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第九章 仕切り直し
37本目
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新作のお菓子は上手くいきそうだし安心だね……何とか間に合って安心だよ。
来月に4つ国の代表達が集まり対談を行う『四国連合会議』があり、国家同士の会議があるのだけどそれと同時に交流も行われている。
その会議後には各国の文化交流もあるため、毎年そこでお披露目させるものを用意するのに必死だ。
特に今年は自国が会場国となるので偉い人達は気合いを入れているらしいです。
ここまで来れば分かると思うけど、わたしはそこで出すお菓子としてチョコレートを提案するつもりなんだ。
チョコレートなら大人から子供まで嫌いな人がいるわけがないからね (異論は認めます)
きっと他国の偉い人達もチョコレートの虜になるに違いないよ。
当然、わたしのお菓子が出ると決まっているわけじゃ無いんだけど、ここはもうコネをフル活用。ドロシー様を初めとした侯爵家2家からの推薦、コンテストでの優勝、第一王子様の進言と使えるものはみんな使ってるからね。
まーくんに会うために手段なんて選ばないんだから。
「お嬢、鏡で日の光を下から顔に当てて、悪い顔ごっこで遊んでいる所申し訳無いですが、そろそろ帰る時間ですよ」
「み~た~な~」
不覚にもまたマリナに変な所を見られてしまった。
「お嬢様、お気を付けてお帰り下さい」
「はい、引き続きチョコレートのバリエーションも考えておいて下さいね」
ビーンさん達に別れを告げて馬車に乗り込んだ。いつも通りオーレスさんは御者の隣でわたし達が中だ。
馬車が走り出し1時間ほど、ジョブの力で森を切り開いて作られた道に差し掛かった頃、突然ドランが真面目な顔をして黙り込む。
馬車が停止すると運転席の窓からオーレスさんが顔を出してきた。
「ドラン、気付いているか?」
「ああ、見られているな」
え? 何? どういう事?
「おそらく魔物が潜んでいます」
「え? 大丈夫なんですか?」
オーレスさんの言葉にマリナが不安の声を上げる。
魔物……ファンタジーな世界だけあってこの世界には魔物がいる。わたしの住む街や王都では殆ど見ないけどエルフやドワーフやホビットなんて種族もいるのだ。
その中でも意思疎通は出来ず敵意しか持たない生き物が魔物に分類されている。いわゆるファンタジーでお馴染みのゴブリンとかオークだ。
今のご時世は戦争が無く国と国との争いが少ない為、兵士の数が少ない、したがって治安維持は主に冒険者に委ねられている。
冒険者の活動が活発なので街道は安全なんだけど、この道のような一般の人達が使わない場所には魔物住み着いていたりするのだ。資金にはゆとりもあるから冒険者に依頼をだすべきかもしれないね。
「この感じからしてそれほどの大物ではないぜ……ただ少し数が多そうだな」
「大丈夫なの?」
「俺とオーレスさんなら平気だぜ、それにケニーの魔法もあるしな」
「任せておいて下さい、どんな怪我をしても治して見せますよ」
「それじゃあアーリャさんとマリナさんは馬車から出ないで下さいね」
オーレスさんの言葉と共にドランとケニーが馬車から出て行く。馬車が止まっているのは少しだけ道幅が広いので、突然の不意打ちをされる事も無さそう。
ダンっと屋根から音がした……多分、オーレスさんが上ったんだと思う。オーレスさんは器用な人で遠距離なら弓を、近距離ならショートソードで戦えるオールラウンダーだ。
ドランは相変わらず木刀なんだけど、下手な剣を使うよりも強いので未だに愛用しているみたい。一応、予備の剣も腰に差しているので二刀流で有名な天下無双の剣豪みたい。
「主よ、我らを守りたまえ……プロテクション」
ちっとも神様に仕えていないのに、ケニー曰く詠唱を入れると効果が上がるらしい防御魔法を唱える声が聞こえるとドランの身体が光り輝いた。たしか防御の力が上がる魔法だったっけ?
そして一見無防備にみえるドラン……てくてくという音が聞こえそうな歩みで進んで行くと、ヒュッと森から音がする。
その刹那カン! と何かを撃ち払う音が聞こえる……ドランが飛んできた矢をはじき返したのだ。
すかさずオーレスさんが弓を絞ると矢を放ち、森の茂みから「ギャァァァァッ」という断末魔が聞こえた。
「この鳴き声はゴブリンか……大した敵じゃ無いな」
「だめだぞドラン、油断禁物だ」
日常会話のような感じでドランは飛んでくる矢を軽く木刀でたたき落とす。
オーレスさんはその矢の放たれた元に次々と矢を撃ち込んでいく。
ゴブリンの叫び声がその矢の命中を教えてくれた。
……魔物の襲来で驚いたけど、これなら大丈夫なのかな?
