劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
27 / 127
第七章 アーリャ十歳になりました

27本目

しおりを挟む
 この高級ブドウで貴族社会の美食ブームに殴り込むのも悪くは無いけれど、そのまま出すのも芸が無いよね?
 まぁ、ある程度の需要は見込めるからそれもやるけど、やはりここはスィーツでしょう?

 わたしが今見上げているのは砂糖楓と呼ばれる木だ。そう、いわゆるメープルシロップが作れる楓の木なの。この木の樹液から出るメープルウォーターを煮詰めると現代世界でもお馴染みのシロップが出来上がるのです。

 本来は砂糖楓から取れる量や、そもそも樹液が取れる季節シーズンなど色々な制約があるからこそシロップは高いんだけど、わたしの優秀チートジョブである『木』なら……目の前の楓の木に蛇口が生えてくると、そこからトローリと既にシロップ状態の樹液が落ちてくる……あっという間に沢山のシロップが手に入るんだよ!!

 それを木製の桶に溜まったそれをペロリとなめる……

「あまぁーーーーーいっっ!!」

 ……大・成・功!!

「狡いぞアーリャ、俺にも味見させろ!!」

「僕もアーリャの頑張りの成果を確認するのもやぶさかではありません」

 二人は甘いシロップに夢中で、もはや木に生えている蛇口にツッコミすら無いよ。お子様は仕方がないよね?

「これは甘いですね……病み付きになりそうです」

「あぁ……お嬢の専属になれて良かった……」

 ……大人でも甘い物が好きな人は好きだよね?


 他にも色々農園では育てているので、今回の目的に必要な物は揃ったはず……今わたしが目指しているのは王都で開催される『美食の祭典・甘味部門』だ。

 審査には王族が来るという話を入手している……もちろん今回も第二王子様まーくんが来てくれるか分からないけれど、王族に私の存在をアピールする事は出来ると思うんだよ。
 幸いにして心強い後ろ盾もあるから、生半可な貴族からの妨害も受ける可能性は低い……はず。

 もちろん今までも様々なイベントにチャレンジしていたけど、残念ながら殆ど空振りに終わっていたの……でも今度こそは行ける気がするよ。
 人目を気にせずやりたい放題の農園も上手く稼働出来るし、ここからがわたしの本領発揮だからね!!

 それじゃあ今日の所は必要な物を持ち帰る事にしましょう!


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 問題は、前世の私が特別にお料理が得意というわけでは無かった事……作り方とかは一応覚えてはいるけれど、それを上手く作れるかは別問題。
 うちのお店でも料理人を雇っているけど、貴族に振る舞う洗練された料理となると難しいと思う。
 でもそこはお偉い貴族様にコネがあるわたしなら問題は無い……持つべき物は偉いお友達だよ。

 ……と言う事で、今日はドロシーお嬢様がお料理の講師の方を寄越してくれるみたいなんだけど一体どんな人が来るんだろう?

 前世はともかく、この世界だと料理人はまず男性が多い……料理の世界は女性はキッチンに入るべからず!! なんて事は無いだろうけど……

「お嬢、来ましたよ」

「あ、うん、行くね」

 どんな人だろう? 出来れば優しくて穏やかな落ち着いた大人な人が良いな。


「なんだその不本意そうな顔は」

 目の前にいる執事服の男性の方こそが不機嫌そうな声を出す……数分前にわたしが願ったのと真逆の人来ちゃった!!

「い、いえ……なんで陰険執事が? チェンジお願いしますまさかドロシー様専属の方が来られるなんて

「なんだその建前だけど本音は違うような喋り方は?」

「気のせいでしてよオホホホホ」

 出会ったときには既に成人していて、わたしやドロシーお嬢様よりも年上の執事のクライフ。
 うちの従業員の間ではあの冷たい目がクールで格好いいと評判なのだが、最悪の出会いを経ているわたしにとってはただ冷たいだけの陰険執事だ。

 うう~いやだ、またクライフから厳しい指導を受けるのか……一応、マリナが一緒に習うという事で、少しは容赦してくれると良いな。
 クライフはシャイなので初対面の人の前だとあまり自分を出さない。

「それじゃクライフさん、キッチンへ案内します」

「……頼む」

 ほら、シャイだ……この感じを最初からわたしに出して欲しかったよ本当に。

「なにニヤニヤしてるんだ」

「いいえ、していません」

 あ、機嫌が悪くなった……まずいよ、虐められる予感。



 ……これは何としてでも早く理想のスィーツを完成させないと!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...