劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

文字の大きさ
113 / 127
第十九章 領主様は悪役令嬢!?

113本目

しおりを挟む
「なるほど、ベイビーはなかなかの策士だね。でも、もし相手が誘いに乗らなかったらどうするつもりだったんだい?」

 わたしはアレウス様に先日起こった難民暴動未遂のあらましの説明をした。アレウス様は興味深く合図地を打ちながら時折綺麗な前髪をファサッとかき上げたりして聞いていた。

「その時は後日、貧民街スラムの難民の身分証を作る名目で間諜スパイをあぶり出す予定でした。もっともこちらの場合は身の危険が増すのでわたしが向こうへは行けないので部下任せな上に、より多くの人数を揃える必要がありましたが」

「全てベイビーの手のひらの上って事だね」

 アレウス様は手に身分証のサンプルである二つのカードを手に取って興味深そうにそれを見つめる。そして、テーブルの上にある木箱のスリットに二つを入れるとそれぞれ箱の下側にある左右二つの出口にコトンっと落ちた。片方の穴には○が、もう片方には×が書かれている。

「正しい身分証とそうで無いものが分かる……これってどういう仕掛けなんだい?」

「まだ試験段階な上にわたしのギフトジョブの能力に依存するので、とてもではありませんが王国に献上出来る物ではありません」

「ベイビーの秘密のギフトジョブかい?」

「いやですわアレウス様、わたしはただの林業師ですよ」

 その返答を聞いたアレウス様の目が少し細められる。うわ~疑われているよ~。でもね、この段階でこの能力を明確に明かすのは避けたいんだよね。出来ればまーくんの記憶が戻って、その、二人が結ばれてからが望ましい。
 教会でも知られていなかったレアでチートなジョブがどういう扱いを受けるか計りかねる段階だし。

「テンカー家長男との決闘の事だけど、うちの林業師に聞いたけど、成長する寸前の気を見極めて切り出された木を生長させるなんてあり得ないって言っていた」

 わ~ズバッと切り込んでくるなぁ。決闘の事も国に筒抜けだなんて……ってことはわたしが悪役令嬢ムーブしている事もバレているって事なの!? それは嫌すぎるよ~!!

「まぁ、そうなんですか? でも自慢では無いですがわたしが一番ギフトジョブを上手く扱えるんだと自負していますのオホホホホ」

 仕方がないので扇を広げると口を隠しながら悪役令嬢らしく笑って誤魔化した。アレウス様はどうしてわたしのギフトジョブを知りたがるんだろう? 
 表向き私に期待されているのは

 1、アルダーク領へ王族派とわかりやすい人間を置く事

 2、魔物被害で疲弊している領の建て直し

 3、2を早めに完遂させて隣国からの防壁となる事

 だと、思っていた。

 多少……というかかなり……わたしのギフトジョブが怪しくても役割を果たせばとりあえずOKって思っていたんだけど、ここでわざわざわたしのギフトジョブを暴く必要ないよね? ってことはこれはただのアレウス様の独断? 何のために? う~ん、情報が足りないからわかんない。

「僕がどうして王国の意向を無視してベイビーの秘密を知りたがっているかって思っているのかな?」

「あら? そんなお話しでしたか? 察しが悪くて申し訳ございませんアレウス様。でもわたしに秘密なんてありませんよ」

 あれ~、顔に出てたかな? 分からないように顔を隠しながら悪役令嬢してたのに。ただのカマかけかな?

「本当はベイビーを僕の手元に置きたかったんだ。だけどベイビーは僕の予想の遙か彼方に飛躍して暫定領主の立場に収まってしまった。こうなってしまうと僕が父上にお願いしてもそれは難しいだろう」

「そうだったんですか。アレウス様にそこまで評価して頂けて嬉しいです」

 危なかった。その立場になると立ち位置次第では学院に通う事もまーくんの記憶を取り戻す手がかりを探すことも難しかったかもしれない。アレウス様には悪いけど自分の裁量で色々出来る今の立場の方が有り難いんだよね。本心かどうかは分からないけどとりあえず表向き信じる体を取っておこうっと。

「ベイビーが失敗すればと思っているなんて誤解しないでほしいけれど、もしも万が一アルダーク領の統治が困難だったら……その時は僕を頼ってくれ」

「わかりました。アレウス様の言葉、有り難く感じております」

 わたしを買ってくれるのは嬉しいけれど、王国のために頑張るので出来ればそっとしておいて欲しいな~。そんな事言えないけど。



 ……こうして、アレウス様はわたしが捕らえた間諜スパイ達を王都に連れて帰っていったのでした。これはどう考えても王子様の仕事じゃ無いけど、やっぱりわたしと話すためだったのかな?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...