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第七章 アーリャ十歳になりました
28本目
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「お嬢、既にバターは常温になっています」
「うん、薄力粉、卵、バターよし、砂糖の代わりにメープルシロップで生地を作ります」
「……」
クライフは黙って見ている。この世界のおやつは砂糖をじゃんじゃん使った甘いだけのお菓子やクッキーはあるけれど、わたしがこれから作る物は多分無いはず。
まだあまり力仕事が得意では無いわたしは指示を出して、二人がその通りに作業を開始する……あ、一応わたしも小さい木製ボウルを使って作りはしているよ。
「ところで、なんでクライフさんが来たんですか? てっきりドロシー様のところの料理人の方が来るかと思ったんですけど?」
作業中、誰も何も喋らないのでわたしは何気なくクライフに質問してみる。
「なんだ? 俺が来たら問題があるのか?」
「はい……あ、いえ、じゃなくて、お嬢様専属の執事の方が来るとは思いませんよ」
「屋敷の料理人長がわざわざ来るわけにもいかないし、お前のやる事は極力秘密にしたいとお嬢様はお考えだ。
独立して余所へ行く可能性のある者は寄越したくないし、お前の存在を知られないようにしたい。
それに俺はお嬢様専属として何でもやれる必要がある……旅先で俺自身がお嬢様が口に出来るレベルの物を作れる必要があるからな」
そうなんだ……クライフは陰険執事だけどお嬢様の事となると真摯に真面目だよね。
「お嬢、色が白くなってふわっとしてきました」
「あ、それじゃあ混ぜてヘラでかき回して」
マリナは木べらでボウルの中身をかき混ぜ始める……結構力がいるみたい。わたしの方はまだまだだ。
一応、前世では友達と一緒に作ったんだけどな……わたしの出来は普通でちゃんと普通に美味しく出来ていた。
一緒に作ったなーちゃんのは凄く美味しかったなぁ……でも二人の作った物をたべたまーくんは、どちらも同じくらい美味しいっていってくれたっけ?
あぁ、思い出したらまた胸が苦しくなってきた。
「何ボーッとしているんだ、さっさと指示を出せ……粉っぽさは無くなってきたぞ、次はどうするんだ?」
「あぁ、えーと、板の上で引き延ばして……」
感傷に浸る時間すらも無いみたい……気持ちを切り替えなきゃ。
……こうしてわたし達の新しい……この世界ではだけど……スィーツ作りは着々と進んでいったのでした。
「凄いですお嬢……あれは美味しすぎました」
出来上がったスィーツの実食を終えると、紅茶を飲み終えたマリナが一番に声を上げる。
「まぁ、このレベルならお嬢様が口にするのに相応しいと言えるだろう」
クライフのこの褒め方は、これでも100点満点の褒め方らしい。
「レシピは教えましたけど美食の祭典では……」
「わかっている、あくまでシャリーナ家がこれを出すのは祭典の後だ……お嬢様は約束は絶対に守る」
よかった、わたしも作り方を再確認出来たし、貴族特有のルールの確認もクライフのお陰で出来たから一安心だよ。
「お嬢は商才だけでは無く料理の才能まであるなんて凄いですよ」
「いや、料理のアイデアがあるだけで料理が得意というわけじゃなからね」
「ふん、料理が上手いだけの料理人など、死ぬほど鍛錬すれば誰だってなれる……だが、誰もが美味いと褒め称えるようなオリジナル料理を考えられる人間にはなる事は出来ない」
自分は当たり前な事なら何でも出来る的な発言をするクライフ……あれ? でも……
「え? もしかしてそれって褒めてます?」
「はっ、調子に乗るな……当たり前の事実を述べたまでだ。
俺が作った分は持ち帰らせて貰うぞ……安心しろ、お嬢様だけにしか食べさはしない」
……ムスッとした顔で出来上がったスィーツを包みながら帰る準備を始める。ドロシー様は喜んでくれるかな?
ちなみにわたしの作ったスィーツの出来は前世よりも美味しく出来ていて満足でした……あ、でも高級素材のお陰なのかも? って事はわたしって成長してない?
その夜に家族に振る舞ったら大絶賛されたので、目標達成に近づけているという意味ではOKだよね!
