劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
72 / 127
第十六章 悪役令嬢の誕生!?

72本目

しおりを挟む
 とうとう学院生活始まりの日がやって来た。

「彼女が今後アルダーク領を治める領主となる予定のアーリャ・アルダーク伯だ……とは言え学習院では身分は関係ない。彼女の事はただのアーリャと呼び、同じ学び舎で学ぶ学友として接していくように」

「アーリャです……新たに学習院へ籍を置かせていただく事になりました。今後もよろしくお願いします」

 いわゆるホームルームで転校生を紹介しますと言う場でわたしは自分のクラスで担任の先生から紹介されたところだ。本来は堅苦しい呼び方があるんだけどこっちの方がわかりやすいよね。

 自己紹介を終えたわたしを見るクラスメイト達は……やはり皆いかにもお嬢様という服に身を包み、上品にわたしをしているようだ。特に目立つつもりは無いからそっとしておいて欲しいよ~。


 やがてホームルーム的な時間が終わり、各自が受けたい授業のある教室へ移動する時間となった……のだけれど、かなり時間にゆとりが取られていて朝のひとときを学友達と語り合う時間はあるみたい。
 本来なら編入してきたばかりのわたしには語り合うお友達などいないのだけれど、興味本位で近づいてきた貴族令嬢の方々がやって来た。

「アーリャさんは今まで庶民の方でいらっしゃったのでしょう? わたくしそんな方をお見かけしたの初めてですの」

「いったいどのように爵位を得たのでしょう? 興味が尽きませんわ」「わたくしも……」「わたくしは……」

 ひぇ~珍しい見世物になっちゃってるよ。これから同じクラスメイトとして邪険には出来ないから程々の対応をしないと。そんな事を思っていたら質問をしていた貴族令嬢を押しのけて一人目の前にやって来る。

「あなたが庶民地位からまんまとアルダーク伯の後釜に成り代わったアーリャさんです事?」

「はい?」

 何この人? もの凄い棘のある言い方。最初はある程度目立ってしまうし、何かしら微妙なアプローチは予測していたけど、表向き身分差が関係ない学院でこの露骨な態度……嫌な予感しかしないよ。

「わたくしの質問に答えないなんて無礼ですわ……所詮は成り上がり者。たかだか男爵程度の爵位で高貴な身分になったと勘違いしてしまうのも無理は無いですわ」

「はぁ、ご期待に添えなくてすみません」

 とりあえず彼女の家の爵位は男爵より高そうだけど、全く名前を名乗ってこない。でもこちらから手を出して火傷したくないよ。

「まぁ、それはいいですわ。あなた、貴族派のノーブルローゼスに入る栄誉を授けてあげるわ感謝しなさい」

「はい?」

「セーラ様、学院での派閥勧誘は禁止されていますわ」

「教師の方々に知れたら違反事項で罰せられてしまいます」

「おだまり! あなた方、伯爵家であるこのセーラー・マースに意見をするというの?」

 セーラーでマースって……ちなみに彼女は黒髪では無くて金髪だけどロングヘアー……別ヘアカラー&スタイルとか深い意味は無いよ。それはともかくこの娘って馬鹿なの?
 周りの令嬢の言うとおり見つかると学院の違反事項で処罰対象、下手をすればわたしまで巻き込まれる可能性がある。
 それに処罰と言っても学校で言う校則違反みたいなものだけど、今のわたしは成人後に男爵位を得る約束はあるもののある意味暫定的な物だ。塵も積もって爵位取り消しという事態になったら目も当てられない。
 一応、あの人には私のクラスの事を伝えてあるけれどここに来てくれるかは未知数……なんとかこの地雷娘をやり過ごさないと。

「申し訳ございませんが、仰るとおりの成り上がりの貴族です。わたし自身がお誘いに乗ってもお力にはなれそうにありませんのでご遠慮させて頂きます」

「誰もあなたの人脈などには全く期待していませんわ。聞くところによるとあなた、お金で爵位を得て成り上がったのでしょう? 貴族派に資金提供をして力を貸しなさい」

 は、何言ってるのこの娘……言いたい放題……とにかく言質を取られないように穏便にお断りしないと。どうか先生に見つかりませんように。

「申し訳ございません、この場で返答致しかねます」

「まぁ生意気な!! アルダーク家は元は貴族派、その後釜のあなたも同じ派閥に属するべきですわ!!」

 ちょっと、大きな声を上げないで先生来ちゃうよ!! そのとき、周りで見守っている令嬢達が何かに気付いたように視線を向ける。



「いったい何をなさってらっしゃるの!?」



 ……心で悲鳴を上げたわたし達へ凜とした声がかけられたのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...