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第八章 スィーツコンテスト
32本目
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「な、何しやがるんだ!!」
「いきなり殴るなんて頭おかしいぞ」
「俺達にこんな事してどうなるか分かってるのか?」
倒れた三人は地面を這いながらリーダーのおじさんの後ろに隠れる。
「先程この女が言っていたとおり、侯爵家に仕える執事だ。後ろ盾が侯爵家だと分かった上での狼藉……覚悟しておけ」
冷たい目で威圧するクライフ……って、話聞いていたならもっと早く助けてよ。助けに来てくれて格好良いと思った事はこれで帳消しだよ!
すぐに衛兵がやって来て4人を取り押さえるとそのまま連れて行った。
後から聞いた事だけど、コンテストのオーブン使用の申請を忘れていて、立場の弱い参加者のを使おうとしていたんだって。
おまけに貴族の名前を出してやりたい放題の常習犯だって事が判明して、もの凄く厳しい罰を受ける事になったみたい。
「あの、助けてくれてありがとうございました」
「ふん、お嬢様が支援しているんだ……こんな下らない事で負けたら承知しないぞ」
「素直に応援せんか馬鹿孫!!」
ツンツンしているクライフの後ろからセルバンさんが現れてゴツンとその頭を叩いた。
「いてっ!! バカバカ叩くなよじいちゃん!!」
「お前の態度はいつになったら良くなるんだ……何事も無くて良かったです、アーリャさん、頑張って下さいね」
「ありがとうございます……マリナ、オーブンはどう?」
「はい、既に火をいれて温めています……時間もまだゆとりはあるので問題ないです」
ほっ、よかった……とにかく無事にお菓子作りが出来そうだよ。わたしはオーブンの準備が出来ると、準備していた生地を焼き始めるのでした。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「それでは15の鐘が鳴りました……いよいよです。参加者の方は順番に前へお願いします」
ちょっとしたトラブルはあったもののお菓子作りは無事に終了した。わたしの準備はOKだよ。
周りの参加者は緊張しているようで、みんなジッと会場を見ている。
「それではまずは一人目……シダッデさんです」
こうして運命……になるかもしれない……スィーツコンテストが始まった。
出されているお菓子を見た限りでは特に目たらしいものや、美味しそうな物が見当たらなかった……よし、これなら勝てるかな? 希望が見えてきたよ。
「それでは次の方は参加者唯一の女性であるアーリャさん」
いよいよわたしの番となった。手には作ったばかりのお菓子を台車に乗せて持っていく……スィーツのお皿の上にはプレートカバーが被せられていて、ギリギリまでその姿が見えないようになっている。
わたしは審査員の前に台車を押して行き、彼等の目の前でその蓋を開けた。
「こ、これは!?」
「なんて美しさだ!?」
ちょっと、そのセリフは食べてから言う物でしょう? 姿を現したお菓子の姿は、茶色いクッキー生地のお皿にのった美しく光るエメラルドグリーンに光るブドウが盛り合わさっているスィーツ……マスカットタルトだ。
今までフルーツを使ったスィーツ自体はあったのだけど、砂糖でゴテゴテにデコレーションされたせいか、見た目が輝いているような物は無かったけ……でも、わたしの作ったタルトは表面に塗られたゼラチンのお陰で鮮やかな艶が出ている。
「なんと、まるで宝石箱のようなお菓子が出てきたぞ!? これはブドウか!? 今までこのような大きく美しい色のブドウなど見た事が無いですよ!!」
良い感じに司会の男性が驚きの解説をしてくれている。会場の人達もひときわ驚いている様子が見える。
「しかし、見た目が美しくとも味まではどうなのか? それでは審査員の方々……試食をお願いします」
10人の審査員に切り分けられたタルトを、審査員の人達はフォークを刺して口に運んでいく……美味しいって分かっていても緊張の瞬間だよ。
「いきなり殴るなんて頭おかしいぞ」
「俺達にこんな事してどうなるか分かってるのか?」
倒れた三人は地面を這いながらリーダーのおじさんの後ろに隠れる。
「先程この女が言っていたとおり、侯爵家に仕える執事だ。後ろ盾が侯爵家だと分かった上での狼藉……覚悟しておけ」
冷たい目で威圧するクライフ……って、話聞いていたならもっと早く助けてよ。助けに来てくれて格好良いと思った事はこれで帳消しだよ!
すぐに衛兵がやって来て4人を取り押さえるとそのまま連れて行った。
後から聞いた事だけど、コンテストのオーブン使用の申請を忘れていて、立場の弱い参加者のを使おうとしていたんだって。
おまけに貴族の名前を出してやりたい放題の常習犯だって事が判明して、もの凄く厳しい罰を受ける事になったみたい。
「あの、助けてくれてありがとうございました」
「ふん、お嬢様が支援しているんだ……こんな下らない事で負けたら承知しないぞ」
「素直に応援せんか馬鹿孫!!」
ツンツンしているクライフの後ろからセルバンさんが現れてゴツンとその頭を叩いた。
「いてっ!! バカバカ叩くなよじいちゃん!!」
「お前の態度はいつになったら良くなるんだ……何事も無くて良かったです、アーリャさん、頑張って下さいね」
「ありがとうございます……マリナ、オーブンはどう?」
「はい、既に火をいれて温めています……時間もまだゆとりはあるので問題ないです」
ほっ、よかった……とにかく無事にお菓子作りが出来そうだよ。わたしはオーブンの準備が出来ると、準備していた生地を焼き始めるのでした。
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「それでは15の鐘が鳴りました……いよいよです。参加者の方は順番に前へお願いします」
ちょっとしたトラブルはあったもののお菓子作りは無事に終了した。わたしの準備はOKだよ。
周りの参加者は緊張しているようで、みんなジッと会場を見ている。
「それではまずは一人目……シダッデさんです」
こうして運命……になるかもしれない……スィーツコンテストが始まった。
出されているお菓子を見た限りでは特に目たらしいものや、美味しそうな物が見当たらなかった……よし、これなら勝てるかな? 希望が見えてきたよ。
「それでは次の方は参加者唯一の女性であるアーリャさん」
いよいよわたしの番となった。手には作ったばかりのお菓子を台車に乗せて持っていく……スィーツのお皿の上にはプレートカバーが被せられていて、ギリギリまでその姿が見えないようになっている。
わたしは審査員の前に台車を押して行き、彼等の目の前でその蓋を開けた。
「こ、これは!?」
「なんて美しさだ!?」
ちょっと、そのセリフは食べてから言う物でしょう? 姿を現したお菓子の姿は、茶色いクッキー生地のお皿にのった美しく光るエメラルドグリーンに光るブドウが盛り合わさっているスィーツ……マスカットタルトだ。
今までフルーツを使ったスィーツ自体はあったのだけど、砂糖でゴテゴテにデコレーションされたせいか、見た目が輝いているような物は無かったけ……でも、わたしの作ったタルトは表面に塗られたゼラチンのお陰で鮮やかな艶が出ている。
「なんと、まるで宝石箱のようなお菓子が出てきたぞ!? これはブドウか!? 今までこのような大きく美しい色のブドウなど見た事が無いですよ!!」
良い感じに司会の男性が驚きの解説をしてくれている。会場の人達もひときわ驚いている様子が見える。
「しかし、見た目が美しくとも味まではどうなのか? それでは審査員の方々……試食をお願いします」
10人の審査員に切り分けられたタルトを、審査員の人達はフォークを刺して口に運んでいく……美味しいって分かっていても緊張の瞬間だよ。
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