劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
36 / 127
第九章 仕切り直し

36本目

しおりを挟む
 農園に入ったわたしはさっそくお菓子職人さん達がいる建物に入っていった。ここではわたしが作る素材に関しては使い放題で、いかにお菓子を美味しく作るかを試行錯誤して貰っている施設なの。
 一般的なお菓子職人さん達は通常のお仕事の合間に自分オリジナルのお菓子を作る訳だけど使える材料や時間などに制限がある。

 でもここではわたしが出資者スポンサーとなって日夜美味しいスィーツを作るだけに集中出来る環境を作っているのだ。

 お給料も食事も出るし、もちろん根を詰めないように休日も入れている。あ、この世界で休日がある仕事なんて殆ど無いんだって。前世から考えるとあり得ないよね?

「こんにちわビーンさん、良い感じのは出来ましたか?」

「あ、これはお嬢様!? この素材は凄いです!! 言われたとおりに作った物も十分美味しいのですが、配合や時間を変えるとまた味が違って奥深い……こんなとんでもなく極上の素材を贅沢に使って試行錯誤出来るなんて、ここは最高の職場ですよ!!」

 コンテストで出会ったビーンさんはコンテストに出るために無断欠勤しちゃったみたい。そもそも仲の悪い料理人に啖呵を切って出てきちゃったせいで、プライドもあって職場に戻り辛くて、わたしのスカウトに喜んで応じてくれたのだ。
 あ、元の職場にはちゃんと退職を願い出たみたいなので悪い事は無いよ?

 さすがに雇い主となったわたしには出会った頃と違って丁寧な口調で接してくれるようになった。他の人の目もあるのでそのままにしてもらっているの。

「お菓子を馬鹿にする元同僚さんを見返すために頑張りましょうね」

「はい、もちろんですお嬢様、それではさっそく試食をお願いします。まず甘いヤツから……この5つが特に良い出来だと思います」

 ビーンさんが5つの白い小皿を出してくると、その上にはいくつかの焦げ茶色の何かが載っかっていた。

 そう、甘いお菓子と言えばまずナンバーワンに上がる『チョコレート』 (異論は認めます)
 お菓子職人も夢中にさせるその素材のポテンシャルは計り知れないのです!!

「それじゃあ、さっそく試してみますね」

 わたしはそのうち一つを口に入れると……スッととろける甘さに僅かな苦み。しつこくない甘さはついついふたつ目みっつ目を口に入れてしまいそうなほどの魔力を感じちゃう。

「美味しいですね、わたしが教えたものよりずっと美味しくなっています。さすが本物のお菓子職人さんですね」

「ありがとうございます、ですが、これだけの環境を与えられて結果を出せない筈がありませんよ」

 謙遜するビーンさ。でも、実際にわたしなんて何回も作り方を変えて美味しくするなんて無理だよ。
 わたしは素材を用意するのが精一杯なので今後もよろしくお願いしますね。

 カカオの樹は本来は熱い所で育つ植物で、実を付ける確率がとても低いから、沢山育てて収穫するんだけど、わたしは例の如くギフトジョブの力で大量に収穫している。

 しかもカカオの実カカオポッドから豆を収穫して発酵、乾燥までを一気にショートカットしているので時間いらずなのです。
 本当は焙煎の工程も飛ばせるんだけど、ここは職人さんに色々試行錯誤して美味しくなる工程を研究して貰っているんだ。

 こうやって、ある程度は時間を短縮した状態の豆を色々な方法でチョコレートにして貰っているので、豆から作るよりは楽になっている……はずだよ。

 今、作ってもらっているのは3種類。そのまま食べても美味しい物で、子供も喜ぶ甘いのと、大人も喜ぶ甘さ控えめのもの……そして他のスィーツに利用出来る調理用のチョコレートだ。

「わたしは2番、4番、5番がいいかな?」

「私は2番、3番、4番ですね」

「俺は1番、2番、5番だな」

「僕は1番、2番、5番が良いかと」

「俺は2番が良いと思っていました……これは全員一致で2番でしょうかね?」

 ビーンさんも美味しいと思っているものを決めていたみたい。
 焙煎の条件を教えて貰えれば、カカオリカーやココアバターの状態まで一気にショートカット出来るようになるので、更なる時間短縮が可能だよ!



 ……良い感じだね、この調子で一番美味しいものをどんどん作っていくんだから!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...