「うん、薄力粉、卵、バターよし、砂糖の代わりにメープルシロップで生地を作ります」
「……」
クライフは黙って見ている。この世界のおやつは砂糖をじゃんじゃん使った甘いだけのお菓子やクッキーはあるけれど、わたしがこれから作る物は多分無いはず。
まだあまり力仕事が得意では無いわたしは指示を出して、二人がその通りに作業を開始する……あ、一応わたしも小さい木製ボウルを使って作りはしているよ。
「ところで、なんでクライフさんが来たんですか? てっきりドロシー様のところの料理人の方が来るかと思ったんですけど?」
作業中、誰も何も喋らないのでわたしは何気なくクライフに質問してみる。
「なんだ? 俺が来たら問題があるのか?」
「はい……あ、いえ、じゃなくて、お嬢様専属の執事の方が来るとは思いませんよ」
「屋敷の料理人長がわざわざ来るわけにもいかないし、お前のやる事は極力秘密にしたいとお嬢様はお考えだ。
独立して余所へ行く可能性のある者は寄越したくないし、お前の存在を知られないようにしたい。
それに俺はお嬢様専属として何でもやれる必要がある……旅先で俺自身がお嬢様が口に出来るレベルの物を作れる必要があるからな」
そうなんだ……クライフは陰険執事だけどお嬢様の事となると真摯に真面目だよね。
「お嬢、色が白くなってふわっとしてきました」
「あ、それじゃあ混ぜてヘラでかき回して」
マリナは木べらでボウルの中身をかき混ぜ始める……結構力がいるみたい。わたしの方はまだまだだ。
一応、前世では友達と一緒に作ったんだけどな……わたしの出来は普通でちゃんと普通に美味しく出来ていた。
一緒に作ったなーちゃんのは凄く美味しかったなぁ……でも二人の作った物をたべたまーくんは、どちらも同じくらい美味しいっていってくれたっけ?
あぁ、思い出したらまた胸が苦しくなってきた。
「何ボーッとしているんだ、さっさと指示を出せ……粉っぽさは無くなってきたぞ、次はどうするんだ?」
「あぁ、えーと、板の上で引き延ばして……」
感傷に浸る時間すらも無いみたい……気持ちを切り替えなきゃ。
……こうしてわたし達の新しい……この世界ではだけど……スィーツ作りは着々と進んでいったのでした。
「凄いですお嬢……あれは美味しすぎました」
出来上がったスィーツの実食を終えると、紅茶を飲み終えたマリナが一番に声を上げる。
「まぁ、このレベルならお嬢様が口にするのに相応しいと言えるだろう」
クライフのこの褒め方は、これでも100点満点の褒め方らしい。
「レシピは教えましたけど美食の祭典では……」
「わかっている、あくまでシャリーナ家がこれを出すのは祭典の後だ……お嬢様は約束は絶対に守る」
よかった、わたしも作り方を再確認出来たし、貴族特有のルールの確認もクライフのお陰で出来たから一安心だよ。
「お嬢は商才だけでは無く料理の才能まであるなんて凄いですよ」
「いや、料理のアイデアがあるだけで料理が得意というわけじゃなからね」
「ふん、料理が上手いだけの料理人など、死ぬほど鍛錬すれば誰だってなれる……だが、誰もが美味いと褒め称えるようなオリジナル料理を考えられる人間にはなる事は出来ない」
自分は当たり前な事なら何でも出来る的な発言をするクライフ……あれ? でも……
「え? もしかしてそれって褒めてます?」
「はっ、調子に乗るな……当たり前の事実を述べたまでだ。
俺が作った分は持ち帰らせて貰うぞ……安心しろ、お嬢様だけにしか食べさはしない」
……ムスッとした顔で出来上がったスィーツを包みながら帰る準備を始める。ドロシー様は喜んでくれるかな?
ちなみにわたしの作ったスィーツの出来は前世よりも美味しく出来ていて満足でした……あ、でも高級素材のお陰なのかも? って事はわたしって成長してない?
その夜に家族に振る舞ったら大絶賛されたので、目標達成に近づけているという意味ではOKだよね!
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