来月に4つ国の代表達が集まり対談を行う『四国連合会議』があり、国家同士の会議があるのだけどそれと同時に交流も行われている。
その会議後には各国の文化交流もあるため、毎年そこでお披露目させるものを用意するのに必死だ。
特に今年は自国が会場国となるので偉い人達は気合いを入れているらしいです。
ここまで来れば分かると思うけど、わたしはそこで出すお菓子としてチョコレートを提案するつもりなんだ。
チョコレートなら大人から子供まで嫌いな人がいるわけがないからね (異論は認めます)
きっと他国の偉い人達もチョコレートの虜になるに違いないよ。
当然、わたしのお菓子が出ると決まっているわけじゃ無いんだけど、ここはもうコネをフル活用。ドロシー様を初めとした侯爵家2家からの推薦、コンテストでの優勝、第一王子様の進言と使えるものはみんな使ってるからね。
まーくんに会うために手段なんて選ばないんだから。
「お嬢、鏡で日の光を下から顔に当てて、悪い顔ごっこで遊んでいる所申し訳無いですが、そろそろ帰る時間ですよ」
「み~た~な~」
不覚にもまたマリナに変な所を見られてしまった。
「お嬢様、お気を付けてお帰り下さい」
「はい、引き続きチョコレートのバリエーションも考えておいて下さいね」
ビーンさん達に別れを告げて馬車に乗り込んだ。いつも通りオーレスさんは御者の隣でわたし達が中だ。
馬車が走り出し1時間ほど、ジョブの力で森を切り開いて作られた道に差し掛かった頃、突然ドランが真面目な顔をして黙り込む。
馬車が停止すると運転席の窓からオーレスさんが顔を出してきた。
「ドラン、気付いているか?」
「ああ、見られているな」
え? 何? どういう事?
「おそらく魔物が潜んでいます」
「え? 大丈夫なんですか?」
オーレスさんの言葉にマリナが不安の声を上げる。
魔物……ファンタジーな世界だけあってこの世界には魔物がいる。わたしの住む街や王都では殆ど見ないけどエルフやドワーフやホビットなんて種族もいるのだ。
その中でも意思疎通は出来ず敵意しか持たない生き物が魔物に分類されている。いわゆるファンタジーでお馴染みのゴブリンとかオークだ。
今のご時世は戦争が無く国と国との争いが少ない為、兵士の数が少ない、したがって治安維持は主に冒険者に委ねられている。
冒険者の活動が活発なので街道は安全なんだけど、この道のような一般の人達が使わない場所には魔物住み着いていたりするのだ。資金にはゆとりもあるから冒険者に依頼をだすべきかもしれないね。
「この感じからしてそれほどの大物ではないぜ……ただ少し数が多そうだな」
「大丈夫なの?」
「俺とオーレスさんなら平気だぜ、それにケニーの魔法もあるしな」
「任せておいて下さい、どんな怪我をしても治して見せますよ」
「それじゃあアーリャさんとマリナさんは馬車から出ないで下さいね」
オーレスさんの言葉と共にドランとケニーが馬車から出て行く。馬車が止まっているのは少しだけ道幅が広いので、突然の不意打ちをされる事も無さそう。
ダンっと屋根から音がした……多分、オーレスさんが上ったんだと思う。オーレスさんは器用な人で遠距離なら弓を、近距離ならショートソードで戦えるオールラウンダーだ。
ドランは相変わらず木刀なんだけど、下手な剣を使うよりも強いので未だに愛用しているみたい。一応、予備の剣も腰に差しているので二刀流で有名な天下無双の剣豪みたい。
「主よ、我らを守りたまえ……プロテクション」
ちっとも神様に仕えていないのに、ケニー曰く詠唱を入れると効果が上がるらしい防御魔法を唱える声が聞こえるとドランの身体が光り輝いた。たしか防御の力が上がる魔法だったっけ?
そして一見無防備にみえるドラン……てくてくという音が聞こえそうな歩みで進んで行くと、ヒュッと森から音がする。
その刹那カン! と何かを撃ち払う音が聞こえる……ドランが飛んできた矢をはじき返したのだ。
すかさずオーレスさんが弓を絞ると矢を放ち、森の茂みから「ギャァァァァッ」という断末魔が聞こえた。
「この鳴き声はゴブリンか……大した敵じゃ無いな」
「だめだぞドラン、油断禁物だ」
日常会話のような感じでドランは飛んでくる矢を軽く木刀でたたき落とす。
オーレスさんはその矢の放たれた元に次々と矢を撃ち込んでいく。
ゴブリンの叫び声がその矢の命中を教えてくれた。
……魔物の襲来で驚いたけど、これなら大丈夫なのかな?
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