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第十二章 あなたを探して……
54本目
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まーくんが攫われた!?
わたしは第二の人生で二番目の衝撃を受けた。気が動転しながらも何をやるべきかはすぐに思い浮かび、急いでドロシー様へ先触れを出して会いに行った。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「情報規制は敷かれていても王家が必死に捜索をしていますから、情報は漏れてしまったんです」
「それじゃあ噂は真実だったんですね」
わたしはドロシー様に会うとすぐに噂の真相を確認した。本来なら庶民である私に教える事は出来ない情報なのだが、これまでの信頼と実績で話してくれた。
各貴族にも自分の領地を通行する馬車を念入りに調査するよう王家からの通達があったようだ。
「アーリャさんはこの情報を聞いて一体どうされるおつもりですか?」
「それは……」
どう説明すれば良いんだろう? まさか前世の話をするわけにはいかない。ここは成り上がりたいと説明している通り初志貫徹な理由ならおかしくも無いはず?
「もちろん王家の方々をお助けする事によってわたしの評価は更に高まるからです」
「……そうでしたね。でもあなたを見るとそれだけじゃ無いように見えます。いつかそれを教えてくれる日が来る事を願っていますね」
「ドロシー様」
ううっ、嘘をついているわけじゃ無いけれど何だか後ろめたいよ~。前世なんて突拍子も無い話、いつか出来る日が来るのかな? わたしがドロシー様と同じ貴族の立場になったら話してもよいのかな? ううん、未来の話より今はまーくんを探さなきゃ!
そもそもまーくんがいなきゃ貴族になる意味なんか……生きていく意味なんか無いよ!!
「私の領地を通る馬車は全てどのような身分であろうと中を確認しています……今の所は見つかっていません」
今は戦争が無いとは言え街道沿いを外れるのは危険だ。道なき道を行けば馬車の通行もままならない所もあるし何より魔物もいる。魔物はいくら倒しても自然と湧いてきてしまう。
馬車を使わないと言う方法は……それも難しいはず。誘拐犯が何人かわからないけれど、子供を逃げられないように拘束しつつ馬に二人乗りで走るのは目立つから人目のある街を出る前に目撃者がいるはずだ。だから目隠しになる馬車を使わない移動方法は考えられない。
もうどうしたら良いのかわかんない、わたしのまーくんを何で攫うの!!
「……そもそもどうして第二王子様が攫われてしまったのでしょうか?」
「それは……」
そうだよ、どうして危険を冒してまでまーくんを攫うの? わたしも一時誘拐を恐れていた事があったけど、わたしはギフトジョブが……
「……第二王子様のギフトジョブが危険を冒してまで欲しいものなのですか?」
「アーリャさん、あなたという人は……隠しても何 れは真実に辿り着いてしまいそうですね」
どうやらわたしの考えは的を得たようだ。よし、ドロシー様の話を聞こう。
「これは貴族でも侯爵家クラスの者しか知り得ぬ事ですが……第二王子マクシス様のギフトジョブは……ミシェル・ド・ノートルダムというらしいです」
「……はい?」
誰? 外人さん? やっぱり異世界転生した人のジョブは意味不明すぎるよ!!
「なにせ初めてのギフトジョブなので当初は可能な限り過去を遡ってジョブの考察がされたようですが見つからなかったそうです」
「そうですか……それで、ジョブの能力もわからず終いなのですか?」
「いえ、おそらく未来予知のような能力みたいです。未来の出来事を何度か言い当てているらしいのです」
「未来を……まるで予言者みたいですね……ん? 予言!?」
あ、思い出したよ、ミシェルなんちゃらって確かノストラダムスの本名じゃ無かったっけ?
もうあやふやだから覚えていないけど前世でまーくんたらノストラダムスの予言が好きで、しょっちゅう「な、なんだってー!?」とか言ってた気がする。
あれ、それはノストラダムスじゃないっけ? とにかく、まーくんのジョブの能力はたぶん予言……それで、その能力を欲しがっている人が誘拐した?
「予言のお陰で王家に恩恵があったりしたんですか?」
「森の大火災を止めたり、雨期のシーズンに川の氾濫を防いだりしたと聞いています。あと……」
「あと?」
「アーリャさんと王家を繋ぐ切っ掛け……サクラの木の実物を見る前に決めたそうです。そのお陰で文化交流で大きな利益となりました」
「……!?」
最初からまーくんがわたしと繋がる思い出……桜の木を見つけてくれたんだ。まーくんのギフトジョブでわたし達は繋がったんだ!!
そう思った途端にわたしの胸は一杯になって涙がこみ上げそうになってきた。でもだめ、まだだめだ。
……わたし、絶対にまーくんを見つけてみせるんだから!!!
