢山の樽が並んでいる。
「マリナ、おねがいね」
「わかりました……役得役得」
マリナは樽についている……蛇口下に木製グラスを持って行き、蛇口を捻ると透き通った薄黄緑色の液体が注ぎ込まれていった。
「マスカットオブアレキサンドリアを使ったワインだよ……マリナとオーレスさんで飲んでみて下さい」
グラスを受け取ったオーレスさんはその香りを嗅ぐと驚愕の表情でそれを見る。
「なんて甘い香りだ……こんなワイン初めてだよ」
「アルコール濃度が低いから成人したての私でもクイッと飲めます」
「いいなぁ~、ちょっとだけ飲んでも良いだろう?」
「駄目、子供には早いよ」
わたしはこっそり試したけどね……制作者として必要なのです。
「その子供がお酒を造るのもどうなんでしょうね?」
「ブドウを作る過程でたまたま出来ちゃっただけだもん」
嘘です……スキルを使って香りと甘みに拘った醸造で作られています。多めのWP を使うけど、何年も寝かしたワインなんかも作れちゃうよ。
「こんな物を作れるお嬢様なら確かに護衛は必要ですね……今回は尾行する馬車などは無かったとは言え油断は出来ません」
「一応、二人の領主様の後ろ盾があるので、そうそう手出しを出来ない筈なんですけど、念には念を入れてです」
これまで何人かの良からぬ事を考える貴族から接触もあったようだけど、ちょっとドロシーお嬢様とかにお話しするとあーら不思議、そんな人はいなくなります。
「悪い奴が来ても俺が倒す!! 悪くなくてもアーリャに近づく奴は倒す!!」
ちょっと、倒す相手は選んでよね。
「たとえアーリャが打たれようと切られようと、僕が完璧に治します」
ちょっと、痛いの嫌なので被害を受けない方向で頑張ってよね。
……でも早くわたしも自分の身は自分で守れるようにならなきゃ。
エジプトのアレキサンドリア港から世界に広がったやらなんやらの一房3000円くらいする高級なブドウ。わたしも中学校の校外学習で、岡山県のブドウ農家で食べたっきりってくらいの果物だよ。
その時に何気なく触れた木がいま目の前にもの凄い数になって並んでいた……ブドウ農家の人達、ごめんなさい。でも異世界だからゆるしてね。
「やばい、なんか良い匂い……ますます腹減ってきた」
「くっ、これはドランを馬鹿に出来ないくらい僕も気になってしまいます」
「もう、仕方ないな……みんなで一房だよ」
マリナに一房とってもらい、軽く拭いた後にみんなでそれをつまんで手に取ってもらう。
「皮ごと食べられるからパクッといっていいよ……種も無いから」
「ブドウなのに種がないのですか?」
「これはちょっと特別だからね」
本来は種があるブドウなんだけど、ジョブの能力で強引に種なしに品種改良しているのでした。
これで種を使ってブドウを育てるなんて事は出来ないよ……まぁ、ブドウって種から育てるのはもの凄い難しいみたいだから、知識も無しにこの味のブドウを育てる事は不可能だと思うけどね。
それに土地も本来なら乾燥した場所で育つ果物だから、わたしみたいにジョブ能力で強引に育てたりできない限り無理だし。
「うまっ!! 凄い甘い!! もう一個!!」
すぐに二個目に取り掛かるドラン。
「甘い、丸い、大きい、うまい!!」
それは別の果物だよケニー。
「これは凄い……こんな粒の大きくてみずみずしいブドウなんて初めてだ」
「お嬢のやる事はいつも驚かされます……おいしい」
「うーん、やっぱり美味しい。幸せ~」
大成功だ……本当は一気にここまで育てる事も出来るんだけど、一応林業師としてのポーズもあるからこうやって時間を空けて来たわけだけど……身内にはもうバレてるのかも?
とりあえずこのブドウは美食ブームで大注目される事に間違いないよ……そして、隠し球はまだまだあるんだよ。
ブドウを食べ終えたわたし達は、ぶどう園の近くにある倉庫に向かった……倉庫には地下室があり、階段を降りていくとそこには沢山の樽が並んでいる。
「マリナ、おねがいね」
「わかりました……役得役得」
マリナは樽についている……蛇口下に木製グラスを持って行き、蛇口を捻ると透き通った薄黄緑色の液体が注ぎ込まれていった。
「マスカットオブアレキサンドリアを使ったワインだよ……マリナとオーレスさんで飲んでみて下さい」
グラスを受け取ったオーレスさんはその香りを嗅ぐと驚愕の表情でそれを見る。
「なんて甘い香りだ……こんなワイン初めてだよ」
「アルコール濃度が低いから成人したての私でもクイッと飲めます」
「いいなぁ~、ちょっとだけ飲んでも良いだろう?」
「駄目、子供には早いよ」
わたしはこっそり試したけどね……制作者として必要なのです。
「その子供がお酒を造るのもどうなんでしょうね?」
「ブドウを作る過程でたまたま出来ちゃっただけだもん」
嘘です……スキルを使って香りと甘みに拘った醸造で作られています。多めのWP を使うけど、何年も寝かしたワインなんかも作れちゃうよ。
「こんな物を作れるお嬢様なら確かに護衛は必要ですね……今回は尾行する馬車などは無かったとは言え油断は出来ません」
「一応、二人の領主様の後ろ盾があるので、そうそう手出しを出来ない筈なんですけど、念には念を入れてです」
これまで何人かの良からぬ事を考える貴族から接触もあったようだけど、ちょっとドロシーお嬢様とかにお話しするとあーら不思議、そんな人はいなくなります。
「悪い奴が来ても俺が倒す!! 悪くなくてもアーリャに近づく奴は倒す!!」
ちょっと、倒す相手は選んでよね。
「たとえアーリャが打たれようと切られようと、僕が完璧に治します」
ちょっと、痛いの嫌なので被害を受けない方向で頑張ってよね。
……でも早くわたしも自分の身は自分で守れるようにならなきゃ。
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