劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第八章 スィーツコンテスト

31本目

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「いいんですか? 今なら無かった事にしてあげますよ?」

「ガキが何を偉そうに……お前こそ貴族様に逆らったらどうなるか分かってるんだろうな?」

 リーダーっぽい恰幅の良いおじさんが脅しつけてくる。ちょっと怖いけどわたしは悪くないし、ここは引かないんだから。

「まずは1つ目、コンテスト開始の時にお話がありましたけど、限度はありますが平民が貴族に対して無礼を働いたという理由で平民が罰せられる事がありません……それは、身分で公平さが失われる事が無いよう事前に書面に残して貰っています」

「ああっ? 知らねぇよそんな事?」

「そんな事言っていたか?」

「難しい事言って俺達を騙そうって気だろう?」

 後ろの若い男達はあまり頭が良くないようだ……こんな人を雇っちゃう貴族って大丈夫なのかな? ……でもリーダーのおじさんは少し焦っているみたい。

「だからなんだ、このコンテストが終わった後でお前達を処罰する事だってできんだよ」

 それでも後に引けないのか強気の姿勢を保ったままで更に脅しつけてくる。

「2つ目ですが、あなたの雇い主の方が貴族なだけであって、あなたが貴族というわけではありませんよね? それともそうなんですか?」

「うっ……だが、俺は仕える家の為にここにいるんだ、勝利する為の行動を平民に妨げられるいわれは無い」

「貴族ではないのですね?」

「うるせえな、俺は平民だよ……だが、貴族様の家の料理人だ、平民に指図される言われなねぇ」

「あなたの行動は全てあなたを雇っている貴族の方の考えな訳ですね?
 そしてその上でコンテストのルールを破ろうとされているのですね?
 このコンテストは王家主催の物ですから、いくら貴族といえどもルール違反を犯せば咎められます。
 それは名誉を大きく傷つける事になるでしょう……その上でもう一度聞きますけど、本当にあなたの行動はあなたの家の……リージャル家の考えに一致する物なのですね?」

「ううっ」

「料理長……ガキがよくわからない事言ってるけど、痛い目見せてやれば良いんですよ」

「そうです、いつもみたいに力で黙らせてやりましょう」

 リーダーのおじさんは事の重大さに気付いたようだけど、若い男達は全く気付いていないようだ。

「3つ目ですが、あなた達のように後ろ盾に任せて言う事を聞かせるような真似は恥ずかしくてしたくは無かったのですが、そもそもわたしがこのコンテストに参加出来たのは侯爵家であるトルア家とシャリーナ家の二つの家から推薦されたからです。
 子爵家であるリージャル家の方が何を言われようとわたしの行動を妨げる事は出来ないかと思いますが?」

 領地を持っている侯爵家は子爵家よりも上の身分なのです。一応、貴族様と関わる事になってからある程度近辺の貴族様の事は調べておいたんだ……それがこんな事で役に立つとは思わなかったけど。

「で、デタラメだ!! お前みたいなガキの……しかも女の後ろ盾が侯爵様の訳が無い!!」

「お試しになりますか? 結果は今日中に出ると思いますけど?」

 面白いように狼狽するリーダーのおじさん。だけど後ろの若い男達は状況が分かっていないみたいで騒ぎ出した。

「何だか分からないが痛い目見せた方が良いようだな」

「ガキが調子に乗って、やっちまおうぜ!!」

「俺は女子供でも容赦しねぇぞ!!」

「おい、お前ら止めろ!!」

 あ、まずいかも? どんなに理詰めで相手を言い負かせても、考える事をしない人には効かないんだ。予想以上に後ろの三人は何も考えられないタイプの人達だった。

 三人がリーダーが止めるのを聞かずにこちらに向かって来る。

「お嬢!!」

 マリナがわたしに覆い被さってくる……人目があるから、林業師のジョブでは無いってバレるかも知れないし、あまり使いたくないけど、ギフトジョブの力を使うしか無いのかも?

「ぐげっ!!」

「あだ!!」

「あべでぃ!!」

 何かがぶつかる音がすると3人の男が地面に倒れ伏していた。わたしとマリナの前に割って入った黒い服の人が……クライフがそれを見下ろしていた。

「お前ら……お嬢様が支援している料理人の邪魔立てをするとは……覚悟はしているんだろうな?」



 ……不覚にもその登場を格好いいと思っちゃった。もちろんまーくんの方が何倍も格好良いけどね。
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