劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
34 / 127
第八章 スィーツコンテスト

34本目

しおりを挟む
「やあ、ベイビーがあの天にも昇ような美味の極みとも言えるスィーツを作ったお菓子職人かい?」

 王宮からの使いという人の後に続いて、初めてのお城に入り案内された部屋にいたのは、金髪の豪華な服を身に纏った王子様だった……残念 (失礼)

 あ、マリナは別室で待機しているからこの場にいるのはわたしだけだよ。他には兵士の人とお付きの執事が側に控えている。

「わたしはお菓子職人ではありませんが、マスカットタルトを考案した者です」

「おおっ、本業じゃ無いのにあれほどのスィーツを作り出せるなんて……ベイビーはなんて才能豊かな人間なんだ」

 片目に掛かりそうな長い前髪をふぁさっとかき上げながら優雅に関心の声を上げている……なんだか話し方が前世で見ていたアニメ『ミニまるかちゃん』の華々輪くんを思い出して吹き出しそうになっちゃう。

「おや、何か気になる事でもあったかい? マイブラザーもたまにそんな顔をするな」

「!?」

 マイブラザーって第二王子様まーくんって事!? まーくんもやっぱり華々輪くん喋りにクスりとしたって事!? 待つんだよわたし! 第一王子様を目の前に他の男性の事をガツガツ聞きに行くのは駄目だってさすがに分かるよ。まずは手堅く情報収集だよ。

「いえ、ご兄弟で仲が宜しいのですね……わたしもそうですから微笑ましく感じてしまいました」

「ああ、そう言う事か。確かにマイブラザーもマイシスターも仲はいいね。母親が違おうと、そんな事はボクらには関係ないさ」

 兄弟仲は悪くない……良い悪いで言えば良い事に越した事は無いよね? これならお兄さんと仲良くなって、自然な流れで弟さんともっていけるかも? え、なんですか? 打算的で何が悪いの?

「そうなんですね、本日のコンテストにはご兄弟の方もご一緒に見物されたのですか?」

「残念ながら僕だけの参加になってしまった。隣国から招いた講師のお稽古があってね……外せなかったんだ」

 そっか……また、すれ違っちゃった。ううん、めげたら駄目だよ、この機会を次につなげなきゃ。

「そうですか、わたしの用意したスィーツを是非とも食べて頂きたいです」

「そこは抜かりないよ。さすがに優勝者のスィーツだからね、僕のファミリー全員の分は取り分けて貰っているから」

 それはよかった~。
 あわよくばまーくんがタルトを見て自分以外に転生した人の存在に気付いてくれれば!! もしかしたらまーくんの方から会いに来てくれるかも!?

「おっと、もうこんな時間か……楽しい時間はあっという間だね。今日は話が聞けて良かったよ……またベイビーとは会える気がするよ」

「ありがとうございます、その時を楽しみにしています」

 でも、出来れば弟さんの方と会いたいです。次は是非ともご兄弟揃ってお願いします。


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


「お嬢、大成功でしたね……あの後もタルトについての問い合わせもたくさん来ましたね」

「一応、商売の為って名目でコンテストに参加したし、目的は半分くらい果たせたかな?」

「え? 半分ですか? お嬢はいつも高い目標を持っていますね」

 何だか凄い目標意識の高い人間に見られていそうだけど、大好きな男の子と会うためだなんて言えないよね。

「庶民向けにはこの地で収穫出来るフルーツを使ったタルトを、上流階級の人達にはアーリャ農園で収穫した高級フルーツのタルトを展開していく予定だしね……今回の大会で何人かのお菓子職人さんもスカウト出来たし」

 大会に参加している人は既に大手のお店に所属している人達だったから無理だろうけど、会場で屋台を出している人達の中で何人か良い感じの人達をお誘いしておいたのです。

「しかしお嬢もだんだん商売が手広くなってきましたね」

「うん、あんまり手を広げすぎると手に負えなくなるから、人材の確保も大事だよ」

「私は難しい事は分からないですけど、自分にできる限りでお嬢を手助けします」

「うん、ありがとうマリナ」



 こうして今日もわたしは、まーくんに再開する為の道を確実に一歩進んだのでした……進んだよね?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...