わたしは第二の人生で二番目の衝撃を受けた。気が動転しながらも何をやるべきかはすぐに思い浮かび、急いでドロシー様へ先触れを出して会いに行った。
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「情報規制は敷かれていても王家が必死に捜索をしていますから、情報は漏れてしまったんです」
「それじゃあ噂は真実だったんですね」
わたしはドロシー様に会うとすぐに噂の真相を確認した。本来なら庶民である私に教える事は出来ない情報なのだが、これまでの信頼と実績で話してくれた。
各貴族にも自分の領地を通行する馬車を念入りに調査するよう王家からの通達があったようだ。
「アーリャさんはこの情報を聞いて一体どうされるおつもりですか?」
「それは……」
どう説明すれば良いんだろう? まさか前世の話をするわけにはいかない。ここは成り上がりたいと説明している通り初志貫徹な理由ならおかしくも無いはず?
「もちろん王家の方々をお助けする事によってわたしの評価は更に高まるからです」
「……そうでしたね。でもあなたを見るとそれだけじゃ無いように見えます。いつかそれを教えてくれる日が来る事を願っていますね」
「ドロシー様」
ううっ、嘘をついているわけじゃ無いけれど何だか後ろめたいよ~。前世なんて突拍子も無い話、いつか出来る日が来るのかな? わたしがドロシー様と同じ貴族の立場になったら話してもよいのかな? ううん、未来の話より今はまーくんを探さなきゃ!
そもそもまーくんがいなきゃ貴族になる意味なんか……生きていく意味なんか無いよ!!
「私の領地を通る馬車は全てどのような身分であろうと中を確認しています……今の所は見つかっていません」
今は戦争が無いとは言え街道沿いを外れるのは危険だ。道なき道を行けば馬車の通行もままならない所もあるし何より魔物もいる。魔物はいくら倒しても自然と湧いてきてしまう。
馬車を使わないと言う方法は……それも難しいはず。誘拐犯が何人かわからないけれど、子供を逃げられないように拘束しつつ馬に二人乗りで走るのは目立つから人目のある街を出る前に目撃者がいるはずだ。だから目隠しになる馬車を使わない移動方法は考えられない。
もうどうしたら良いのかわかんない、わたしのまーくんを何で攫うの!!
「……そもそもどうして第二王子様が攫われてしまったのでしょうか?」
「それは……」
そうだよ、どうして危険を冒してまでまーくんを攫うの? わたしも一時誘拐を恐れていた事があったけど、わたしはギフトジョブが……
「……第二王子様のギフトジョブが危険を冒してまで欲しいものなのですか?」
「アーリャさん、あなたという人は……隠しても何 れは真実に辿り着いてしまいそうですね」
どうやらわたしの考えは的を得たようだ。よし、ドロシー様の話を聞こう。
「これは貴族でも侯爵家クラスの者しか知り得ぬ事ですが……第二王子マクシス様のギフトジョブは……ミシェル・ド・ノートルダムというらしいです」
「……はい?」
誰? 外人さん? やっぱり異世界転生した人のジョブは意味不明すぎるよ!!
「なにせ初めてのギフトジョブなので当初は可能な限り過去を遡ってジョブの考察がされたようですが見つからなかったそうです」
「そうですか……それで、ジョブの能力もわからず終いなのですか?」
「いえ、おそらく未来予知のような能力みたいです。未来の出来事を何度か言い当てているらしいのです」
「未来を……まるで予言者みたいですね……ん? 予言!?」
あ、思い出したよ、ミシェルなんちゃらって確かノストラダムスの本名じゃ無かったっけ?
もうあやふやだから覚えていないけど前世でまーくんたらノストラダムスの予言が好きで、しょっちゅう「な、なんだってー!?」とか言ってた気がする。
あれ、それはノストラダムスじゃないっけ? とにかく、まーくんのジョブの能力はたぶん予言……それで、その能力を欲しがっている人が誘拐した?
「予言のお陰で王家に恩恵があったりしたんですか?」
「森の大火災を止めたり、雨期のシーズンに川の氾濫を防いだりしたと聞いています。あと……」
「あと?」
「アーリャさんと王家を繋ぐ切っ掛け……サクラの木の実物を見る前に決めたそうです。そのお陰で文化交流で大きな利益となりました」
「……!?」
最初からまーくんがわたしと繋がる思い出……桜の木を見つけてくれたんだ。まーくんのギフトジョブでわたし達は繋がったんだ!!
そう思った途端にわたしの胸は一杯になって涙がこみ上げそうになってきた。でもだめ、まだだめだ。
……わたし、絶対にまーくんを見つけてみせるんだから!!!
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